優勝は樟蔭高校!DCC vol.11(全国高等学校ダンス部選手権)全チームレポート!
2023.08.28 HIGH SCHOOL
沖縄県立小禄高等学校★
(龍魂:マブイ)
表現:38/技術:28/独創性:8(合計74点)
沖縄レペゼンの世界観が全開。チームで出すエネルギーとグルーヴがすごい。
>>ダンスクTV動画「小禄高校の練習」
福岡県立ありあけ新世高等学校
(火凰:フェニックス)
表現:30/技術:26/独創性:1(合計57点)
福岡からの新鋭校はワックのキレが印象的。テーマの表現力も素晴らしい。
創志学園高等学校(岡山)★
(翔時:しょーたいむ)
表現:36/技術:33/独創性:4(合計73点)
オールドスクールのファンキーさとクールさが全開。随所で技で沸かせる。
山村国際高等学校(埼玉)★
(制服:ジェーケー)
表現:36/技術:28/独創性:5(合計69点)
DCCではいつも楽しい作品を出す山国。女子高生にしかできない突き抜けた表現!
>>ダンスクTV動画「山村国際の練習」
北九州市立高等学校(福岡)
(歓風:カンフー)
表現:33/技術:25/独創性:2(合計60点)
冒頭のカンフーテーマでカマしてから意外な展開に。ストリートダンスの強さも活かした。
>>ダンスクTV動画「北九州市立の練習」
明治学院東村山高等学校(東京)
(眩耀:うぃー・あー)
表現:28/技術:23/独創性:1(合計52点)
ワンオクのエモい曲を使って、意外なジャズダンスでの表現。
高知中央高等学校
(游韻:バイブス)
表現:32/技術:30/独創性:2(合計64点)
オールドスクールの魅力たっぷり。高校生らしからぬシブさ!
東京都立清瀬高等学校
(魅芸:エンターテイナー)
表現:29/技術:26/独創性:1(合計56点)
東京には珍しいソウルフルなスタイル。ユニゾン力に練習量を感じさせる。
武南高等学校(埼玉)
(祭踊:ぶれいきん)
表現:38/技術:32/独創性:2(合計72点)
会場をライブ会場に変えてしまう武南B-BOYS & GIRLS。この日一番の熱さと拍手喝采!
>>ダンスクTV動画「武南高校の練習」
台湾地区代表チーム
(堅毅)
表現:33/技術:29/独創性:2(合計64点)
台湾ダンスのレベルがわかるテンションの高いロックダンス。選曲や演出もハイセンス!
東京都立葛飾野高等学校
(蝶獲:ブバルディア)
表現:33/技術:29/独創性:3(合計65点)
群舞、構成、衣装などのバランスや仕上げが素晴らしい、高校生らしい気持ちの良いダンス。
京都聖母学院高等学校★
(輝奏:シンフォニー)
表現:39/技術:34/独創性:3(合計76点)
一糸乱れぬユニゾンに女性らしい表現。構成も豊かで花が咲いたような絵面が印象的。
>>ダンスクTV動画「京都聖母の練習」
日本大学明誠高等学校(山梨)★
(雪解:ゆきどけ)
表現:42/技術:36/独創性:4(合計82点)
引き算のフォーメーションに振り付け、観客の視線操作が巧みで、心を動かす力がある。
>>ダンスクTV動画「日大明誠の練習」
樟蔭高等学校(大阪)★
(鎮魂:タイタニック)
表現:43/技術:35/独創性:7(合計85点)
タイタニックのドラマと悲しみを、目まぐるしい構成と叫びで表現。観客を圧倒した。
>>ダンスクTV動画「樟蔭高校の練習」
宝仙学園高等学校女子部(東京)
(除霊:ゴーストバスターズ)
表現:36/技術:29/独創性:5(合計70点)
ゴーストバスターズをテーマにした、高校生らしいエンタメ作品。
同志社香里高等学校(大阪)
(繚乱:りょうらん)
表現:36/技術:32/独創性:2(合計70点)
同志社らしい迫力の群舞とワック。エンディングの爆発力はさすが。
