【全チームレポート&コラム】大編成優勝は北九州市立高校!〜チームダンス選手権2024年

2024.10.02 HIGH SCHOOL

<<大編成:前半より

 

樟蔭高等学校(大阪)

メキシコ死者の日を世界観にしたダークファンタジー作品。テーマ消化が伝わりにくかったか。

 

 

宝仙学園高等学校(東京)

コロナ禍から続けているマイケル・ジャクソン作品。見るたびに若干の変更が加えられているようだ。

 

 

安城学園高等学校(愛知)

追いつ追われつのストーリー展開のあるエンタメ作品。せっかくなら、もっと楽しんでやってほしいところ。

 

 

沖縄県立小禄高等学校(沖縄)

フレッシュな1年生メンバーのチームダンス。沖縄ならではの溌剌としたエネルギー!

 

 

広陵高等学校(広島)

広島から大所帯のロックチーム。フレッシュ、さわやか、青春というキーワードがよく似合う。

 

 

仙台城南高等学校(仙台)

イカついファッション&ヘアからのバウンス感の強いヒップホップ。城南ならではのスキル&フィジカル!

 

 

東京都立王子総合高等学校(東京)

展開豊かなトライバルな世界観。選曲、衣装、構成、フォーメーションなどのバランス良し。【優秀賞:8位】

 

 

京都聖母学院高等学校(京都)

聖母らしい目まぐるしいフォーメーション展開で絵代わりしていく。流れの中でいくつものジャンルが巧みにミックスされている。【優秀賞:7位】

 

 

桜丘高等学校(愛知)

ブガルーなファッションで、スタイリッシュで奥行きのあるヒップホップ。会場を沸かせるライブ感のあるパフォーマンス!

【3位】

 

 

東京都立狛江高等学校(東京)

今年最も安定感のあった作品「夢だらけ」の最後のステージ。曲&詞との距離感やバランスの取り方が見事!

【準優勝】

 

 

北九州市立高等学校

1つ1つのソウルステップに格の違い、血の違いすらを感じさせる地元、N9SDの本格派ステージ。

【優勝】

 

 

関西学院高等部(兵庫)

迫り来る情熱、まさにセイレーンが浮かび上がってくるテーマ性、ドラマティックな起承転結、見せ方の多彩さ。これが生徒主体の振り付けとのことで、さらに驚く。【優秀賞:4位】

 


結果

 

映像審査部門

優 勝 大阪汎愛高等学校(大阪府)
準優勝 帝塚山学院泉ヶ丘高等学校(大阪府)
準優勝 福岡県立福岡講倫館高等学校(福岡県)

 

小編成部門

優 勝 桜丘高等学校(愛知県)
準優勝 目黒日本大学高等学校(東京都)
第3位 樟蔭高等学校(大阪府)
優秀賞 二松学舍大学附属高等学校(東京都)/武南高等学校(埼玉県)/大阪暁光高等学校(大阪府)/北九州市立高等学校(福岡県)/常磐高等学校(福岡県)

 

大編成部門

優 勝 北九州市立高等学校(福岡県)
準優勝 東京都立狛江高等学校(東京都)
第3位 桜丘高等学校(愛知県)
優秀賞 関西学院高等部(兵庫県)/日本大学明誠高等学校(山梨県)/京都文教高等学校(京都府)/京都聖母学院高等学校(京都府)/東京都立王子総合高等学校(東京都)

 

文部科学大臣賞(総合優勝)

桜丘高等学校(愛知県)


ジャッジのコメント

 

【yurinasia】小編成の狛江高校の作品には単純に感動しました。皆さん、素晴らしい作品ありがとうございます!

 

【LEE】大会にかけた皆さんの想いはずっと残っていくと思います。その想いを忘れずに、人との繋がりを大事にしていってください!

 

【宮田健男】中止からのすぐさまの代替開催は、先生方は大変だったと思います。拍手です!

 

【KENJI:特別インタビュー】

もはやダンス力では大差がつけられない

小編成の大阪暁光のヒップホップが凄く良かったですね。特に後半パートの音取りには驚きました!

武南のブレイキンチームは、いくつかミスもあったんですけど、パフォーマンスにリスクを背負っているところが熱く、思い切りのいいルーティンも良かったです。

ポップのチームは見慣れてしまった感もありますし、地道に地道に積み重ねないと、どうしてもにわか仕込みに見えてしまうかなと感じました。

大編成は北九州市立常盤を高く評価しました。九州に受け継がれる重みとか人を魅了するソウルフルなロックとワックが素敵でした。

地域性という話でいくと、東京はスタイリッシュなイメージ。目黒日大品川エトワールがまさにそう。大阪はオールドスクールとミドルなヒップホップで存在感あるグルーヴが特徴。九州はロックやワック。中京地区はヒップホップ系に演出を乗せて音楽を表現している感じがします。

あと大編成の関西学院がすごい作品だなと思いました。体の使い方、見せ方がとても高いクオリティで、大編成の魅力はコレだ!という感じの力強い群舞でした。

全体的に本当にハイレベルな仕上がりになっていて、もはやダンス力では大差がつけられないのではないかと感じるところもあります。
これからは、ダンスをしっかり魅せた上で、さらに勝負にかける強みやスタイルが、審査のポイントになるのではないかと感じます。

バトルも決勝が名勝負でしたね。スキルを取るか、ミュージカリティを取るか、という難しいジャッジでした。バトルにおいてブレイキン男子が頑張っている光景は、大会としても凄く盛り上がりますね!

