大編成は安中総合が優勝!2019年「全日本高等学校チームダンス選手権〜大編成」出場全27チームレポート!
2019.09.20 HIGH SCHOOL
14)千葉敬愛高等学校
しなやかに伸び縮みする群舞ならではの構成とシルエットの綺麗さが印象的。生徒自作のエネルギーも伝わってくる。
15) 羽衣学園高等学校(大阪)
アダルトな表現に安定感のあるフォーメーション。やや動きの硬いメンバーが目立った。
16)三重高等学校
今年は作品によって浮き沈みのあった三重高校だが、ここは真骨頂のスピーディなロックダンスで直球勝負!
【3位】
17)樟蔭高等学校(大阪)
42人での重層的で多面的な構成力が際立つ。魔力のような身体表現力も樟蔭ならではの魅力だ。
【優秀賞】
18)二松學舍大学附属高等学校(東京)
男子メンバーのエネルギーがグイグイとチームを引っ張る。コンスタントに良いチームを作り進化させるダンス部。ちなみに1枚目の写真は今大会ベストショット!
ここで断言、良い写真がたくさん撮れるチームのダンスは良い!
19)関西学院高等部(兵庫)
魔女をテーマに創作ダンス的な構成力でダンス力をカバーしている。弱点を目立たせない好アプローチだ。
20)北九州市立高等学校(福岡)
会場から大拍手で迎えられた地元チーム。ストリートダンスの普遍的な魅力を伝えてくれるパフォーマンス。バランスの良さ・展開の早さでも今夏ピカイチの作品だ。
【優秀賞】
21)広陵高等学校(広島)
昨年に同好会から部に昇格した新人チーム。チョビヒゲをトレードマークに渋いノリのロックダンスを披露した。
22)沖縄県立八重山高等学校
沖縄のチームはやはり表情が明るく伝わってくる。ダンスと曲のバランス、展開のスピード感も良いが、単調にならないもう一工夫がほしい。
23)大阪府立久米田高等学校
全国上位常連校の久米田だが、毎年このタイミングで代替わりし、後輩が先輩の振り付けを引き継ぐ。だからクオリティは落ちて当たり前。次年度の成長ぶりを期待しよう。
24)桜丘高等学校(愛知)
最大武器の大きなノリのヒップホップで勝負。小編成同様、強靭なフィジカルを効かせた動きとグルーヴが他を圧倒する。
【準優勝】
25)大阪府立金岡高等学校
衣装替えを効果的に使ったソウルダンス。見るたびに表現力が高くなっているチームだ。
【最優秀チームワーク賞】
26)群馬県立安中総合学園高等学校
冒頭の大きなステップだけでグッと観客をツカむ。そこから徐々に動きのスピード感を増し、刺激的に展開を作る。グルーヴのニュアンスが貫徹しているので、観客のアテンションも途切れない。素晴らしいグルーヴ。
【優勝】
27)鎮西高等学校(熊本)
主役男子の見慣れない違和感と彼の尋常ではない表現力が、作品のビッグインパクトにつながっている。定石を壊すような同校の作品作りはこれからも楽しみだ。
【優秀賞】
文部科学大臣賞(総合優勝)
桜丘高等学校
ソロバトル大会(TEAM 1グランプリ)優勝
小野 海洋(仙台城南高校)
▲毎年盛り上がる各校代表選手によるソロバトル。各選手のスキル、対応力、音への反応力はもはや高校生レベルではない。高校生バトルはまだまだ発展しそうだ。
【結果】
小編成部門
優 勝 桜丘高等学校(愛知県)
準優勝 鎮西高等学校(熊本県)
第3位 仙台城南高等学校(宮城県)
優秀賞 大阪府立渋谷高等学校(大阪府)
優秀賞 日本体育大学桜華高等学校(東京都)
優秀賞 北九州市立高等学校(福岡県)
大編成部門
優 勝 群馬県立安中総合学園高等学校(群馬県)
準優勝 桜丘高等学校(愛知県)
第3位 三重高等学校(三重県)
優秀賞 樟蔭高等学校(大阪府)
優秀賞 北九州市立高等学校(福岡県)
優秀賞 鎮西高等学校(熊本県)
最優秀テクニック賞 小編成 目黒日本大学高等学校(東京都)
