ダンススタジアム2019年ビッグクラス優勝は帝塚山学院!出場50チーム写真付きレポート

2019.08.18 HIGH SCHOOL

>>01〜26チームより

 

27)大阪府立堺上高等学校
仮面を使った独創性の高い演舞。中盤からの盛り上げも効いており、音取りの緩急を表現するスキルも高い。

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28)京都明徳高等学校
メディアで紹介された鬼顧問で有名な常連校。まだ全体に体の硬さを感じるので、しなやかさ、強さ、バウンス感をもっと表現できるようになりたい。

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29)実践学園高等学校(東京)
衣装の視覚効果と隊列の変化で見せる同校得意のスタイル。後半は一気にグルーヴを増して盛り上げどころを作った。

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30)沖縄県立浦添高等学校
ヒップホップ王道のバスケテーマ。振り付けが速くややバタついた印象があるが、沖縄のチームとして今後の飛躍に期待したい。

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31)東京都立王子総合高等学校
メリハリとトメの効いたガールズヒップホップチーム。ダンス力は十分だが、ダンスタで上位にいくにはここに独自性と演出を乗せる必要があるだろう。

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32)愛知県立昭和高等学校
雨上がりをテーマにドラマチックな構成で惹きつける。個人的には、雨合羽のファッション性にこだわってほしかった。

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33)大阪府立泉陽高等学校
群が生き物のように伸縮するスキルは関西トップレベル。後半の邦楽曲との世界観の合致がもう一つか。

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34)大阪府立柴島高等学校
ボディコントロールが図抜けている。出ハケを使わず大人数の迫力を効果的に使う。大所帯ヒップホップダンスのショーのあり方としてほぼ完璧に思える。

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35)日本女子大学附属高等学校(神奈川)
初出場でこのレベルは頼もしい。群舞の作り方と楽曲のマッチングがすばらしく、万華鏡のように変化するフォーメーションに引き込まれる。

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36)東京都立大森高等学校
忘れかけた頃に復活したダンス☆マンのパロディ。ダンスの多様性と楽しさを伝えてくれる。

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37)大阪府立久米田高等学校
力と強さと立体感の久米田。今年はその豪速球を2種類用意したかのような2部構成だ。悲願の日本一を目指す想いと試行錯誤がひしひしと伝わってくる。

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38)東京都立富士森高等学校
Superfly1曲使いでの女子らしい作品。スカーフとスカートの羽ばたきが効果的な稜線を描いていた。

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39)同志社香里高等学校(大阪)
冒頭から押し寄せる緊張感。王者のオーラと凄みが観客の感情に強く訴えかける。ワックのスピード感と音の余韻の表現力はやはり同志社の特徴であり最大の武器だ。

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40)大阪府立和泉高等学校
音取りに優れた強豪校。スリラーのリミックスでバウンス感たっぷり。

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41)大阪府立金岡高等学校
途中から衣装変えしてワックらしくなったが、衣装替えの前後でダンスも変えられると良かった。

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42)武南高等学校(埼玉)
体をフルに使いフォーメーションに変化を見せるドラマチックな展開。ただ、高校ダンスの手法として定番になってしまった感があるので、今後はもう1つ工夫が必要か。

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43)光ヶ丘女子高等学校(愛知)
ダンスとコメディ要素のバランスが良い。高校生らしい等身大の演出で好感が持てる。

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44)神奈川県立横浜平沼高等学校
関西の強豪校を彷彿とさせる芸術的なパフォーマンス。エンディング前の転換部の意図が伝わりにくかった。

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45)品川女子学院(東京)
1シーズンで1つの作品をじっくり磨き上げるのが品女の特徴。まるでミスコンのテーマとシンクロするかのように、磨きあげた女性たちによる美の競演であった。

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46)東京都立狛江高等学校
都立高校の代表格は、ひときわ大人っぽい世界観で勝負。振り付けと演出はすでに完成されているので、あとはいかに自分たちの作品としてのエネルギーを発することができるかだ。

