寄稿【北九州市立】ストリート系ダンス部の歴史を創り上げた【緒方先生】の「道程」

2025.05.02 COLUMN

ダンス部顧問の寄稿シリーズ「顧問の考え」は、桜丘高校日大明誠高校二松學舍附属に続いての4回目は、ついに重鎮と言うべき先生が登場!
ストリート系のダンス部として27年の歴史を持つ、北九州市立高校(旧:戸畑商業)の顧問・緒方浩先生だ。同校はこれまで輝かしい大会結果や活動歴を持ち、先生は、全日本高等学校ダンス連盟や全日本高等学校チームダンス選手権を主宰している。
長らく高校ダンス部シーンを支えてきた、緒方先生にその「道程(みちのり)」を振り返ってもらおう。


ストリートダンスも表現!

 

小さい頃の夢って、特になかったと思います。小学校の卒業文集に、将来の夢は「社長」って意味なく書いていました(笑)。

そんなどこにでもいる子どもだった私ですが、高校生になった頃ストリートダンスと出会いました。その時の衝撃は凄まじく、その魅力にどっぷりとハマってしまいました。世の中にこんな楽しいことがあるのか!って思ったくらいです。
そして漠然と「ダンスで食べていけたらいいなぁ」と思うようになりました。

大学時には、ダンスをするために渡米。しかし目にしたのは、ダンスで食べていくことの厳しい現実。当時の一流ダンサーたちでも、お金に困っている者が大半で「ダンスを職にするのはかなり難しい」という現実を目の当たりにしてしまったのです。

帰国後、たまたま受験した福岡県の教員採用試験に合格。私みたいな人間が教職に就いていいものか…かなり悩みましたが、教師としての道を歩き始めることに。
最初は空いている時間を使って少しでもダンスを続けようと思っていましたが、その考えは甘く、とてもダンスができる状態ではありませんでした。
2年間ほとんどダンスはできず仕事ばかり。趣味でターンテーブルを購入し、好きな音楽かけて引きこもりDJしていただけの生活。
もう、ダンスで食べていく夢は完全に潰えたと思いましたね。

しかし、その頃の生徒でダンスをやっていた生徒がいて、私のところにやってきました。「ダンス教えて欲しい」って。体育館の片隅で練習し始めて、その後予餞会(卒業生を送る会)に出演。その時の生徒たちの反応がとてもよかったのを憶えています。

「そういえば高校にダンス部ってあるよなぁ」
って思ったのもその頃でした。ただし、高校のダンス部といえば創作ダンスが主流です。しかし、ダンスと出会ってすでに10年以上経過していた私は、ストリートダンスも表現であり、他ジャンルのダンスに負けることはないと確信していました。

思い切って高校でダンス部を創部しましたが、前例もなくすべてが手探り状態。
「学校でストリートダンスなんて…」と、周囲からの風当たりが強く大変な時期もありました。しかし、まっすぐに付いてきてくれる生徒たちのお陰で助けられたと思います。次第に人数が集まり形となっていきました。

 

走り続けて夢の中

 

我武者羅に走り続けた現在、周囲の状況は大きく変わりました。多くの全国大会で優勝もしました。私自身も、全国規模のダンスコンテストで審査員を務めたり、全国各地で高校生や教師へのワークショップをしたり、ダンス関連のイベント作りに携わったり、舞台監督としてダンス公演を作り上げたり。趣味が高じてイベントでDJすることもでてきました。

高校ダンス部の公式戦となる大会がなかったので、有志と社団法人(全日本高等学校ダンス連盟)を立ち上げ、「全日本高等学校チームダンス選手権大会」も開催。大会もついに15周年を迎えることができました。

気がつけばダンスばかり。いつかの夢の中です。
決して追い求めてきた訳ではありませんが、走り続けていたら今の状態になっていました。
まさに「道程」状態です。

「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」

我武者羅に動いてきた結果ですが、こんな形の夢もありかなって思っています。夢への道って決して一つじゃないし、見えるとも限らない。とにかく今できることを精一杯やることで、自ずとその人の道はできあがるようです。

今後の夢の一つとして、振り返ったときに今のような活動を通してダンス部界の発展に貢献できたって思えたら最高ですね。同じようにダンスに魅せられた若者が、私と同じような境遇になったときに参考になるような人間になれていたらうれしいです。

体が動く限り、もう少しがんばってみます!

北九州市立高等学校
ダンス部顧問 緒方 浩

★CHECK★
北九州市立ダンス部と緒方先生の足跡が綴られたブログ
まさにダンス部の歴史そのもの!


★緒方先生が携わる「全日本高等学校チームダンス選手権大会」が今年もエントリー開始!
エントリー締め切りは5/16(金)。詳細は公式HPへ!

>>公式HP
>>Instagram



  • フリーマガジン『ダンスク!』は「振り付けのヒント」と「Wonder School」