その曲で踊って大丈夫?!日本ダンス大会の楽曲規定に学ぶ「英語詞のNGワード」

2019.01.25 COLUMN

「日本ダンス大会」審査規定〜使用音源について[抜粋]
公序良俗に反する要素(暴力、わいせつ、差別用語など)を含む歌詞が入っている楽曲の使用は不可とする。例)bitch、fuck、shitなどの単語や銃声音などを指します。
※音源の事前提出後、委員会にて内容確認をし、問題がある場合は該当箇所を修正・変更して頂きます。事前に修正・変更した場合については、本番時の減点対象とはなりません。
※楽曲によっては、クリーン・バージョン(不適切な部分を適切なものに置き換えたもの)が、各種音楽系ストア、楽曲配信サイト等で販売されている場合がございます。

DSC09587

教育現場での「無知の罪」を無くそう

ストリート系のダンスが部活や授業などの教育現場で導入されるようになってから、識者の間で問題視されていたのが、楽曲の「歌詞」についてだ。

特にヒップホップダンスで使われる洋楽ラップの楽曲には、上記の日本ダンス大会で規定されているような「公序良俗に反する要素(暴力、わいせつ、差別用語など)を含む歌詞」やそのスラングなどが含まれる場合が多い。

しかし、そのラップの多くは早口で発音も聴き取りにくいものが多く、一聴しただけでは一般の日本人には内容を理解しにくい。

生徒や顧問の先生が歌詞の内容を関知しないまま公の場所でその楽曲を使ったダンスが披露されてしまうような事態を識者たちは恐れていたのだ。

実際、そういった場面は過去の日本のダンス現場でいくつも見られ、その映像がネット動画などで全世界へ配信されてしまうという状況も起きている。

それを見た英語圏の人の日本人ダンサーに対する印象はどうなるだろうか。

部活動のダンスはクラブやストリートではなく、教育現場で行なわれているものだ。「カッコいいから」とか「知らなかった」では決して済まされない。東京五輪へ向け真の日本のグローバル化を目指し、「無知の罪」を無くしていこう。

日本ダンス大会では、楽曲審査員を2名用意している。今回は、その1人である中島桂吾氏にお話を伺うことができた。

「作業としては、各校からエントリー時に提出されたCD音源と楽曲名から歌詞を調べて、事前に確認します。審査は大会主催者の日本ダンス技能向上委員会と確認しながら進めています。まずは、スラングなどの違反されている言葉、またはそれに準ずるような言葉や暗喩的な表現などをすべて私たちがチェックし、それを委員会側が判断するという形です」

自身もダンス経験があり、現在は高校で英語教諭をしながらキッズダンス指導や振付もこなすという中島氏だが、ダンサーとしての自身とバイリンガルの能力を活かした歌詞審査は切り離しているという。

「ヒップホップなんだからこのぐらいは良いだろう」というサジ加減はないということだ。

「しかし、最終的な判断としては、そういった表現を徹底的に禁止しているわけではないんです。普通のラブソングやメッセージ性の強い歌詞もありますから、そこは臨機応変に判断していますね」

 

歌詞チェックはダンスを豊かにする

仮に歌詞に問題があったとしても、その時点で失格となることはなく、使用曲は学校側に戻され、楽曲の変更もしくは「クリーン・バージョン」での再提出が求められる。

そのやりとりにおいてこれまでトラブルになったことはなく、学校側もひとつの学びを得たということで、日本ダンス大会が目指す「生涯教育としてのダンスの普及」という主旨にも沿っているわけだ。

また、歌詞の事前確認はダンス部側でもできることであり、それを生徒自身が行なうこともグローバル教育の一環とも言えるだろう。

下記の表に、NGとなりやすいワードを列記したのでぜひ覚えていてほしい。判断できない場合は、学校の英語の先生に聞くのも1つの方法だろう。

「回を重ねるごとに理解が深まってきているので、厳しいチェックを受けるようなダンス部は減ってきています。実際インスト曲や邦楽曲が増えてきていることもありますしね。それよりも個人的にダンサーとして目につくのは、歌詞の意味とダンスの差です。例えば、歌詞はすごくシリアスなことを言ってるのに、笑顔でさわやかなダンスを踊っていたり……、歌詞のワードの確認だけでなく、ぜひその意味や世界観を汲み取ったダンスを見てみたいですね」

NGワードをチェックすることは、歌詞の事前確認にもなり、多様な英語表現の学習にもつながる。

また、その意味を汲み取ることはダンス自体に広がりや深みをもたらすのだ。

当然のことだが、踊る楽曲の言葉や内容はしっかり確認すること。大会出場時の楽曲のみならず、普段の練習曲から意識的になりたいところだ。

文:石原久佳(ダンスク!)
『ダンスク!』第21号より抜粋記事

 

image
中島桂吾
19歳でダンスを始め、大学卒業後はカナダへ語学留学。その経験を活かして英語教諭となり、高校ではダンス部顧問にて後進の指導にあたり、ダンスと教育を繋げる活動をしている。

2000px-Parental_Advisory_label.svg
▲使用したい楽曲のCDがある場合は、このシールがジャケットに貼ってあるか注意しよう。Parental Advisory Explict Content (ペアレンタル・アドビソリー・エクスプリクト・コンテント)という、歌詞に関しての警告である。また日本ダンス大会では、歌詞の規定以外に「迷彩服及び武器(模造品含む)の使用、軍隊及び戦争をイメージさせる演出、並びに反社会的勢力をイメージさせる演出は不可とする。また、性風俗的及びわいせつな印象をあたえる演出も不可とする」という規定もある。

slangword

point

 

>>6/22〜6/23開催「第7回日本ダンス大会」エントリー校募集中
>>昨年開催「第6回日本ダンス大会」全チームレポートはコチラ

ADC2019_ダンスク_210x258_nyuko_ol_CS3_0108_確認用



  • コーチング理論を使って自分で自分を鍛える!