【連載3回目】チームを鍛える!!!〜ダンス部ならではの多様な活動と大会出場

2022.10.17 HIGH SCHOOL

チームを鍛える!!

〜強いダンス部の組織作り〜

>>第2回目より

文:石原ヒサヨシ(ダンスク!)
ダンスク!No.40から転載

 

 

#05:年間スケジュール

 

春は勧誘、夏は大会、秋はイベント、冬は練習
1年中忙しいダンス部のスケジュール

 

#新入部員の勧誘と3年生送り出し
#校内のイベント
#大会出場や合宿

ダンス部の運営について、年間でこなしていくスケジュールにのって大まかに解説していこう。

4月「新入部員勧誘」
部を盛り上げていくにはやはり新入部員が多くいたほうが良い。入学と同時に、部員の勧誘や体験入部が始まっていくだろうが、学校によっては、新入生歓迎のイベントなどでダンスを披露する場合もあり、これを見て入部を決める生徒は多いという。そこでは、ぜひカッコいいダンスを披露して、部の楽しさを伝えていきたい。強豪校の場合は、入学前から入部を決めている生徒も多く、大会やメディアでの活躍、SNSなどでのPR活動も、現在では新入部員を勧誘する重要な要素になっている。

5月「新体制のスタート」
ゴールデンウィーク明けに新入部員が入り、3学年揃っての部活動となる期間だ。新入生の指導はもちろん、6月引退が多い公立高校の3年生は大会出場や校内イベントの準備に入る。この時期に体育祭がある学校も多く、ダンス部が応援パフォーマンスとして駆り出される場合もある。

6月「自主公演」
3年生の引退公演も兼ねた自主公演を行なうダンス部が多い。校内開催以外に、最近では校外施設での本格的な公演も増えている。ここでは、ダンスの作品作りだけではなく、さまざまな仕事や役割が発生してくるので、3学年で協力し合っていきたい。ダンス部の最大の思い出として、この「自主公演作り」を上げる卒業生は多く、それだけ有意義な経験ができるのだ。


▲人気ダンス部「三重高校」の自主公演の模様。ストーリーを盛り込んだ、エンタメ性あふれる公演だ。

7月「大会予選」
夏の大会の予選がこの頃からスタートする。最近では動画審査も多いので、そのための振り付けや撮影に追われるだろうから、スケジュールに余裕を持って臨みたい。制作だけではなく、大会への申請なども部員の大きな仕事になる。締め切りや要綱などに注意を払い、思わぬところで失敗しないようにしたい。また、大会会場までの移動や到着後の動きなども事前にシミュレーションしておこう。すべて、皆さんが社会に出てからも役に立つような仕事の予行練習になるのだ。

8月「全国大会や合宿」
予選を通過した学校は、決勝へ向けての踊り込みの時期だ。また、夏合宿に入る学校も多い。外部の施設を借りて、数日間の集団生活を送れば、チームワークはより深まっていく。一日中ダンス漬けの合宿トレーニング、ハードだがこれもまた良い思い出になる。暑い時期なので、水分補給や熱中症対策には部全体として気をつけたい。

9月〜10月「引き継ぎ」
ダンス部の活動としては落ち着いたシーズンだ。この時期に、地域のイベントに声がかかるダンス部も多い。地域に愛される部活になれるよう日々の挨拶や活動をがんばりたい。8月まで3年生が活動する部の場合は、9月が引き継ぎの時期となる。下級生は先輩たちの想いや伝統を受け継ぎ、責任感をより強く持って部の運営にあたっていこう。

11〜12月「文化祭」
ダンス部は文化祭の華だ。体育館でのステージは同級生の声援で盛り上がり、入学希望者の中学生にもアピールできる。文化祭用に振り付けをたくさん作る時期でもあり、1年生には初ステージとなる場合が多い。年末にはバトル大会なども開催される。

1月〜2月「冬練習」
めっきり寒くなる時期だが、強いダンス部は年中Tシャツ姿で練習に励んでいるようだ。秋冬はダンス部の地固めをできる時期なので、さまざまな練習やダンスジャンルを試してみてほしい。最近では、複数校での合同練習で刺激をし合ったり、動画制作などにトライする学校も多い。

