「日本ダンス大会」審査委員長TAKAHIROがココだけで明かす〜ダンス部大会必勝のポイント4つ!

2017.12.04 INTERVIEW

ダンス部大会で一番気になるのが「審査基準」
果たしてそれはどんな項目で審査され、採点されていくのか。
そこを深く知ることこそが勝利への近道!

スポーツ庁後援事業「日本ダンス大会」の審査委員長を務めるTAKAHIROに「必勝ポイント」をロングインタビューで聞いてみた。

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Part.1〜審査基準について
テーマ性は自分たちの満足だけではなく、見た人に伝わることが重要

——最初に、ダンスコンテスト審査員でのTAKAHIROさんの基本的な審査の進め方を教えてください。
まずは、その大会の審査項目に沿って審査するのが前提です。各チームで気になった点をメモをしながら各審査項目の点数を決めていきます。

——一般的に、多くの大会で審査基準となっている項目は何でしょうか?
技術力と構成力のポイントは必ずあって、あとは大会によって違います。それは例えば、 サプライズ性だったり、テーマ性だったり、教育的観点や衣装、などなどです。審査方法を任される場合は、かなり細かく自分の審査項目を作ります。構成力は厳密に言うと、フォーメーションの構成力と時間軸としての構成力。さらに、そのチームが表現しようとしていることが観客に伝わっているか。歌詞とダンスのリンク性や、ユニゾンの揃い方、個々の活かし方などなど、見るポイントはかなり多いです。私はこれまで何千組ものチームを審査していますから、その平均値を元に統計的に審査しています。

——よく、最初の方の出番は審査の基準が固まっていないから不利だ、とか言いますが.。
私の場合は最初も最後も関係ないです。

——TAKAHIROさんが審査委員長を務める「日本ダンス大会」の審査基準には、「技術・ダンススキル」「印象・インパクト」「ステージング・構成力」「協調性・シンクロ」「教育的側面・エディティメント」がありますが、それぞれを細かく説明してください。
「技術・ダンススキル」は、例えばロックダンスのトゥエルがキレ良くできているか、ステップやアイソレがしっかりできているか。音に対しての体の動き方をどこまで高められているか、などです。

——それは、チームの場合は平均値を見るわけですか。
そうです。ただ、構成の中においてソロで高度な技術を見せた場合は、チームの表現としてそこも技術評価します。ただ、日本ダンス大会の場合は、アクロバットに関しては技術点としては評価しないことになっています(※助走をつけたアクロバットは評価の対象としていない)。

——では「印象・インパクト」は?
テーマ性とも言い換えられるでしょうか、その作品がどのようなテーマに基づいているか、その一貫性があるか、見た人に「うまいね」以外の感情を与えるかです。

——そのテーマ性とは、例えばストリートダンスのグルーヴを重視したようなチームの場合はどう評価されますか?
テーマ性とストーリー性とは違いますから、グルーヴを重視したチームはそういうテーマ性ということです。テーマ性とは言い換えれば「自分たちがコレを見せているんだ」というリーズン(理由)なんです。それは「朝露を見た感動をダンスで伝えたい」でもいいし、「ストリートダンスの歴史やカルチャーを伝えたい」でもいいし、「極めたアイソレーションの技術を見せたい」でもいい。それが自分たちの満足だけではなく、見た人に伝わることが重要なのです。今はYouTube時代であり、皆の技術が上がってくる反面、皆が「似てくる」傾向があるんです。勝てるステップ、流行りの動きなどを取り入れることは良いのですが、逆に「らしさ」がなくなって平均化されてしまう。だから、テーマ性だけでなく、独自性を打ち出すことも重要だと思います。

