イメージを超える〜 ダンス部コーチASUKA Yazawaの連載コラム「ホンネとオモイ」#05

2018.05.25 COLUMN

#06:イメージを超える

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ダンス部に所属する皆さん、こんにちは!
狛江高校ダンス部コーチのASUKAです。

毎年メンバーが変わっていくダンス部では、毎年全てがイチからのスタートです。

人が違うので、良さも悪さも学年カラーや部活カラーも毎年違いますが、「これ去年の今頃もよくあったな〜」なんて思う出来事は、結構あります。
その中には、新米部員のみんなからよく出てくる言葉もいくつかあるのです。

「どうすればいいですか?」
という質問です。

「どうすればいいですか」という質問は、実はかなり抽象的です。
言い換えれば、アイディアもイメージも形も何もない状態ですね。
もしかしたら、下手に意見を出して失敗するのが怖いという気持ちが、大きいのかもしれません。

正解をすぐ知りたがる気持ちは、よくわかります。
でも、どうすればいいかと尋ねる前に、まずどうすべきだと思うのか。
自分はどうしたいのか。

そこを「考えて」ほしいのです。
そして、何でもいいから提案してほしいのです。

何故なら、この「考える」ということによって、ダンス表現や作品はより豊かなものになっていくからです。

ひとつの正解を追い求めることは、決して悪いことではありませんが、ダンスという表現の世界では、正解はひとつに限りません。
たくさんの答えがあっていいのです。

と言っても、私も昔は、ひとつの正解をひたすら追いかけてしまっていたんですけどね。

ある作品を作り上げている時、何を振付師に求められているのかわからなくて、どうしたらいいのかを直接聞いたことがあります。
良かれと思って聞いた私の質問は、振付師の憤りの言葉で返されました。
「まずやってみなさい。違ったら言うから」

その時はその状況が苦しくて、提示してくれたらわかるのに…!と強く思いました。
でも、そう言われて初めてしっかり考え、ちゃんと向き合ったのです。
私が入り込むべき世界と私が表現すべき姿…

無我夢中で、何をしたか覚えてないほどにその作品を駆け抜けたとき、大きく一言、「できるじゃん!」と褒めてもらいました。
今でもそのことを覚えています。
そして、その人に言われた「まずやってみなさい」の意味が、その時ようやくわかりました。

私自身でまず解釈して、さらに私で表現したものでないと、人の心は動かせないと。

作り手の言っていることを、そのまま体現するということは、その人のイメージ通りを作り上げるということです。
それは難しいことですし、水準以上の作品は仕上がるでしょうが、おそらくそこに想像以上の衝撃や感動は生まれません。

今あるイメージを把握して、自分の中で消化して、自分の表現ができて初めて、作り手のイメージを超えることができるのです。

相手の期待が高まっていくことがわかると、不意に、その人の見ている一点をどうしても追いたくなりますよね。
でも、そこの一点に集中するのではなく、作り手の目線の先を隣で一緒に見るような感覚で、その世界のイメージを頭の中で繰り広げてみるべきです。

もしズレがあったら、きっとそれを作り手は伝えるでしょう。
逆に良いと思ったら、それを活かしていくでしょう。
そうやって作り手と踊り手が試行錯誤していくことで、ダンス表現は、作品は、成長するのです。

必ずしも1人でずっと考えていなくてもいいです。
みんなと協力して答えを出していくのも、またそれは「考える」ことです。

人頼りに形にはめていくのではなく、自ら形作っていく…
あなたが「考える」ことで、あなた自身の表現、みんなとの作品は、また新たな一歩を踏み出せるでしょう。

ASUKA Yazawa

(つづく)

#01:コンフォートゾーン?!
#02:ヒラメキは心が動く瞬間
#03:後から引かれるスタートライン
#04:3つのマスト



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