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47)三重高等学校
三重高校らしい駆け抜ける青春ロックダンス。キレとスピード感、やはり直球勝負がこのチームの真骨頂だ。

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48)東京都立鷺宮高等学校
押せ押せのダンスが特徴の同校だったが、今回は緩急や押し引きが効いており、見所が多かった。

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49)大阪市立汎愛高等学校
部員のみによる創作にこだわっているだけあり、内側から出てくるエネルギーの質が違う。音取りのバリエーションをもう少し増やしたいところだったが、今後もそのスタイルは貫いてほしい。

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50)日本大学明誠高等学校(東京)
水をテーマにした衣装と音楽の演出効果はこの日一番。抽象表現とグルーヴをミックスさせるアプローチは独自性が高い。今後の進化に期待。

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51)大阪府立堺西高等学校
疾走感あるピアノジャズ1曲使いでノリを貫徹し、群の変化を目まぐるしく変化。悲願の日本一への決意が現れたかのような会心のステージ。

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レポート:石原久佳(ダンスク!)
写真:永井浩

 

【審査結果】
優勝:帝塚山学院高等学校(大阪府)
準優勝:大阪府立堺西高等学校(大阪府)
優秀賞:
3位:大阪府立久米田高等学校(大阪府)
4位:三重高等学校(三重県)
5位:駒澤大学高等学校(東京)
6位:大阪府立東百舌鳥高等学校(大阪府)
7位:同志社香里高等学校(大阪府)
8位:山村国際高等学校(埼玉県)

審査員特別賞:横浜創英高等学校(神奈川県)
エースコックスーパーカップ特別賞:東京都立八潮高等学校(東京都)
産経新聞社賞:東京都立大森高等学校(東京都)
(社)ストリートダンス協会賞 :二松學舍大学附属高等学校(東京都)

>>全チームの順位・得点はコチラ

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【総評】
今こそダンス部大会「審査」の見直しを

今回は同志社香里の三連覇ならず、というのが今大会のトピックだろう。
その代わり優勝したのがスモール、ビッグ共にダンスタでは新鋭と言える2校だ。

スモールは福岡の柳川高校。ロックダンスの出場チームが多い中で、ステージを大きく使い、エネルギッシュで華やかな印象を残した。
ビッグは大阪の帝塚山学院。創作ダンスの出身であり、ダンスタに挑戦したのは昨年からだが、他校とは別のルートで頂上を極めた感がある。ピンと張りつめた表現力は他とは一線を画しており、こちらもステージの使い方が大胆かつダイナミックだ。

そう、ダンスタ決勝は大会場のため審査席が遠いので、ステージを大きく使うことが重要なポイントになる。ちょうど審査席の位置からステージを見ると、指でスマホの画面を作った大きさに演者が収まるぐらいの距離感。近年は、スマホ映え・SNS映えする二次元的なダンススタイルが主流になっていると感じるのだが、細かいニュアンスやグルーヴよりも、瞬時に切り替わるポージングとその繋ぎ方、大胆な位置変えやフォーメーションチェンジが、この大会でも「映え」るように感じる。

そこで、そろそろ見直した方が良いと感じるのが本大会の審査基準と審査員である。
ダンススタジアムの審査基準は以下の通り。
①ビジュアル 10点 - 衣装・表情
②エンターテイメント10点 - 演出・振り付け・ショーマンシップ・動きのメリハリ・見せ方
③テクニック 10点 - ダンス技術・全員の動き・バランス・合わせが揃っているか
④音楽 10点 - 使用音源の選曲・構成
⑤スペシャリティー 10点 - 各審査員ごとの全体的総合評価

他の大会より、作品力や総合力を評価する傾向があるので、このような審査基準となっているようだが、個人的にはダンス力(テクニック)とビジュアルや音楽が同点数であることが以前からの疑問点だ。
そもそも、あの審査席の距離から衣装の微細や表情は見えるのだろうか(審査員の視力にもよるが)。経験豊富な審査員がその辺りを想像力で汲み取るとしても、実際目の前で見るのとは大違いだ。ダンスは、画面で見るのと目の前で見るのとでは立体感や迫力がまるで違う。表情やグルーヴを武器にしているチームには不利な状況だと言える。

