元ダンス部の人気声優 宮本侑芽さん登場!ダンス部員の未来のカタチ(後編)

2021.09.04 HIGH SCHOOL

高校ダンス部員のみんなが気になる進学進路。
コロナで先行きが見えにいくからこそ、真剣に自分の仕事について考えてみたいそして、みんなのダンス部での活動は必ず、将来に繋がってくる。
今回の特集では、「ダンス部のアレがあったから…」と進路を切り開いた先輩たち7人に、「未来のカタチ」を伺ってみた!

前半に続いて後半の2人が登場!

インタビュー&文:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

 

広尾学園>>>
声優

宮本侑芽さん

 

踊る時は歌うように
声入れの時にはカラダで表現

アニメ声優といえば、今や憧れの職業のひとつだ。激しい競争の世界だが、人気アニメへの出演を重ねる宮本侑芽さんにとって、仕事で一番大事なことは「人間力」だという。

「当たり前ですが、挨拶をする・礼儀を持つ・マナーやルールを守るということがどの世界でも一番大事ですよね。私はそれをダンス部で培ったと思います!」

宮本さんの出身校は、都内の進学校・広尾学園中学・高校。週3回という練習日ながら、高い集中力と芸術性で幾度も全国大会出場を果たすダンス強豪校だ。
筆者も何度も取材に訪れているが、部員たちの意識の高さと大人びた言動にはいつも感心させられる。

「でも私がダンス部に入った頃は、まだ挨拶やマナーをしっかりする雰囲気ではありませんでした。そこでまず私たちがまず取り組んだのが、挨拶運動です。職員室に入る時も〝ダンス部の宮本です!〞って、わざわざダンス部を強調したり……まるで選挙運動みたいですよね(笑)」

挨拶とマナー改革から、徐々にダンス部の雰囲気や評判は良くなり、そして中2の時には、いきなり中高ダンス部をまとめる部長に推薦されたのだ!

「私はダンスで引っ張るタイプではなかったけど、平和主義者で、わりとまわりを見ている方だったので、部長に選ばれたんじゃないかと思います。でも正義感が強かったから、合宿中のスマホの使い方ルールを守らないことを議題に挙げて、合宿練習せずに泣きながら話し合いしたりしました。今となっては良い思い出です(笑)」

やがて部員のマナーや意識も高くなり、顧問やコーチのサポートも加わり、広尾学園ダンス部はより成長できました。専用の練習場所を確保できるなど、学校からも広尾学園を代表する部活に成長していったのだ。

「女性ばかりの部活だったので、人間関係での喧嘩は多かったですね。実際、派閥とかもあったぐらいなので(笑)、なかなか1つにまとまるのは難しい。そこは一歩引いて、ダンス部として良い作品を作ることを優先させていました。マナーやルールに関してはうるさく言いましたけど、人間関係までは完璧にはできないのが正直なところですね(笑)」

変えるべきところは変え、難しいところには現実的に対処する。若いうちから非常に大人びたリーダーシップをとっていた宮本さんだが、驚くべきことにダンス部と同時進行で仕事もこなしていたのだ。

「父親の好きだった矢沢永吉さんのライブ映像に衝撃を受けて(笑)、小学生の時に習い事で歌やダンス、お芝居を始めました。時代劇の舞台でカツラが取れちゃったり(笑)、監督さんに叱られて泣いちゃったり、子供の頃からいろんな経験をさせていただきましたが、根性は身についたと思います!」

父親の転勤で東京へ引っ越し、中学から広尾学園へ、そして大学進学。受験勉強・仕事・ダンス部を両立するコツは何だったのだろうか。

「何事も偏りすぎないことだと思います。ダンス部の友達も仕事の人間関係も、両方楽しむ。声優の仕事はオーディションがつきもので、毎週のように受かったり落ちたりを繰り返しているのですが、ひとつのことに全身を向けてしまうと、ダメだった時にドスンと落ちてしまうんです。気分転換を大事に、気軽に臨んだ時の方が良い結果になることもありますしね!」

現在は大学を卒業し、本格的に声優の道を歩み始めている宮本さん。凛とした声で演じる芯の強いキャラクターたちは、彼女自身ともオーバーラップする。今ではダンスは「一番の楽しみ」の趣味として続けているという。

「ダンスでは声が出せなくて、声優はカラダで表現できない。だからこそ私は、踊る時は歌うような意識を持って、声入れの時にはカラダで表現する意識を持っています!」

 


