ダンスタ中学校決勝の優勝はフレッシュ&エネルギッシュな「三田国際学園」!

2019.09.02 DANCE

昨年から夏休みの最後に行なわれているダンススタジアムの中学生全国決勝大会。
>>昨年のレポートはコチラ

今年も暑さの残る9月1日に舞浜アンフィシアターに全国から強豪中学が集まった。

審査員は関係者3名にプロダンサー3名。
審査基準は高校大会同様に
①ビジュアル 10点 - 衣装・表情
②エンターテイメント10点 - 演出・振り付け・ショーマンシップ・動きのメリハリ・見せ方
③テクニック 10点 - ダンス技術・全員の動き・バランス・合わせが揃っているか
④音楽 10点 - 使用音源の選曲・構成
⑤スペシャリティー 10点 - 各審査員ごとの全体的総合評価
となっている。

では出場した20チームを見ていこう。

レポート&写真:石原久佳(ダンスク!)

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01) 目黒区立目黒中央中学校(東京)
囚人たちの自由への脱走がテーマ。小さな動きやタットから徐々にステップを大きくし、元気にパフォーマンス。

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02) 和泉市立石尾中学校(大阪)
殻を破ることをテーマに元気に全員ヒップホップ。中学生らしいストレートなパフォーマンスだ。

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03) 板橋区立板橋第一中学校(東京)
冒頭から不穏なムード作りでホラーの世界観を作り出す。途中のホラー的叫び声も効果的でインパクトを残した。

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04) 大阪市立宮原中学校
中学生らしからぬ大人な女性の雰囲気で、力強いガールズヒップホップを繰り出す。

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05) 椙山女学園中学校(愛知)
元気な表情とさ鮮やかな色合いの衣装が中学生らしく印象が良い。誰もが知るブルーノマースのヒット曲で会場を巻き込んだ。

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06) 三田国際学園中学校(東京)
大所帯ながら情熱をしっかり表情に表し、ムード作りもバッチリ。衣装替えも鮮やかでサプライズを生んだ。

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07) 弥富市立弥富北中学校(愛知)
民族ダンス的なアプローチで、ドンドンと打ち鳴らされる太鼓の響きに乗せたステップやジャンプが心地よい。主役の男女の表現力も高かった。

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08) 神奈川県立平塚中等教育学校
つい被りがちなホラーコンセプトの作品だが、「スリラー」に乗せて大きなヒップホップを繰り出す。衣装の手作り感が良かった。

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09) 京都文教中学校
高校同様にキレのあるロックダンスで勝負。フラメンコ音楽に乗せるアダルトなアプローチだったが、雰囲気をうまく出していた。

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10)城西大学附属城西中学校(東京)
冒頭から、衣装・ダンス・音楽・小道具でクラゲの世界観をバッチリ演出。幻想的なムードかと思いきや、中学生らしいかわいらしいダンスで、電気クラゲの登場も微笑ましかった。

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11) 桜丘中学校(愛知)
桜丘らしいノリの大きなヒップホップ。キッズのバネと高校生のパワーを合わせ持つような感じで、表現力の幅が広い。

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12)明治大学付属明治中学校(東京)
すべて中学生の手作りという作品だが、ダンス・音取り・衣装・演出などのバランスが良く、中学生離れしたセンスを感じさせる。

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13) 箕面市立第六中学校(大阪)
大阪らしいソウルダンスに楽しい表情を乗せる。ワックのシンクロには相当な練習量が見られる。

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14) 江戸川区立葛西第三中学校(東京)
ロックとソウルダンスをベースに、ユニゾンとキレ味で勝負。まるで関西の学校のようなこなれたフィーリング。

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15) 品川女子学院(東京)
高校と同じ華やかな爆発力は中学でも健在。女子校らしい表現が伝統として作品作りに生かされている。