このコンテストには毎年感動をもらっているので、本当に感謝をしています!

できることなら、高校生ダンス部の皆さんには卒業してもダンスを続けてほしいです。ダンスを続けることで、たくさんの人と仲間と繋がることができます。結果だけに左右されず、自分のスタイルを貫く芯の強さも身につけられると思います!

ありがとうございました!


編集長コラム

 

ダンスでもらった青春をダンスに返す

当初の開催日であった8月31日は台風が列島を横断し、数日前から開催が危ぶまれる状況であった。

前乗りして会場地の静岡で待ち構えるチーム、交通機関が動くまで待機するチーム、そして空港で中止の知らせを受けて落胆するチームなどの姿が、各校のSNSに寄せられた。

結局は、交通機関の影響が決めてとなり中止となったが、運営側としては苦渋の決断、そして英断だったと思う。翌9月1日のダンススタジアム決勝大会(東京開催)は問題なく開催されたので、本当に惜しい、タッチの差であった。

しかし、さらに、素晴らしいのが、代替大会の決定と発表を当日の8月31日に行なったこと。開催は20日以上遅れることになったが、キャンセルのチームやメンバーがほぼ出ることなく、チームダンス本来の決勝開催地である北九州にて開催されることになったのだ。

大会やステージは当たり前にあるものではない。わずか数日の間の中止決定や代替開催決定に、先生方がどれだけ尽力したかを想像してほしい。

それは、スポンサーやメディアや私利に向いた力ではない。

チームダンス選手権が、ただ「学生たちのために」「ダンスのために」にある大会であることを再認識させられた、台風一過の出来事でもあった。

その苦労を知ってか、14回目となる本大会のステージは、ハイレベルでハイテンションな作品が繰り広げられた。学生たちから大会開催への感謝や恩返しの気持ちが、きっとダンスにも表れていたのだろう。

ダンスでもらった青春をダンスに返す——そんな素晴らしい循環がこの日のステージにはあった。

大会全体を振り返っていこう。

 

創作/ストリートのハイブリッド時代

今年は、五輪ブレイキンイヤーということもあって、ダンス部大会でもブレイキンチームが旋風を巻き起こした年であった。特に目立ったのは、桜丘、武南、そして槻の木。

彼らの元気の良さが、創作ダンスを源流にする「コレオ系」に拮抗していく構図を作っていたように思える。

「創作ダンスvsストリートダンス」
言い換えれば
「コレオvsライヴ感」と、ここでは形容してみたい。

前者が、緻密に構築された世界観とコレオグラフを、当日どれだけの再現性とテンションで披露できるかがキモであるのに対し、後者は振り付けはあるものの、当日の気持ちの持っていき方故のハプニングさえも味方につけていこうという、ライヴ感、セッション感、ストリート感を武器にしている。

前者は、コレオグラフファーの芸術性が強すぎて踊り手がそれを消化していないと、その辺のズレをジャッジに見抜かれるデメリットが。後者は、自主性とフリースタイルにこだわる反面、作品の完成度を上げるのが難しく、クオリティにムラも生じやすい。

しかし両者は対立するわけでも、分断しているわけでもない。

これからの時代は、いかに両者の良さをハイブリッドできるかがポイントになると思うのだ。

創作ダンスの芸術性・世界観・技術。
ストリートのライヴ感・リアル感・グルーヴ感。

創作ダンスには、今コトが起こってるような興奮や、高校生等身大のリアリティを。
ストリートには、芸術的な世界観の演出や、研ぎ澄まされた技術を。

今年の各大会でコンスタントに評価を残した関西学院狛江高校あたりに、そんなハイブリッド型の可能性が垣間見られる。取材でも感じたが、創作性と自主性のバランスが良いチームでもある。

いずれにせよ、高校生たちにはカタにハマることのない、自分たちによる、自分たちの感覚の、自分たちの時代のダンスを模索してほしい。

最後に、毎年台風の脅威に脅かされるチームダンス選手権ですが、来年こそは、安心安全無事に開催されてほしいですね(笑)。

 

ダンスク編集長:石原ヒサヨシ

 

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