【写真入り全チームレポート】第16回ダンススタジアム:ビッグクラス優勝は帝塚山学院
2023.08.20 HIGH SCHOOL
目黒日本大学高等学校(東京)
目抜き通りをテーマにした、ゴージャスなブロードウェイ調の作品。ノリにもっとスイング感を加えたい。(2021年の練習レポート動画)
中央大学杉並高等学校(東京)
ドラマ「あまちゃん」テーマに、シンプルなユニゾンを群舞で見せる高校ダンスらしい作品。笑顔が印象的。
神奈川県立川和高等学校
フォーメーションチェンジを多彩に繰り出す同校ならではのエンタメ作品。ダンスの楽しさ・大衆性が伝わってくる。
山村国際高等学校★
タンゴ〜フラメンコを踊りきり、レディガガと変化する曲の中、山国らしいダンス情熱的に繋いでいく。シルエットのカッコ良さ!(2021年の練習レポート動画)
愛知県立千種高等学校
壮大な曲でアクセント強くダンスを繰り出す、スケールの大きい作品。
二松學舍大学附属高等学校
得意のポップダンスを、大人数のユニゾンとスピード感で見せる。センター男子の力強さが印象的。(2023年のバトル講座動画)
実践学園高等学校(東京)
同校ならではの展開の早さと多彩さ。ユニゾンやカノン、音へのアタックなどを強化したい。
尚絅学院高等学校
よく練習されているが、今後は振り付けをカタチではなく、感情表現として捉える意識を持ちたい。
千葉県立幕張総合高等学校
強いフィジカルを活かしたヒップホップ。大人数ユニゾンのパワー感が圧巻。(2021年の練習レポート動画)
大阪府立泉北高等学校
日本語バラードでリリカルに情熱的に表現を紡ぐ。ドラマティックな終盤が心に残る。
品川女子学院(東京)
久々の全国大会出場。女性の強さと美しさを感じさせる情熱的な作品。
品川エトワール女子高等学校(東京)
ソウル曲でワック主体の王道スタイルを踊りこなし、パッションとスピード感で引き込む。(2022年のドキュメント動画)
北星学園女子高等学校(北海道)
北の大地からの情熱的な赤のダンス。チームワークと練習量を感じさせる。
関西大倉高等学校(大阪)★
高校ダンス抽象表現を推進する同校は、またさらに表現を進化させた。モアレ状に広がるアヴァンギャルドな世界観が刺激と興奮を促す。(2023年の練習レポート動画)
関西学院高等部(兵庫)
関西強豪校によくあるドラマティックな展開のダンスだが、スタイルを越えていくパワーとパッションに溢れている。
大阪府立三島高等学校
年々少なくなってきたニュージャック系のダンス部。ラフさと揃えるべきところのメリハリを意識したい。
千葉県立柏陵高等学校
意外性のある選曲に精度の高いユニゾンと構成。相当な練習量を感じさせる、これから期待大のダンス部だ。
同志社香里高等学校 ★
ワックを主武器に、緩急を効かせた構成で見せる。同志社の魅力である音感表現=グルーヴが最大発揮された。
樟蔭高等学校 ★
安定と裏切りが交錯するような展開が面白い。不思議な余韻も同校ならでは。(2021年の練習レポート動画)
本庄第一高等学校(埼玉)
ビジネスマンのがんばりをテーマに。往年のCM曲の1曲使いだが、もう数曲加えても構成にメリハリができただろう。
三田国際学園高等学校(東京)
フリの独創性とスピード感、ユニゾンの精度が印象的。印象的な絵(瞬間)が多いのも良い作品の特徴だ。
宝仙学園高等学校女子部(東京)
ゴーストバスターズをテーマにした高校生らしいワチャワチャ感が楽しいが、ダンスとの共存に課題が見える。
横浜創英高等学校(神奈川)
往年のサイレント映画のようなコミカルな作品。ダンスの見せ方、焦点の持っていき方に課題か。
如水館高等学校(広島)
高校ダンス部らしい、ユニゾンや構成の作品だが、よくある感じの作品からのもう一歩の脱却・独自性が欲しい。
武南高等学校(埼玉)
武南らしいブロードウェイ調の華やかなナンバー。大所帯だが男女対比の構成が見やすい作品だ。(2020年の練習レポート動画)
ビッグクラス結果
優勝:帝塚山学院高等学校(大阪)
準優勝:東京都立三田高等学校(東京)
3位 山村国際高等学校(埼玉)
4位 樟蔭高等学校(大阪)
5位 同志社香里高等学校(大阪)
6位 沖縄県立小禄高等学校(沖縄)
7位 関西大倉高等学校(大阪)
8位 大阪府立泉陽高等学校(大阪)
(社)ストリートダンス協会賞:沖縄県立小禄高等学校(沖縄)
産経新聞社賞:宝仙学園高等学校女子部(東京)
FOD賞:実践学園高等学校(東京)
エースコックスーパーカップ特別賞:京都文教高等学校(京都)
審査員特別賞:叡明高等学校(埼玉)
>>全校の順位と得点はコチラ
コラム:抽象表現とは?
