【レポート】LARGE優勝は「日大明誠高校」〜マイナビハイダン2024 FINAL出場10チーム

2024.04.16 HIGH SCHOOL

「マイナビハイダン2024 FINAL」レポート
SMALL部門に続いてはLARGE部門(9人〜40人)です。

>>SMALL部門レポートはコチラ

 

LARGE部門10チーム

 

CIERA(東京都立狛江高等学校)

一気に大所帯チームがステージに登場することになるが、前日予選を勝ち抜いた狛江のCIERAは群の見せ方が抜群にうまい!
音取りの軽やかさと多彩さにも引き込まれる。
「素敵」を極めた作品力は全国TOPクラスだ。

 

ブレイクする人ら。(大阪府立槻の木高等学校)

最近台頭してきたダンス部からブレイキンのチーム。
ヒップホップをまぜながらの序盤がやや緩んでしまった印象。
終盤の疾走感が良いだけに、全体の起承転結を課題にしたい。

 

LO*A(東京都立狛江高等学校)

狛江2校目は、先ほどのリズム派に比べ抽象派と言えるアプローチのチーム。
涼やかな曲調を丹念に紡ぎ合わせていくような表現が素晴らしい。
最後のタワーも広いステージ空間をうまく活かした構成だ。
後述の日大明誠と共に、ダンス部表現の新機軸を作り出す作品だと思う。

 

K-jack(大阪府立柴島高等学校 )

こちらは逆に正統派、変わらないスタイルの強みを打ち出す。
鍛えられた体幹で、シンプルなミドル系の動きをしっかりを繰り出していく。
ダンスアライブによく似合う、ピュアなストリートダンスチームだ。

 

Winate(千葉敬愛高等学校)

敬愛らしいフォーメーション展開で見せる作品。
印象的な「絵」をいくつも描いてくれる。
序盤の神秘的なムードに引き込まれるが、スピードや繊細さを求められる動きではやや粗さが見えてしまった。

 

Realize(日本大学明誠高等学校:山梨)

あえて、踊らない/乗らない/カタにはまらないことで、新しいダンス表現を開拓している明誠の究極と言える「儀式系」作品。
踊りはシンクロさせずとも、メンバーの心は1つにシンクロしていたのだろう。
国技館の空間にレースの布が舞った瞬間、大観衆の心を鮮やかにつかんだ。

 

SERIOUS FLAVOR(三重高等学校)

打って変わって、明誠の3倍以上のカロリーを消費していただろう、16ビートでストリートダンス全力疾走の三重高校。
これだけで踊っても全くバテないどころか、尻上がりに駆け上がっていく様は、シリフレの真骨頂、まさに青春ダンス!

 

luminous(京都聖母学院高等学校)

ハイダン常連となった京都聖母の広角的なフォーメーションがステージに映える。
スピードと構成力で女性の華やかさを表現し、開放的なエンディングでフィニッシュする聖母スタイル。

 

Lucid Soleil(武南高等学校:埼玉)

今季の武南女子チームはLOCKで勝負。
持ち前の構成力やスピード、表情力で、ステージを華やかに彩る。
今後はLOCKのパーティーグルーヴやフィーリングをより突き詰めていきたい。

 

AWESOMEST(叡明高等学校:埼玉)

ハイダン優勝経験校だが、コーチ交代につき部員による振付で挑戦。
トライバルな曲調とアンサンブルしていくような振付・音取りが素晴らしい。
気合の入ったステップも、STOMPのような効果を生んでいた。
今後は、仕上げと引き算ができれば充分に返り咲きの可能性がある。


結果発表……!

 

 

優勝はRealize/日大明誠!

 

LARGE優勝は日本大学明誠高校のRealize。

個人的には、作品を観た時に優勝を確信していた。
もっと言えば、レースの大きな布が舞った瞬間に直感していたことであり、往々にして圧倒的に優勝するチームというのは、脳裏に焼き付くような「残像」を残すものだ。それは視覚ではなく、心や感性に訴えかけている印だと思う。

邦楽曲を使ったシアトリカルな静謐表現。
日大明誠は「勇気ある引き算」で作品を作り、他校とは全く違うベクトル、異なる次元でこのステージに上がっていた。たとえ優勝できなくても、自分たちの挑戦としてやり切った充実感はあったに違いない。

SMALL優勝の仙台城南も、自分たちの強みに特化しているという意味では、引き算のできるチームだったと思う。

逆に、今回のハイダンFINALでは、日大明誠の「引き算」から学べるチームが多かったように感じる。

練習してきたこと、やりたいこと、できることを(中途半端な形でも)詰め込んでしまうのではなく、際立たせたい表現のために、「何をやらないか」「何を捨てるか」を考えられるのはとても重要だ。

なぜなら、ステージで見せるのは「成果」ではなく「作品」だからだ。

「成果」が「結果」を連れてくるのではなく、「作品とは?」をきちんと捉えていた日大明誠が望む結果を実現(Realize)した。

「やらないこと」を「やる」こと——夏までにそのあたりを考えていこう。

レポート:石原ヒサヨシダンスク!

 

 

 



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