【ビッグクラス全チームレポート】第17回ダンススタジアム準決勝大会〜決勝進出ベスト8が決定!

2024.08.19 HIGH SCHOOL

<<前半より

 

関西大倉高等学校(大阪)
人間の業を抉るようなテーマの挑発的なアヴァンギャルド作品。独創性No.1

優秀賞

 

 

沖縄県立那覇国際高等学校
同調圧力というシリアステーマをエモーショナルに表現。ダンス自体にもっと独創性が欲しかった。

 

 

鎮西高等学校(熊本)
火の国パワーと言うべき力強いユニゾンをボリュームたっぷりにカマす。サッカーのモチーフの動きや、もう1段階の展開が欲しかった。

 

 

東京都立葛飾野高等学校
ポケモンをテーマにした往年のダンスタらしい作品。手書きイラストも微笑ましい。

 

 

日本大学明誠高等学校(山梨)
果敢に新しい表現に挑戦する明誠。脚立で立体感を出し、ステージ表現の可能性をさらに広げている。

 

 

帝塚山学院高等学校(大阪)
圧巻の技術に、多彩なフォーメーション、展開のうまさ、そして表現力。まさに王者の風格。

優秀賞

 

 

東京都立王子総合高等学校
レゲエや4つ打ちなどトライバルな選曲で次々に展開する。集中力と気合いの高さも印象的。

 

 

福岡大学附属若葉高等学校
技術と表現が高次元で融和し、踊り手がテーマに憑依していく様を作品化。伝統の技。

優秀賞

 

 

姫路市立琴丘高等学校(兵庫)
振り付けの独自性とエキセントリックなムードが印象に残る。ソロプレイが効果的。

 

 

京都聖母学院高等学校
冒頭から歌詞ハメをパートに分けてパラレルに見せる。観客の目線誘導が抜群にうまい。

 

 

樟蔭高等学校(大阪)
メキシコの死者の日をテーマにした作品。樟蔭にしては、見せどころとテーマ消化が見えにくい作品だったか。

 

 

横浜創英高等学校(神奈川)
ユニゾンに相当な練習量を感じさせる作品。多彩なフォーメーション展開でも見せる。

 

 

大阪府立久米田高等学校
強豪校の執念の作品。衣装替えも多彩で、最後に見事に立ち上がった太陽の塔に拍手喝采。(FOD賞)

 

 

同志社香里高等学校(大阪)
群の緩急や抑揚の付け方に、3連覇王者の地力の強さを見せる。高速ワックも健在。

 

二松學舍大学附属高等学校(東京)
ヒットの強さと集中力を活かしつつ、フォーメーション展開と抜き加減で引き込む。

 

 

広島県立廿日市西高等学校
和の動きと衣装をモチーフに、強いビートで展開。やや展開に欠け、音負けした感が。

 

 

東京都立三田高等学校
安定のフォーメーション展開のうまさ。表情づけはあったが、作品とのバランスが今ひとつか。

 

 

如水館高等学校(広島)
シュールな前半からアグレッシブな後半へ。作品の流れの必然性がもう少しほしい。

 

 

群馬県立伊勢崎清明高等学校
ゾンビドールの世界観をさまざまな表情で展開。ホラーでコミカルでキュート!?

 

 

桜丘高等学校(愛知)
桜丘のグルーヴ力はジャズでも生きる。これからはこの路線でも伸びそう!?

 

 

大阪府立柴島高等学校
柴島特有の深さ・重さ・高さのあるグルーブ。王道ヒップホップのカッコ良さが凝縮!(エースコック スーパーカップ賞)

 

 

沖縄県立小禄高等学校
南国らしいエネルギーに、スピード感・華やかさ・意外性、そして眼力で印象付ける。

 

 

三重高等学校
シリフレならではのお祭り騒ぎなステージ。ジャンルや技の多彩さ、テンションの高さが秀逸!

優秀賞

 

 

仙台市立仙台商業高等学校(宮城)
ダークなムードで深いグルーヴを表現。シンプルな動きを効果的に音にハメる巧さ!

 

 

神奈川県立横浜平沼高等学校
大漁をテーマにした賑やかな作品。ユニゾンにチームワークの良さを感じさせる。

 

 

東京都立武蔵村山高等学校
カウボーイファッションでファンキーなロッキンを展開。表情の良さが印象的。

 


ビッグクラス優秀賞(決勝大会進出校)

※得点順
帝塚山学院高等学校(大阪)
関西学院高等部(兵庫)
東京都立狛江高等学校
三重高等学校
山村国際高等学校(埼玉)
福岡大学附属若葉高等学校
光ヶ丘女子高等学校(愛知)
関西大倉高等学校(大阪)

 

ダンスク的PICKUP校

※優秀賞以外から、編集長が独自に評価したチームをピックアップ。

大阪府立泉陽高等学校
愛知工業大学名電高等学校
千葉敬愛高等学校
京都聖母学院高等学校
大阪府立久米田高等学校
同志社香里高等学校(大阪)
大阪府立柴島高等学校
沖縄県立小禄高等学校
仙台市立仙台商業高等学校(宮城)


編集長コラム:ダンス部が注目される今だからこそ!