最優秀コレオグラフ賞 大編成 愛知県立昭和高等学校(愛知県)
最優秀コスチューム賞 大編成 武南高等学校(埼玉県)
最優秀チームワーク賞 大編成 大阪府立金岡高等学校(大阪府)
文部科学大臣賞(総合優勝)桜丘高等学校(愛知県)
審査員コメント:LEE
「初めてダンス部大会の審査をしましたが、みなさんすごくカッコ良かったです。チームには光と陰があって、後ろで支えている人がいないと成立しないんですが、その陰の部分がしっかり見えて、涙が出るほど感動しました」
審査員コメント:KENJI
「どんどん大きくなるこの大会を肌で感じました。みなさんのダンスからものすごい努力を感じ、そこで鎬を削っている様が素晴らしいです。毎年のレベルアップは続いていくので、これからは高いオリジナル性を競い合う時代になるのではないかと思いました」
審査員コメント:宮田健男
「今年は今まで一番レベルが高く、厳しい戦いだったと思います。この大会はダンスにフォーカスした審査なので、ここで優勝できるのは価値があると思います。とはいえ、賞の如何に関わらず、出場者には自分の成長やプライドを持ち帰って欲しいです」
審査員コメント:坂見誠二
「審査しながら感動しっぱなしでした。みなさんの作品を作る力もそれを表現するスキルも素晴らしいです。さらに、音や曲の表現においてもプロから見ても驚く場面があり、そのぐらいハイレベルでのわずかな差で順位がついたと思います」
<<総評>>
3回目の取材となるチームダンス選手権。 大会のレポートはもちろんだが、個人的にはゲストのGOGO BROTHERSのゲストショーも目当てだった。
単に彼らのファンでもあるし、発展するダンス部界で彼らがショーをすることはとても重要なことだと考えたからだ。
楽屋で会う彼らはいつもハッピーで、笑顔を絶やさない兄弟だが、口数が多い方ではない。
その代わり、ダンスの方はとても雄弁だ。
13年前に音楽界からダンス界へ来た私の身としては、彼らは音楽とダンスの2つを繋いでくれた存在である。まるでミュージシャンのように、とても音楽的なダンサーなのだ。
彼らが踊り出すとそのカラダから音楽が流れる。
グルーヴ、ビート、ソウルフル、息遣い、生き様、メッセージ…etc.
血筋の通り、ストリートダンス/黒人ダンスの正統な継承者ではあるが、そのダンスに古臭さを感じさせるわけでもなく、斬新さがあるわけではない。
ただただ感じるのはストリートダンスの普遍性とその歴史だ。
彼らのショーを見て改めて感じたことを列記してみよう。
・ダンスは基本的にコミュニケーションアートであり、観客やチームメイトとの交歓によってその場(LIVE)で産み落とされるもの。
・音ハメにこだわりすぎるのではなく、曲をバックトラックのようにしてダンスで歌う(メロディを作る)感覚。
・小さな動きやニュアンスや表情の変化だけでも十分に表現は出来る。それが出来ると大きな動きもより映える。
・踊らない部分=間(マ)を常に意識すること。その間が観客をステージに引きずり込む。
・テクニックはそのものを押し出すのではなく、あくまで表現の下支えとして観客のためにあるもの。
オリジナリティや個性を「その人らしさ」「人間臭さ」だと考えてみると、音の取り方やニュアンスや表情や間の持ち方で十分にオリジナリティは出せるのだ。
「個性的」というと奇抜な動きや演出と捉えがちだが、ストリートダンスのスタイルをベースにしながらまだまだ追求できる部分はたくさんある。学生らしい発想で大人やプロを驚かせることだってできる。
音をどうカラダで表現するか——?
すべてのダンスの命題であるこの部分を追求できるのが本大会であり、今年の優勝2チームもその頂点に相応しいダンスだったように思う。
レポート:石原久佳(ダンスク!)