「ダンスと著作権講座」第1回目:ポイントはそのダンスが営利活動か?非営利活動か?

2019.02.16 COLUMN

著作権ってナンダ?

 

ダンスと音楽の縁は切っても切れないもの。無音で踊らない限り、音楽は必要になる。そこで、キミたちはどんな音楽を選ぶだろう。ダンス部員で音楽を自作するって人はあまりいないはずだ。ほとんどの場合は、世間に出回っている他人の作った音楽=著作物を使うことになる。

著作物の権利である著作権とは、音楽以外にも、小説・脚本・論文・歌詞・振付・絵画・版画・彫刻・漫画・ 建築・映画・写真・地図・舞台美術などにも与えられる。例えば、キミたちの作った歌や文章や絵、写真などにも著作権が発生する。それらが勝手に他人に使われないために著作権法があり、それらを管理する団体があるわけだ。

音楽に関わる著作権を「音楽著作権」と呼び、使用にあたって細かいルールがあることぐらいは知っているだろうが、その詳細を説明できるダンサーは実際少ないだろう。ひと口に音楽著作権と言っても、その権利は複雑に入り組んでおり、時代の変化とともに新たな解釈が生じてくるため、ミュージシャンや関係者でも正確に理解するのは困難である。

ただ、ダンスに親しむ人口が増加し、その影響力が大きくなった今日では、もはや「知らなかった」では済まされないだろう。ここではダンス部の活動において、最低限知っておきたい知識を漫画と一緒にポイントで学んでいこう。

 

文:石原久佳(ダンスク!)
監修:安藤和宏(『よくわかる音楽著作権ビジネス』著者)

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POINT.1
そのダンスが営利活動か?非営利活動か?

 

ダンス部の活動というものを考えていくと、まずは校内での日々の練習がある。次に文化祭や発表会などの校内での発表。そして、大会や公演などの校外での競技会や発表。最近では地元のイベントなどに呼ばれるケースも増えているようだ。

このような活動で関わってくるのが「演奏権」という権利である。実際に曲を生演奏するだけでなく、その曲を公衆に直接聴かせることを目的として、CDやスマホなどで再生することでも働く権利だ。ただ、ここでポイントとなるのが、ダンスが「営利活動か?非営利活動か?」という点である。非営利目的で、観客から料金を取らず、出演料が発生しないイベントの場合、例外として、音楽を会場で自由に流すことができるからである。
営利を目的とせず、観客から料金をとらない場合は、著作物の上演・演奏・上映・口述(朗読)などができる。ただし、出演者などは無報酬である必要がある。(著作権法第38条)


 まず、練習は営利を目的としていないから問題ないだろう。文化祭や発表会なども観客からチケット代を徴収せず、出演者にも報酬が支払われない場合、権利が働かないため、自由に曲を流すことができる。加えて、ダンス部の校内での活動は教育活動の一環と見なされる場合も多いため、著作物の使用に関して厳しく問われることは過去にない(現実的に管理しにくい事情もある)。

では、校外での大会やイベントなどはどうだろう? 主催者がチケット代を徴収したり、企業による協賛収入があるといった営利目的で行なわれる(あるいは非営利目的とはいえない)イベントの場合は、著作権使用料の支払いが必要となる。ただし、その場合は参加者ではなく、イベントの主催者が支払義務を負うのがリズムダンス系の大会では通例のようだ。主催者は、イベントでどんな曲が演奏されたかを把握し、それらの著作権使用料を支払うために、その楽曲の曲名と作詞者・作曲者名をJASRACという音楽著作権管理事業者に申請する必要があるのだ。なので、ダンス部としては、大会やイベントへエントリーする時には、しっかりと使用する楽曲の情報を提供する責任があることを覚えてもらいたい。

>>POINT.2へつづく

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