▲広尾学園中学高校時代は中2から部長を担当する。前列中央が宮本さん。

プロフィール●福岡県出身、劇団ひまわり所属。幼少期から、ダンス・歌・演技の舞台を経験し、広尾学園へ入学。第1回日本ダンス大会では蝶理特別賞を受賞する。これまで『アイカツ!』『GJ部』『SSSS.GRIDMAN』『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』などの人気作品に出演。

 

 

石川県立金沢二水高>>>
エンタメ企業:エイベックス(株)

八幡裕也さん

 

ダンスに助けられたからこそ
ダンスに恩返しを

漢字二文字の表現を争うダンス部大会DCC(DANCE CLUB CHAMPIONSHIP:全国高等学校ダンス部選手権)は今年、コロナ禍のなか無観客開催される予定で、ダンス部員たちのやる気と想いに寄り添っている。
エンタメ企業のエイベックスが主催しているだけあって、華やかな演出やメディア露出も魅力のひとつだ。数年前からその運営指揮をとっているのが、石川県立金沢二水高等学校ダンス部だった八幡裕也さん。

「ダンス部というか当時は同好会でした。石川県で初めてのダンス部だったので、取材に来ていただいたり、24時間テレビから声がかかったりと、良い思い出がたくさんありますね!」

エイベックス入社7年目の八幡さんが学生時代に熱中したのはブレイクダンス。ナインティナインの岡村隆史さんがテレビで披露していたのを見たのがきっかけだという。
中学時代、昼休みの廊下で見様見真似で友人たちと床を転げ回ったり、DVDなどで研究をして、ダンスへの憧れを膨らませた。

「高校へ入ったら、1つ上の先輩がダンス同好会を立ち上げていて、そこに友人と飛び込みました。当時は、ストリート系のダンス部が出られるような大会がなかったので、どうやったら部に昇格できるかを考えていましたね。当時、応援してくれる先生もそうじゃない先生もいましたが、文化祭でショーを披露したらすごく沸いて、翌年の新入部員が1人以上も入った時は嬉しかったですねぇ!」

大学でもダンスサークルで代表を務め、ダンス漬けの日々を送る。進学校のため部活動に割ける時間が限られており、人より少ない時間で、人より多くの結果を出す方法を日々考えて活動していたという。

「代表としては個性派揃いの部員をまとめたり、困難にぶつかった時にどう対処するかを経験しました。例えば、何かを決める時にAかBの選択肢があって、どちらかに決めにくい場合、僕が最終的に決めるわけです。そこでは、反対意見のメンバーにきちんとロジックで説明できる必要があるんだと実感しました」

大学時代は、日本一に何度も輝いている強豪チー ムのメンバーにソロバトルで勝つなどの成果を上げながら、理系の知識を深めるために大学院へと進む。理系らしい理詰めの戦い方が肉体派揃いのブレイクのバトルで功を奏することがあったという。

「よくシブい動きだねって言われてましたし、玄人好みのスタイルだったかもしれません(笑)。大学院に入れたのも、〝ダンスやってるから面白いヤツかも〞っていう評価があったようです。いわばダンスに助けられた わけですね!」

技術職への就職活動を進めながらも、八幡さん はダンスへの想い、エンタメへの憧れを募らせていく。そこで第一志望をエイベックスに切り替えるが、就職試験では残念ながら不合格。
しかし、エイベックスが開催するエンタテインメント・ビジネススクールを経て見事に敗者復活、インターン経験から入社 、ダンス事業を行なうグループへの配属が決定したのだ。

「ダンス経験があることは仕事で参加するどのチームでも歓迎していただけました。配属されてすぐにダンスアニメの制作チームに混ぜていただいたり、好きでやっていただけのダンスの知識を仕事に活かすことができました。あとダンサーって、音編集だったり、映像だったり、ステージの場当たりだったり、 自分たちの活動の中でちょっとずつ自前でできるものなんですよね。ダンス部も同じく自分たちでやる仕事の範囲が広いです。そういう部分も仕事で役に立ったと思います」

そして、DCCには3回大会から運営に参加。 元ダンス部として、ストリート系の大会が存在しなかった時代を過ごした身としては格別の想いがあったという。

「はじめてDCCを見た時の感動は忘れられないですね! ダンス部の〝この1回にかける想い〞はプロのスキルをも上回る感動があります。そこに主催者側 として関われるのはすごく嬉しいことですし〝高校生のために〞という想いを貫いていこうと思っています。これからもダンス部のニーズに合わせてDCC を進化させていきたいですね!」

プロフィール●石川県出身、高校時代にブレイクダンスを始め、ダンス歴は16年。2014年にエイベックスへ入社し、ダンス関連のコンテンツ事業やイベント事業を担当する。


▲八幡さんの担当であるDCCは今年、無観客ながらもリアル開催に成功! レポート記事はコチラ

 



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