【インタビュー】なぜシッキン(s**t kingz)だけがダンサーとして別の地平へ飛び立てたのか?

2022.04.06 INTERVIEW

2010年、海外コンテストで日本のダンスチームが優勝!

s**t kingz(シットキングス)という冗談のようなチーム名に、およそストリートダンサーらしくない雰囲気。
ニュークラシカルなファッションと音楽に、アクティングを含んだ繊細な動き、緩急の効いたシルエット展開、予測不能なユーモアセンス。
古さと新しさ、生っぽさとスタイリッシュさ、安定感と裏切り。

まるで両極を自在に行き来する新世代のダンスチーム「s**t kingz」、それまでのダンサー的な不良っぽさの微塵もなく、明るく好青年であるメンバー4人に、いつしかダンス界は夢中になり、大きな期待と憧れを寄せていた。
ダンサーらしくない「シッキンらしさ」に——。
その後彼らは多くのフォロワーを生み、後続への道を切り開いたかと思えば、すでに別の地平へと飛び立ってしまっている。

舞台公演、人気アーティストのバックアップ、長尺のライヴ公演、生バンドとのステージ、映像作品、トークイベント、SNS活動、テレビ出演、俳優活動、ラジオ番組、デザインなどなど、ダンスを起点とした、あるいはダンスと無関係と思えるフィールドへの果敢なチャレンジ。

なぜシッキンだけが、ダンサーとして別の地平へと飛び立てたのか?

同世代のダンサーたちがダンスフィールドからの脱却に足掻いている中、なぜシッキンだけが軽やかにバージョンアップを実現しているのだろうか——?

その理由を探るために、いくつかのキーワードとともにメンバーにインタビューをしてみた。

「言葉」「YouTube」「演技」「アート」「舞台」、そしてもちろん「ダンス」自体について。

あくまで自然体に、ポジティブに、そしてストイックに、常に自分たち「らしさ」を追求してきた彼らのキャリアと言葉から学びたい。

インタビュー&文:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

 


▲左から、Oguri、kazuki、NOPPO、shoji。

 

WORD
「ダンスと言葉」

ダンサーが感覚で理解していることは言葉にするのが難しい

 

——shojiさんには以前に『ダンスク!2020年12月号』の企画で講演会をやっていただきました。非常に言葉が豊富な方で、若い子には強いメッセージになりました。
shoji:自分では話が上手なつもりはないんですけどね。最初にしゃべり始めたのは、レッスンのあとの時間だと思います。シッキンは海外での経験が多かったから、そういうことに若い生徒が興味を持ってくれて、共有したいと思ったのが最初です。

——やはりシッキンは昔のダンサー像とは違うなと思いました。昔のダンサーさんはあまりしゃべらない/しゃべれない方が多かったですからね。でも実際ダンスのお仕事の現場が広がっていくと、事前に言葉で伝えないといけない場面は多くなりますよね。
kazuki:そうですね。仕事の幅が広がってくると、自分たちのイメージをダンサー以外のいろんな人に伝えなくちゃいけない。それがうまく表現できなかったり、間違って伝わっちゃたりすると「う〜!」って感じにはなりますね(笑)。ダンサーが感覚で理解していることって、なかなか言葉にするのが難しい。
Oguri:SNSが発達してきて、そこでのコミュニケーションのほうが気楽な時ってあるじゃないですか。だから、いざ対面で会った時に、言いたいことがうまく言えないって若い子も多いみたいですね。

——SNSだと誤解も生じますしね。便利だけど、逆に遠回りな場合もある。
shoji:若い子に関わって思うのが、みんなすごく「優しい」んです。いろんなことに気を使いすぎて、本当に言いたいことを言ってないんじゃないかな。そこで、一人だけ言いたいことを言う人がいると悪者っぽく見えてしまう雰囲気がある。みんなが言いたいことを言い合える、そういう環境に変えていかないと良いチームにならないですよね。僕のレッスンでは、2人1組にしてお互いを指摘し合うような方法をとると、みんなが言い合える環境が自然にできてくるんですよ。
kazuki:言い方や伝え方も大事です。だから結局「人間力」が重要なんですよね。

——みなさんも、通常のレッスンから大物アーティストや新人の振り付けまで、いろんな人に教えると思いますが。
kazuki:やっぱり相手によってやり方は変えますよ。あと僕の場合は、真面目に叱ることが苦手なので、すべて(カッコ笑)みたいなギャグっぽい言い方をしたり。

——例えば、ダンス部だと「フリを覚えてきてない部員がいる」みたいな状況もあるじゃないですか。そういう時、どんな言い方すればいいんだろう?って頭を悩ませるリーダーも多いみたいです。
shoji:プロと違って、アマチュアはいろんなモチベーションの人が集まってますから、リーダーは苦労すると思いますよ。それをまとめてるだけで、部長さんには拍手を贈りたい(笑)。
kazuki:でも何か全員で決めてる目標があるんだったら、ちゃんと厳しくやらないといけないと思います!