 

ダンススタジアムは今年で17年目。
予選は10地区、ビッグクラス276校、スモールクラス324校が参加する、日本最大規模のダンス部の大会に成長した。私自身は、第4回目の初の全国大会から毎年見させていただいている。

今年は、例年のパシフィコ横浜国立大ホールで行なわれる大会は、準決勝大会として位置づけられ、各クラス8チームを決勝大会へ選出する大会となった。

 

今年から大きく変わった点

「なぜ準決勝大会が?」という声が多くあがっているが、その真の理由は、決勝大会がメディアで放映されるまで、正確にはわからないところだ。
また、今年からダンススタジアムに限らず、使用楽曲の規制が厳しくなった。
おそらく、決勝戦を地上波で放送するための事情なのだろう。
著作権団体の登録曲であることは当然のこと、楽曲の「編曲権」にあたるミックスやリミックスに規制が入っており、HIPHOPカルチャーにこだわるストリートダンス系のチームにとっては、なかなか厳しい状況だったようだ。

今回の審査員は、例年通りの主催者側の審査員に加えて
・乾直樹(振付師/ダンサー)
・TERU POP(振付師/ダンサー)
・NOE(振付師/ダンサー)
・KENSAKU(ブレイクダンサー、MC)
というメンバーで、前者3名はダンス部員にとってはあまり馴染みのない名前だろう。
出場チームの多いヒップホップ系のジャッジは今回はいなかった。

という理由からか、特にビッグクラスではヒップホップ系・ストリート系にはやや厳しいジャッジ傾向となったような気がする。
ヒップホップダンスの上に、何らかの演出やテーマを乗せたり、より表現として見せる工夫が必要で、スモールで勝ち上がったヒップホップ系チームには、楽曲規制も含めてさまざまな試行錯誤が見られた。

例年通り評価が高いのは、創作ダンス系やジャズ系のいわゆる「表現系」のチームで、ビッグクラスの優秀賞チームのレベル通り、ある水準以上の技術は決勝進出の必要条件と言える。
関東予選で「うまいなぁ」と思うチームでも、全国大会では優秀賞に届いていなかったようだ。

テーマやコンセプトも大事だが、そこに振り回されず(こだわりすぎず)、あくまでダンスを見せることを大事にしたチームが決勝へ勝ち進んでいるのは、ダンス部の大会としては真っ当な状況と歓迎したい。

とは言え、ダンス部に限らず、シーンが定着し、競技者が増え、全体のレベルが上がっていくと、必ず「勝てる方向で似てくる」という傾向がある。
今大会でも、ジャズの表現系チームが多数出場しており、印象が重なり合っている状況はあった(となると、やはり最後は技術勝負になる)。
ダンス部の多様性を世間にアピールする意味では、もっと多くのジャンルや斬新なアプローチのチームが評価されても良いだろう。

 

ダンスの審査とは?

ダンスの審査とは、「見たことのあるものへの評価」と「見たことのないものへの興味」という両極の間を揺れ動くものだと、個人的には思っている。
前者は、基礎技術、構成力、バランス。
後者は、独創性、芸術性、アンチテーゼなど。
前者だけになっても文化は発展せず、後者だけではポピュラリティを得られない。

要は、そのバランスを取ったチームが上位に行くのだと思うが、今大会の審査はやや前者「見たことのあるものへの評価」に偏っていたように思える。

踊る方も、高校時代の一度きりのアマチュア競技なのだから、もっともっと「楽しんで挑戦」してもらいたいとも思う。

ジャッジコメントでKENSAKU氏が言っていたが、踊る方も、審査する方も常に感性をアップデートしていくことが必要だ。
踊る方、強豪校と言われるチームは特に、スタイルのアップデートに苦しんでいるようで、評価する方は異ジャンルのダンスを好みや得意分野に頼らずに公平に評価できる見識をもっと広めるべきだろう。

 

流れの必然性

決勝進出した各チームの演舞に共通しているのが「必然性」だ。
技の必然性、展開の必然性、衣装替えの必然性、表情の必然性。
技ができるからやるのではなく、作品が必要としていたらやる。
曲を変えた方が、展開した方が、衣装替えした方が、良い流れになるからやる。

せっかくシンプルに完成した作品をエゴや公平性で必要以上にいじくってはいけない。
要は「流れ」を読むことが大事なのだ。
主役はダンサーではなく、あくまで「作品」。
作品を主語にして、その流れを読み、必然を感じとって、各要素を構成する。

「これがやりたいから」とか「テーマがこうだから」ということに縛られず、まずは作品が、とりわけ音楽が呼ぼうとしている「流れ」にもっと神経質になって良い。

踊る方も観る方も、ダンスで感じたいのは、心地良い(あるいは刺激的な)流れなのだ。

それは得てしてシンプルなものであり、引き算の上に削ぎ落とされた動きやメッセージの方が、コンテストでは伝わりやすい。

以上、ダンス部がメディアから注目され、大きく広がっていこうとする今だからこその、厳しい提言とご容赦いただきたい。

 

レポート:石原ヒサヨシ(ダンスク!)
撮影:今井タカシ

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