また「音楽」の項目に関してもどういった選曲や構成が高評価に当たるのかが明確ではない。選曲自体に優劣はあるのだろうか。その繋ぎ方は「テクニック」同様にシビアに審査されているのだろうか。ダンサーや識者以外にここを審査して得点化できるのだろうか(個人的にはここを、音楽を感じる技術=音取りの的確さや斬新さと注釈してくれればしっくりくるのだが)。

本大会の審査員は前年同様、ダンス経験のない大会関係者4名に、協会理事1名、プロダンサー4名という構成。関係者がダンサー審査員と同等の得点を持っていることには出場チームからざまざまな意見が出ているが、個人的には今回のプロダンサー審査員の選定にもやや違和感を感じた。

ダンサー4名を専門ジャンル別で見ていくと、ハウスが1名、ブレイクが1名、高校ダンス部大会を初めて観るというコンテンポラリーダンサーが2名。逆に、大会に出場したチームは、ほとんどがヒップホップ、ジャズ、ロック系のチーム。ブレイクは数チーム、ハウスは1チーム、コンテと呼べるようなスタイルのチームは見当たらなかった。

筆者も大会の審査員を務めることがあるが、例えばブレイクダンサーはジャズのチームのテクニックの審査は甘くなり、その逆も然りという傾向を感じる。オールドスクールのダンサーがその系統のチームを高評価するような場面も見る。
そういう意味では、ダンス界には他競技のようなプロの審査員は存在していないのだ。審査員が現役の人気ダンサーであり、そのバリューがイベントのバリューを付加する形は、ストリートダンスイベントの名残と言えよう。

加えて言えば、出場者の男女比が女性8〜9割なのに対して、審査員の男女比率は7(男性)/2(女性)。男女による審査の違いが明確にあるとまでは言わないが、男性が思う「カッコイイ」と女性が思う「ステキ」の観点は違うだろう。両者は歩み寄ることはできるが、審査ともなれば当然自分本位となる。いわゆる「好み」が出てくるのだ。
特に今回のスモールクラスの結果は「男っぽい」匂いがあったと個人的には思う。
ちなみにチアダンス大会の審査員はほぼ女性。チアダンサーとしての経歴や知名度によるものではなく、共通の審査訓練をした審査団により構成されている。

今回のダンサー審査員の経歴や見識自体は素晴らしく、その力量を疑っているわけではない。ただ、日本一の高校ダンス部チームを決める審査員の選定として「わかりすく適切」であっただろうか。
他ジャンルの識者から見た評価が大事なのもわかる。大会関係者の審査員は「一般目線を大事にする」という意味合いで列席しているという。では、大会の審査の軸となる「専門目線」はどの程度占めているのだろうか?
コンテ系ジャッジの総評にあった「世界中で自分たちにしかない振り付けや構成でやってほしい」というのはプロダンサーの理想としては素晴らしいが、学生ダンス大会の評価基準としては目線が高すぎやしないだろうか?

優勝した2チームや入賞チームの頑張りに水を差すつもりはないが、今回の結果にはそういった審査システムが大きく影響していると例年以上に強く感じた。全員が納得できるような結果はもちろんあり得ない。ただ、ほとんど全員が納得して参加できる大会の体制を整えることが、最大規模を誇るダンススタジアムの今後にとって最大の課題ではないだろうか。

学生たちは、当日発表される審査員の審査によって、2〜3年間の血のにじむような努力の結果が出されることに覚悟を決めて挑んでいる。どんな結果が出ようと受け止めようと、仲間と手を握りしめ、震えながら結果発表の瞬間を聞き入っている。

ダンススタジアムのみならず、すべてのダンス部大会が部員たちのそんな覚悟に値する大会であり、審査システムであり、学生ファーストの理念を持っていること。
ただ乱立するのではなく、各大会の多様性がそのままダンスの多様性や可能性を引き出していくような状況を心から望んでいます。

ダンスク編集長:石原久佳

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