ヒラメキは心が動く瞬間〜 ダンス部コーチASUKA Yazawaの連載コラム「ホンネとオモイ」#02

2018.03.18 COLUMN

#02:ヒラメキは心が動く瞬間

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C)hyacco

ダンス部に所属する皆さん、こんにちは!
狛江高校ダンス部コーチのASUKAです。

前回は、居心地のいい場所=コンフォートゾーンについて書きました。
実はこの話、私が学生時代のバイト先の店長が、将来について悩んでいる私にしてくれた話なのです。

勇気を持ってコンフォートゾーンを上げていかないと、辿り着くゴールはいつまで経っても変わらないよ、という話でしたが、そのゴールとしてもダンス部で掲げる人が多いと思われるのが「大会」。
年度末の大会シーズンがもう始まっていますね!

作品の振り付けやコンセプト、構成に悩んだりした時、皆さんは何をしますか?

一つにはYouTubeなどでいろんな作品やダンスを見るのではないでしょうか。
あるいは、レッスンとかWSとか、ダンス公演を観たりとか、生の現場でいろいろな刺激を受けているかもしれませんね。

私も同じでした。

でも、ある時にそんな着想を変える出来事があったのです。

ある楽曲の振付に、アシスタントとして関わった時のことです。
取り掛かろうとした振付師の方が、
「こういう感じにしたい」
そう言いながらスタジオでこれから振り付ける音楽を流し、手の中のスマホを見せました。

その画面には不思議な映像が流れていました。
時間が巻き戻ったり、タイムラプスになったり、ビルが少しずつ解体されていったり…とにかくダンスではなかったのです!

私は、このアイディアの持ち方の斬新さに静かに驚いていました
と同時に、考えて理解するというよりは感覚的に、振付師の方が言わんとしていることが伝わってきました。
音楽とイメージが、元は別々のものだったのに、一つのものとして成り立っていて…その「感覚」に、何か色々と感激していました。

その頃の私の中では、ダンスはダンスからアイディアをもらうことが定着していました。
でも、ダンスじゃないものの方が、ある意味抽象的で、表現の幅が広がると体感した瞬間だったのです!

それからというもの、空いた時間にいろんな映像をネットサーフィンして見てみたり、美術館の展示会に足を運んだりするようになりました。
そして作品作りの時には、必ずイメージの参考映像や画像や言葉を、ダンス部のみんなにも提示するようになりました。
映像はダンス作品の映像の場合もあれば、アーティストのMVの時もあれば、ドラマの1シーンだったこともあります。

そう、ドラマやアニメでの説明は身近なものなので、意外とわかりやすいのです。
みんなの中での消化が早いのも、反応でわかります。

「思い合ってる男の人と女の人が電話してて、会いたい…ってなって走って会いにいって、音楽がどんどん高まってきて…ようやく会えた!みたいなドラマのシーンあるじゃん!? それをこの曲でいうと…」

ダンス部のみんなにこんな説明をしていて、口にしていた自分自身で笑えてきてしまったけど、

「めっちゃわかりやすい〜」

と、みんなもその胸の高ぶりやクライマックス場面の駆け足感をしっかり把握してくれて、そのあとの空気が気持ち良かった記憶があります。
感覚的にイメージを共有することで、みんなの空気感や踊り方が変わった、もしくは、まとまったのでしょう。

作品に対してもっとやれることはあるはずだけど、これ以上何をしたらいいかわからない…
真面目に毎日同じ作品に向き合って、毎日必死に踊り込んでいれば、当然陥る状態です。

言われたことを修正していく。
確実にしていく。

そして考える、
何故そうなのか?

ただその先に踏み込むには、形を整えていくだけではダメだと気づくでしょう。

「他のものを見るといいよ。自分たちの映像だけじゃなくて」

それはダンスでもいいし、ダンスでなくてもいい。
むしろ映像でなくてもいい。静止画でも文字でもいい。

感性が委縮しないまま、自由に刺激される他の何かが必要なのです。

自分の好きな物事、嫌いな物事を考えてみてください。
ドキドキしたことや胸がつまったこと、ハッとした経験を振り返ってみるのもいいかもしれません。

心を動かせる作品を目指すには、心が動く瞬間を知ることから始まります。

もしかしたら、ちょっとよそ見していた方が違う表現が開けるかもしれないですね。

ASUKA Yazawa

(つづく)

#01:コンフォートゾーン?!

C)hyacco



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