——では「ステージング・構成力」
日本ダンス大会は10~30人で参加できるわけなんですが、そこでは立ち位置が重要になります。ステージング、いわゆるフォーメーションですね。構成力とは、先ほどの通り、時間軸と空間軸の構成があります。起承転結のような起伏のある時間構成ができるか。大人数の立ち位置が伸びたり縮んだり、上下左右や奥行き、出ハケや移動などを使った空間的な構成が効果的かどうか。移動も単なる移動になっているか、ダンスとして動いているかまで見ます。個と群の動きをどう駆け引きして作れているかがポイントです。

——「協調性・シンクロ」
日本ダンス大会では、ユニゾンの時間を45秒入れる規定があります。そこではキッチリ揃っているかどうかを見ます。そして、そのユニゾンを実現させることがチームの協調性になるわけです。

——「教育的側面・エディティメント」
これは真面目にやっていただければ大きな加点や減点になる部分ではありません。ただ、 日本ダンス大会の場合は、減点されるポイントはハッキリしています。一つはアーミー(軍隊)のスタイル、銃を撃つ音やその動き、差別的用語の入った歌詞などです。洋楽のヒップホップには結構入っていることなので、注意していただきたいポイントです(※加えて、性風俗的及びわいせつな印象をあたえる演出もこれにあたる)。これらは事前のビデオ審査でもチェックされています。日本ダンス大会に限らず、各大会にはいろいろ個性と規定があるので、事前に調べておくのは大事ですよね。

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Part.2〜審査員について
審査員が公平にさまざまなダンスを見ることができるのが前提

——先の各項目でそれぞれの減点対象となるポイントやその傾向を教えてください。
減点されやすい傾向としては、加点を狙った大勝負が得てして減点されやすいです。大技をイチかバチかのチャレンジとして入れてしまうと、失敗したときが痛い。あともったいないのが、出だしでモゾモゾ動いていたり、終わりでしっかり止まっていないこと。ダンスは、動いている部分と止まっている部分のコントラストが大事なんです。動いている部分はアイソレーションをしっかりやること。それがチームの中でできている人とそうでない人の差が大きいと、ユニゾンのシンクロ評価に影響してきます。手は動いているけど、体の軸が動いていないとか、ポージングは決まっていても、その間をつなぐ動きにリズムがなくて、ダンス的ではない、などの弱点があります。音楽の求めている世界と、その動きがリンクしていないとダメなんです。

——作品の中では、ダンサーとしての基礎的な「ダンス力」も見抜いて評価していますか?
その学生がどこまで踊れるダンサーなのか、というオーディション的な視点よりは、あくまでその作品の中でのダンスの技術を見ています。大会の主旨が、出場するダンサーを育てていきたいというような意図があるなら別ですが、私の場合は、いま目の前で披露していただいている作品を冷静にジャッジするために、一歩引いた立場で見ていると思います。

——高校生ダンサーや作品の年々の進化自体はめざましいですよね。
そうですね。「高校生恐るべし!」と思います。もしかしたらコンピュータの進化より早んじゃないでしょうか(笑)。昔は、自分たちの楽しんでいる姿を見て欲しいというところから、今は「見せる」ために考えられた作品が増えたと思います。明らかに質が高くなっています。

——同じ作品でも評価が変わるポイントには、審査基準の違いもありますが、審査員の顔ぶれや得意ジャンルの違いなどもあげられます。TAKAHIROさんとしては、審査員は毎回固定すべきだと考えますか。また審査員の得意ジャンルや立場、世代などはどうあるのが理想と考えますか?
審査員が固定されるべきかどうかは、どちらでも良いかと思います。なぜならば、公平に 全ジャンルを見ることができるのがプロのジャッジ、という前提があるべきだからです。ただ、日本ダンス大会のようにジャッジが毎回固定されれば、大会の色というのが確実に固定されることになり、学生としても取り組みやすくはなるでしょう。とにかく、大事なのは我々審査員が公平に様々なダンスを見ることができること。得意ジャンルでジャッジをしているならば、プロではないというのが私の考えです。

>>Part.3〜大会で勝つために&Patr.4〜高校ダンスの意義 



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