【インタビュー&WS募集】コンテンポラリーダンサー「池田美佳」さんが見るストリート系ダンス部大会

2022.09.30 INTERVIEW

コンテンポラリーダンス、コンテ系などと、高校ダンスの世界でも聞くようになってきた言葉だ。
主に創作ダンスの大会を主体としてきた、ジャズ/バレエ系のダンス部——創作ダンス部の呼称としても「コンテ系」という言い方が使われている。

では「コンテンポラリーダンス」とは?
…ダンスジャンルのこと? 高校ダンス部に関係あるの?

検索してみると…
“非古典的かつ前衛的で、時代の先端を体現している、ダンス作品およびダンステクニックを指す概念”
なんて解説が出てくる…。
なんだか余計にわからなくなるね!

では、実際コンテンポラリーを踊るプロダンサーさんに聞いてみよう!ということで、先日のダンススタジアム決勝にて審査員を務めた池田美佳さんにインタビューをしてみた。

 

想像を掻き立てるようなダンサーになることが大事

 

「コンテンポラリーダンスは今や自由な表現方法を総称した言葉として使われることが多いです。その中でも、身体的にしっかり訓練されているダンサーが各ジャンルを発展させた形として踊るスタイルと、ダンサーに限らずその人がその人である=生き様を表現しているような自由な表現をするスタイルに大別できると思います。私自身は、バレエやジャズの技術をベースとした上で、その人自身の個性を活かした表現で見せるスタイルが好きですね」

前衛的な表現手法もあるが、スキル的にはバレエやジャズがベース。池田さん自身も幼少の頃から地元の秋田でモダンバレエを学び、全国コンクールで4度優勝。上京し、大学卒業後は、自然とダンスの仕事が広がっていった。

「当初は純粋なアート寄りのダンスの舞台が多かったけど、そこで得た出会いから、徐々にエンターテインメント寄りの仕事をいただくことも増えました。そこでは“コンクールのダンスはこの世界では通用しない”という壁にぶつかり、様々なジャンルに瞬時に対応する力が求められました。あと学生の頃は自分で振り付けをしてこなかったので、自分で作品を創るようになってからはそこにも苦労しましたね。最初は振付の最初の一手すら出てこなくて、スタジオの真ん中で体育座りで泣いていたこともありました(笑)」

苦労もあったが、徐々に人気アーティストのMVや広告モデルなどへ出演依頼が増えていった。
そのルックスと踊る姿から、「非現実世界の美女ダンサー」というようなイメージでの出演が多いようだが、いざコンテンポラリーの舞台に立てば、その存在はさらに自由に輝く。
抜群の身体能力と技術で、空間を切り裂くようなダイナミックかつ繊細な動きを繋ぎ、観客をイマジネイティブな抽象世界へと連れ去ってくれる。

「踊っている時は、身体の使い方や見え方を考えつつ、空気の粒子までを感じるように意識しています。ただ手を動かすときも、指の隙間から空気の粒子がすり抜けるような、あらゆることに繊細になっている感じです」

表現を伝えるためには、まずはイメージを持つこと。顕微鏡で見ないとわからないぐらいの微細な感覚で踊って初めて、観客に表現は届くのだ。

「見た人から何かしらのインスピレーションを持ってもらえるような存在であることが大事ですよね。プロを目指すとしたら“この人にこんな風に踊ってもらいたい”と想像を掻き立てるようなダンサーになることも大切だなと思います」

コンテンポラリーとエンターテインメントの世界をつなぐキャリアを持ちながら、池田さんは今も挑戦中だという。

「今は次の舞台のためにヒップホップやストリートダンスに挑戦中なんです。毎朝3時間個人練習してもリハーサルに追いつかないくらい難しくて、壁にぶつかっているところです(笑)。ダンススタジアムを見ていて思ったのですが、ストリート色の強い作品では特に上位のチームの音取りの細かさや多彩さに関心しました。身体の細かい部位を使って音の旋律を表現する。細かい音までリズムが繊細に浮かび上がる感じは、ストリートダンスならではだと思いました」

ストリート主体で始まったダンス部大会でも、近年はコンテ系・創作系の台頭が目覚ましい。中でも、池田さんが気になったのはDCCで優勝した帝塚山学院だという。

「空間を制する技術も表現も素晴らしかったのですが、モダン色が強い作品ながら、音を可視化するという部分で特に優れていると思いました。日大明誠高校の作品もそうですね。これからのダンス部の作品は、構成も振り付けもどんどんレベルが上がっていくと思います。ただダンスがうまいと言うだけではなく、作品の面白さや様々なジャンルの技術の融合性、身体の説得力など、より総合的なバランスが必要になっていきそうですよね」

コンテンポラリーダンスの持つ情感表現、そしてストリートダンスが進化させる音感表現。相互が刺激し合い、交流することで、高校ダンス部は今後さらなる進化・発展をしていくのかもしれない。

インタビュー&文:石原ヒサヨシ(ダンスク編集長)

 

>>池田美佳Instagram
>>池田美佳HP

 

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