▲『ダンスク!』の企画で行った、shojiによる高校ダンス部員への講演会。「ダンスで自分を変える」をテーマに、感動的な体験談や強いメッセージが語られた。

 

SNS
「ダンスとYouTube」

使命感はあるけどプレッシャーはない。基本は楽しくてやってます

 

——シッキンの最近のソロ活動で目立っているのが、kazukiさんのYouTuber活動です(YouTubeチャンネル「カズキのタネ」)。単純に面白いですし、なかなかの更新頻度ですよね。あれだけアップしてると、ネタ切れというか「タネ切れ」起こさないかと(笑)。
kazuki:アハハ、でも実は全く仕事だとは思ってなくて、楽しくやってるだけなんです。使命感はあるけどプレッシャーはない。基本、やりたくてやってる。あと、フリートークがうまくなりたくて始めたところはあります。そこはだいぶ鍛えられたんじゃないかな。
shoji:今やシッキンのトークでも、kazukiがいれば面白くなるだろうって安心感はありますね。
kazuki:話の回し方とかツッコミの仕方とか……、他のYouTuberとか見て学んでますよ。企画もトークもライヴ感も大事ですが、YouTubeは編集も大事です。助けられてますね!


▲コロナ自粛期間中に始まったkazukiのYouTube活動「カズキのタネ」。ダンスねたはもちろん、さまざまな企画やトークで盛りだくさん。ダンサーのチャンネルとしては異例の登録者数10万人超え!

 

ACTING
「ダンスと演技」

ダンスでの演技は外側、お芝居は内側から生まれる

 

——Oguriさんは演劇やミュージカルへの出演が順調ですね。ダンスと演技、同じ感覚でできるものですか?
Oguri:最初は、演技もダンスと同じ感覚でできると思っていたんですよね。それまでの僕らのダンスの中でもアクティングの要素はあったし、けっこう得意だと思ってましたから。でもやってみると「演技ってこんなに深いものか!」と痛感しています。ダンスでの演技はあくまで外側の感じで、お芝居はもっと内側から生まれるものって感じなんです。

——ダンスの中での演技はあくまで自分自身、という感じですか?
Oguri:そうですね。もちろんお芝居にも自分自身は入っています。でも役柄と自分、その配分がダンスとお芝居で違う、って感じですかね。
shoji:お芝居の場合は、自分ではしっくりきてなかった演技が意外と良い評価だったりするけど、ダンスの場合はそれはほとんどないんですよね。
Oguri:ダンスの場合は、常に「自分がこう見えてる」という感覚を持っているんですが、お芝居はなるべくそれを消さなくちゃいけない。ダンスは「より良く見せたい」という気持ちで良いんだけど、お芝居はあまりそれを思わない方が良いかも。なるべくニュートラルに反応していく感覚が大事なのかなと。
shoji:逆に僕は、結局ダンスもお芝居も意外に同じ感覚にあるのかなと思うんです。たとえばお芝居におけるナチュラルさを考えた場合、誰にとってのナチュラルさなのかと悩む場合がありますが、ダンスの場合はこの音に対してはこういう踊り、というような感覚がナチュラルに僕らにはある。お芝居の場合はまだ頭で考えてしまうことが、ダンスの場合は自然にできているんです。その違いがあるだけで、ダンスもお芝居も表現としては近い感覚があるんじゃないか、という風に最近は思っています。Oguriの場合は、今もすごくダンスを深掘りしているように思うのですが、芝居の場合は意識的に深掘りしているような感覚になるんじゃないでしょうか。

——なるほど〜、奥深い話ですね。NOPPOさんも俳優として活躍されてます。
NOPPO:たとえば辛い演技をすることがあって、実生活では辛くてもそういう表情をするわけではないですよね。悩んでいる人の表情ってダンスだと誇張されるけど、実際はそうじゃない。芝居における本当のナチュラルさって、また違うアプローチなんだなって思いますね。


▲Oguri(小栗基裕)出演の音楽劇『クラウディア』。12万人を動員した地球ゴージャス伝説の作品が豪華キャストを迎えて、2022年7月に18年振りに復活!!>>オフィシャルHP

 

>>インタビュー後編へ
「将来のイメージはあっても、そこまでの行き方は決めすぎない」



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