>>ダンスクTV動画「同志社香里:本番直前!!」
三重高等学校
(家族:かぞく)
表現:36/技術:26/独創性:5(合計67点)
シリフレ得意のJ-POP使いのミニドラマ作品。会場をほっこりした気分に。
>>ダンスクTV動画「三重高校の練習」
東京都立狛江高等学校★
(緑庭:グリーンガーデン)
表現:40/技術:32/独創性:6(合計78点)
森林にある清涼感、神秘性、匂いまでも伝わる作品。コンテスト作品らしくないのが功を奏している。
>>ダンスクTV動画「狛江高校の練習」
帝塚山学院高等学校★
(慟哭:どうこく)
表現:40/技術:35/独創性:10(合計85点)
ダンスタを制した唯一無二の作品。表現と技術もさることながら、衣装の演出効果を最大発揮。
>>ダンスクTV動画「帝塚山学院の練習」
結果
優勝:樟蔭高等学校(鎮魂)
2位:帝塚山学院高等学校(慟哭)
3位:日本大学明誠高等学校(雪解)
特別賞:
ニチレイフーズ賞:三重高等学校(家族)
Chiyoda賞:東京都立狛江高等学校(緑庭)
TOKYO HEADLINE賞:沖縄県立小禄高等学校(龍魂)
ケロッグ賞:関西大倉高等学校(己叫)
テリー伊藤賞:沖縄県立小禄高等学校(龍魂:マブイ)
コラム:樟蔭高校優勝で「未体験ゾーン」へ突入
11回目のDCCの優勝は「樟蔭高校」でした。
DCCは初回から見ていますが、とうとう樟蔭が優勝する時代になったか……という印象です。
それは全然否定的な意味でなく、むしろ時代が樟蔭の作風に追いついてきた、という意味です。
樟蔭の創作ダンスとストリートをミックスさせたスタイル、確実な技術・体力・自主性、スピリチュアルで芸術的な作風。
創作ダンス出身からストリート系の大会に出始めた頃から、その存在は非常に先鋭的でハイレベルでした。
個人的には、過去に「なぜ樟蔭が優勝できないんだ?」と思えるほど優れた作品もありました。
しかし、樟蔭の持ち味=「表現力」「テーマ性」「独創性」が今や、ダンス部の大会で勝ち抜くために必要不可欠な要素になってきたのです。
ジャンルを横断する独自のダンススタイルや、抽象的な表現と強いメッセージ、それを実現するフリーで踊れる個の力やアクティング要素などなど。
今回、上位に入った帝塚山学院(樟蔭と同点!)や日大明誠、関西大倉も同様の表現力を持ちながら、それぞれ独自のスタイルを確立しています。
以前の記事「ダンス部〜表現の時代へ」でもこの4校を取り上げており、コロナ以降のダンス部がこうなっていくことを私は予想していました。
もはや高校ダンスも普通のダンスでは勝てない時代になってきたのです。
本大会でも、以前までなら優勝していたようなレベルの作品が(特に純ストリート系)、次々に破れ去っていきました。
本大会でハッキリわかりました。
審査員がこれから評価していくのは、
見たこともないような動きと、予測ができない構成。
独自の選曲に、新鮮な音取り。芸術的な衣装。
そして、ダンスから感じたことがないような感情や感動。
今のダンス部の大会は、そういうものが望まれる「未体験ゾーン」に入ってきたのです。
今回の優勝作品「鎮魂(タイタニック)」は、ディカプリオの映画にあるドラマではなく、110年前に1,500人が溺死した悲劇の史実を、現代の高校生がリアルに受け止め、その死者の叫びや無念を、呻き声まで表現した作品です。
死者を追悼するという、高校ダンスとしては不可侵だったところのテーマ。
単にテーマをなぞっているのではなく、真に抉りこんでいる。まさに「エグい」作品。
これからの高校ダンスの進化が、怖いぐらいに楽しみになってきました。
レポート:石原ヒサヨシ(ダンスク!)
>>レポート動画を近日に公開!