「ダンスと著作権講座」第2回目:JASRACって?/曲のMIXは?

2019.02.18 COLUMN

POINT.2
JASRACって何だろう?

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音楽著作権について調べていくと、必ず出てくる名前がJASRAC(ジャスラック:日本音楽著作権協会)という団体だ。市販されているほとんどの楽曲の著作権管理をしている一般社団法人で、著作者(音楽の場合は作詞・作曲者)の権利を守り、それが適法に使用されているかを集中管理している。

ダンス大会のエントリーシートに「JASRACの管理楽曲から使用楽曲を選んでください」という指示の記載を見たことがあるだろう。著作者や管理団体が不明の楽曲は、あとでトラブルに発展する可能性があるからだ。使いたい曲が管理楽曲かどうかはJASRACのHPの作品検索から簡単に調べることができるので、踊りたい曲が決まったら、まずはそちらで調べておくのが得策だ。

ここで覚えておきたいのが、JASRACの使用料規程というのは、楽曲の使用態様に応じて、細かく料金を決めているという点だ。ただ、一般人にとっては、「これも著作権使用料を取るの?」というケースもある。例えばJASRACによると、ピアノ教室での演奏は「公衆に直接聴かせることを目的として」行なわれているため、ピアノ教室の運営者はJASRACに著作権使用料を支払う義務があるとしている。実際、JASRACは2018年4月1日から著作権使用料の徴収を開始したが、関係者から「ピアノ教室での練習に演奏権が働くのか?」という疑問の声があがっている。

音楽を聴くメディアや方法が急速に進化し、ダンスの表現効果や影響力も世間の注目を集めている現在。例えば、登美丘高校のバブリーダンスのようにダンス動画の効果によって、逆にメリットを受ける音楽家(権利者)も多くなってきた。今後は、音楽家にとってもダンサーにとっても、利用しやすい著作権管理の規程へ進化していくことが、未来のクリエイターにとっては望ましい状況と言えるのではないだろうか。

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POINT.3
曲をミックスする行為って?

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2〜3分のステージだとしても、ダンスの場合は複数の楽曲をミックスする場合が多い。俗に音編(おとへん)と呼ばれ、その組み合わせやセンスが全体のクオリティの向上につながるので、試行錯誤してダンス部員自らが取り組んでいることも多いだろう。その場合、原曲の尺を短くしたり、他の曲とつないだり、音質を補正したり、あるいは効果音を足したり、慣れてくればキックの音を付け足したり…などの作業が生じるはずだが、気をつけたいのが、「曲を変えすぎないこと」。著作者には、他人が勝手に自分の著作物を改変することを禁止できる「同一性保持権」という権利が与えられている。そのため、無断で楽曲を変えると、この権利を侵害してしまう可能性があるからだ。

同一性保持権とは、著作物やその題号(タイトル)について、著作者の意に反して、これらの改変を受けない権利のこと(著作者人格権20条1項)

ただし、同一性保持権には「やむを得ない改変」という例外規定があり、ダンス部が複数の曲をそのままメドレーとしてつなげるというケースは、ほとんどがこの条項にあたると思われる。とはいえ、DJミックスなどのダンスカルチャー的な手法が著作権に触れる部分としてぜひ覚えておいてほしい点だ。

同様に「サンプリング」という手法がダンスやヒップホップカルチャーには存在するが、これも著作権や原盤権(後述)に関わってくるところだ。ただ、ドラムループやシャウトなどのサンプリング的な音素材は、現在では著作権フリー素材としてネットで簡単に入手できるので、やりたい人はそちらを選ぶ方が得策だろう。

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文:石原久佳(ダンスク!)
監修:安藤和宏(『よくわかる音楽著作権ビジネス』著者)

>第3回目へ続く



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