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16) 同志社香里中学校
軽快な4つ打ちビートに乗せ、同志社特有のしなやかさと音取り、さらには歌詞取りも感じさせる。超中学級のダンスだ。

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17) 桐光学園中学校(神奈川)
こちらもJ-POPの乗せた歌のメロ取りと表現力が素晴らしい。細かく弱い動きまで表現できる技術が踊りのダイナミクスを生んでいる。

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18) トキワ松学園中学校(東京)
高校同様にコンセプトの独創性が面白い。衣装と小道具の色バランスやミュージカル的な展開の早さも観客を引きつけた。

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19) 樟蔭中学校(大阪)
大正モダンガール(モガ)を中学生が再現する面白さ。確実なダンス力をベースに、音へのスイング感と衣装&音楽のセンスが光る。

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20) 広尾学園中学校(東京)
キレとシルエットと移動の激しさで見せる。中学生離れしたテクニックと表現力が印象に残る。

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ダンススタジアム
中学全国決勝大会【結果】

優勝:三田国際学園中学校
準優勝:桐光学園中学校
3位:江戸川区立葛西第三中学校
審査員特別賞:明治大学付属明治中学校
応援団賞:目黒区立目黒中央中学校

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<<総評>>

「中学生らしいダンス大会」への提言

優勝校はダンスタ高校大会と同じく、意外な結果だった。
ダンス力と音取りに優れていた同志社香里と樟蔭が入賞せず、入賞歴のない三田国際学園中学校がいきなりの優勝だ。
確かに、練習量の見られるユニゾンやしっかりした表情付け、フォーメーションや衣装替えなどはアイディアに溢れるものだ。

ダンスタの中学生大会は毎回、上位が常連校で固められており、ほとんどが中高一貫の私立高校。全国トップレベルの高校生から指導を受けているので、ダンス力や作品力は他よりも抜きん出ている。
だが、それらのパフォーマンスは高校のジュニア版という印象で、なかなか「中学生らしいダンス」という表現は見出せないでいる状況だった。また参加校も増えず、メンツに代わり映えないのが悩みどころである。

正直、個々の技術的には、キッズのエリートダンサーのほうが上回り、キレやバネや意外性もかなわない。そして、まだ高校生ほどのパワーやボリューム、創意工夫のセンスは整っていない。
個人的には、今回の弥富北や前回の樟蔭が見せた民族舞踊的なアプローチなどは、中学生の年頃の女子が取り組むと、ある種神秘的なムードが出て面白いとは思っていた。が、「中学生らしい」とは言えないだろう。

しかし、今回の優勝入賞校にはそのあたりが見出せた気がする。
純粋さ、さわやかさ、キャッチーさ。
言葉にすると単純なのだが、中学生ダンスにはやはりこういうイメージが求められているのではないだろうか。
技術的には多少拙くても、それをチームワークやアイディアで補う健気さ。
キャッチーなテーマ性やコンセプトで親世代にまで届く印象度。
高校ダンスへの準備段階としてあるべき、ダンスを心から楽しむ姿勢。

レベルよりも取り組み方。本格度よりも創作性。広く一般に届く作風。

そこで思い切って提言したいのだが、中学部門は思い切って自作振り付けに限ってみてはどうだろうか。当然、振り付けは拙くなるだろうが、逆にハードルは下がり、参加校が増えるかもしれない。そこでの教育的意義は高いし、高校にあがるまでの準備期間としても良い能力が得られるはずだ。
すでに、同志社や品川女子、明大明治のような自作チームには、独特のエネルギーや中学生ならではの独創性が見られている。制作過程において、高校生の指導や交流も有意義だろう。

必修化になっているわりに中学ダンス部の絶対数はまだまだ少ない。それだけ、中学校側はまだ部活としてのダンスに意義を見出せていないのだ。
レベルではなく、意義を求める「中学生だけで作ったダンスの大会」、中学生大会の打開案にはならないだろうか。

石原久佳(ダンスク!)



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