3月「新人戦」
1年生にとっては最初の大会である新人戦が行なわれる。この結果如何で自信を深めたり、軌道修正をしたりできるので、大会未経験のチームもぜひ挑戦してみてほしい。また、この時期に引退公演を行なう学校も多く、後輩や仲間、家族や友人に見守られながら、感謝の気持ちをダンスで表現する3年生の姿はいつも感動できる。

 

#06:さまざまなダンス部大会

 

ダンス部の潜在能力を引き出す大会出場。
大会と自分たちの相性を見極めよう

 

#ストリート系の主要大会
#作品重視かダンス力重視か
#ストリート系以外の大会

ダンス部活動の最大の勝負と言えば、大会への出場だ。ダンス部大会は年々増えているので、ここで主要大会をおさらいしておこう。

ダンススタジアム(日本高校ダンス部選手権)
今年で15回目を迎える最大規模のダンス部大会。元々は、大阪のマネジメント会社が企画し、ダンス協会とメディア企業が主催となっている。公式大会のないダンス部大会の中で、その歴史と規模によって公式大会と指定する学校が多い。過去には作品性や芸術性の高いチームが評価されているようだが、今年から審査項目が新たたに追加されているので、今後の審査傾向に注目したい。8月決勝の夏の全国大会、3月の新人戦、12月のバトル、そして秋のウェブ戦など年間を通して各種大会を開催している。

DCC(DANCECLUBCHAMPIONSHIP)
日本にダンスミュージックを根付かせたavexが主催する、今年10回目の大会。漢字二文字の表現性を審査するという独自の審査基準で、エンタメ企業らしく華やかな演出が特徴だ。ダンスタと立て続けで出場するチームもあれば、同じ作品でもメンバーを変えて出場する学校もある。ダンスタ同様にオンラインや、各種メディアでの観覧もできるので、同チームの評価の違いなどを比べてみるのも面白い。


▲今年のDCC全出場チームの衣装とダンスをレポートした動画。

全日本高等学校チームダンス選手権
ダンス部の顧問の先生方で組織される連盟が主催(今年で12回目)。7月から地方予選、9月に北九州で決勝が開催される。他の大会がエンタメ性や作品力を評価する傾向の中、「ダンス技術」に重きを置いた審査が特徴だ。運営は、先生方や生徒、卒業生などで分担され、事実上はインターハイに近い形での開催である。


▲決勝出場チームの演技と想いを追いかけました!

ハイダン(マイナビHIGH SCHOOL DANCE COMPETITION)
ストリートダンス系のイベントを仕掛ける企業が主催。ストリートダンスに特化したダンス部大会とうたっているだけあり、実力派のストリート系ダンス部が多く出場する。年間で東西3回の予選が行なわれ、決勝は4月に両国国技館DANCE ALIVE HEROS内で実施される。

高校ストリートダンス選手権
関西のストリートダンスイベント会社が主催する4月決勝の大会。関西の実力校が中心になって出場しているが、全国大会と呼べるまでの規模・認知度には至っていない。

日本ダンス大会
6月の公立高校の3年生引退時期に開催されていたが、ここ数年はコロナ禍により開催実績がない。審査や出場校などバランスの取れた大会だっただけに、再開が望まれるところだ。

全日本高校・大学ダンス・フェスティバル
今年で34回目を迎える歴史ある神戸の大会で、創作ダンスをメインとしているので、上記の大会とはほとんど出場校が被らない。技術・テーマ性・芸術性を重視し、3分〜4分程度の作品尺であることも大きな違いだ。

チア系の大会
アメリカ発のミスダンスドリルUSAジャパンはチアダンス系の大会だが、ヒップホップやジャズなどの部門もある。ダンススタジアム登場以前のストリート系ダンス部はほぼダンスドリルに出場していた。演舞はステージ上ではなく、体育館の広々としたフロアで素灯り行ない、専門の審査団による細かい審査がある。

他にも中小のダンス部大会があるが、主には上記の大会になる。部内の諸事情やスケジュール、または大会の特性を考慮しながら出場する大会を決めていきたい。

大会出場は、モチベーションと実力をアップさせる大きな契機となり、卒業後も良い思い出として残る。ただダンス部においては、大会に出る学校/出ない学校の実力差が年々広がっているようで、出ない学校はいわば尻込みをする状況があるようだ。今では各大会の演舞をYouTubeや配信で視聴することができるので、ぜひ研究して大会出場に挑んでもらいたい。

キミたちのダンス部生活を、より色濃く、より有意義なものにするために、ぜひ大会出場してみよう!

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