★写真から見える音・動き・感情
長年やっている、このダンスタの全チームレポートでは、あとで掲載する写真を選ぶわけです。
まずはカメラマンが粗選びし、その後私やスタッフが絞り、掲載する「この1枚」を選ぶわけですが、なかなか絞りきれないチームがいます。
良い写真が多すぎて、印象的な場面がありすぎて、カメラマンもついシャッター数が多くなり、あとで選びきれないほど多くのカットが残るのです。
1枚1枚のシルエットやユニゾンもとても綺麗なのは、踊りの精度が高い証拠です。
この写真の枚数は現場で感じたそのチームの良さとシンクロしています。
逆に、枚数が少ないということは、印象的な場面が少なかった、カメラマンがそのタイミングをはかりにくかったダンス、ということになります。
「ここでこう来てほしい」というタイミングに合わないわけです。
良いチームの写真からは、音が聴こえます。
現場をフラッシュバックさせます。
感情が伝わってきます。
ダンスは当然動くものですが、こういった「止め絵」をどれだけ作れるかは、見た人の「残像」にも繋がりますから、大きく審査や印象に影響するポイントでしょう。
踊り込み時に、当然動画は撮るでしょうが、例えば今度試しに、写真を撮ってみてはどうでしょうか?
できればスマホではなく、一眼レフで、シャッタースピードを上げて。
表情、シルエット、ユニゾン、バランスなどなど、たくさん気づくことがあると思いますよ。
★抽象表現とは何か?
『ダンスク!』の過去記事で「表現の時代」について特集しました。
創作ダンス系のチームの流入や、コロナによる時代の様相によって、ダンス部にも「表現系」、特に「抽象表現」のチームが増えている、という記事内容でした。
今大会でもそれは顕著でした。
元々そういった志向のチームがさらに表現手法を深めていたり、強豪チームが思い切った表現の方向転換をしていたり。
ここで考えたいのは「抽象表現」とは何か?ということです。
ダンスの起源を考えれば、それは言葉でないところのコミュニケーションであり、自然や神や「見えないもの」へと繋がる1つの方法でした。歌や祈りも同じ目的。
そういえば、今回掲載した各校の写真の決めポーズのいくつかは、構図が非常に絵画的というか、儀式的・宗教的に見えるものが多いと感じました。群舞の一体感やメッセージを伝える時、無意識がそういう構図を作らせるのでしょうか?
人類が便利に発明した言葉は、時にコミュニケーションに誤解や軋轢を生んだりします。
「考えて行動しなさい」常に言動には意味を持たせないといけないと教えられてきましたが、人間の無意識行動には一見無意味に思えて、重要な意味があったりもします。
現代は、SNSでもリアルでも空前のダンスブームです。
若者が非言語コミュニケーションに向かうのは、ある意味の原始回帰行動であり、幸福へと繋がる無意識行動なんじゃないでしょうか。
ダンサーにとって、1つ大事なことはもっと「感じる」ことです。
説明できなくてもいい、意味をもたせなくてもいい。
言葉でも思考でもない。客観とか良識とかもとりあえず考えなくていい。
自分たちの真の感覚を踊りで表現すること。
まずは踊り手が感じていること、そして観客に感じさせること。
見ている人の解釈に自由と幅を与え、意味を限定しないこと。
その人の人生に重ね合わせた捉え方ができる表現であること。
意味は持たせない。感じ方は観客に委ねる。
それが芸術であり「抽象表現」なんじゃないかと。
そして、それはすべてのダンスにも当てはまることだと思います。
これから。
キミたちが、キミたちの時代で、真に感じていることを、ダンスで表現していってほしいです。
石原ヒサヨシ(ダンスク!)