【WS募集】インタビュー:いま注目のフィメールダンサー4人

2024.08.05 INTERVIEW

いま注目のフィメールダンサー4人から学ぶ!

 

高校ダンス部は9割が女子部員。だから、憧れの女性ダンサー像を見つけることは上達の早道だ。現在シーンで活躍する4人のフィメールダンサーのキャリアとメッセージから学んでいこう。ワークショップも募集中!

『ダンスク!』2024年8月号記事より転載)

インタビュー&文:石原ヒサヨシ


KAORIalive

 

答えがなかなか出ないものに
興味があるんです

Memorable MomentやK famなどのチームで、圧倒的な技術と表現力を披露し、世界大会や大型ダンス番組『THE DANCE DAY』で絶大なインパクトを残す、ダンサー/振付家・演出家のKAORIalive。

「今年の『THE DANCE DAY』は3回目の出場で、本気で優勝を目指していました。結果は残念でしたが、この結果を受け止めないか、受け止めて前に進むかのどちらかしかないとメンバーには話したんです。私は前に進みたい、ここまでやり切れたことはかけがえないことだと伝えたら、みんな泣いていました。結果ではなく、今回は自分たちのやりたいことを伝え切れたという思いがあります」

現在では、活動拠点を京都から東京へ移し、五輪アーティスティックスイミングのコーチなど活動の幅を広げる。意外にもダンスを始めたのは高校時代からだという。

「でも学校にはダンス部はなくて、昼休みに一人で体育館で踊っていました。バイトしてレッスンに通って、その振り付けをずっと個人練習。そうしたら、教えて欲しいという後輩が集まってきて、みんなで文化祭で披露した思い出があります」

大学進学を諦め、ダンスの道へ。ダンスカンパニーの研修生となり、すべての時間をダンスに捧げる日々を送った。

「体が硬かったから、もう歯茎から血が出るぐらい(笑)毎日ストレッチしていました。当時の生活はダンスとバイトと家で寝るだけ。完全に人との交流を絶って、朝からスタジオで個人練習。いつも睡眠不足だったから、開脚したまま寝ちゃう時もあったし(笑)。でも、やれば体も柔らかくなるし、やれば絶対にうまくなる! それがわかっていたから、自分で決めたことはやり通しました」

そのカンパニーでは、難解なテーマ表現に試行錯誤することで自身の芸術的感性も磨き、若くしてスタジオ経営にも乗り出す。

「経営と言っても、最初は自分の練習場所を作りたかったのと、レッスンを受けてみたい先生を呼びたかっただけなんですけどね(笑)。でもそこでいろんなジャンルを覚えたから、今の私のスタイルが出来上がっていると思います」

KAORIaliveのスタイルは、ジャズをベースにしながら芸術性とストリートなパッションも併せ持つ。そして常に、シリアスなテーマ表現に苦しみながらも挑んでいく。

表現は簡単ではないからやる気が出る。答えがなかなか出ないものに興味があるんです」

技術や表現に対してのストイックで挑戦的な姿勢。彼女の手がける作品はどれも、そんな「熱」を帯びている。

>>KAORIalive インスタグラム


Maasa Ishihara

 

まずは自分を知って
向かいたいところを定めること

ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、クリス・ブラウン……名だたる世界的アーティストから指名される日本人ダンサー「Maasa Ishihara」のキャリア転換期は“ダンスをやめた時”に訪れている。

「私はもともと岡山の裕福でもない家庭で育って、安室奈美恵さんに憧れる田舎娘でした。小学校の時にダンスがやりたくて、3年連続でクリスマスツリーのお願い事で書いたら、ついに母親が地元のフィットネスクラブのダンス教室に連れて行ってくれたんです(笑)」

勉強でも運動でもとにかく負けず嫌いだったというMaasaは、その教室の特待生として週6のレッスンに励み、やがて本格的なダンススタジオへと通うようになった。

「一生懸命やったけど、高校を卒業して就職する時にダンスはやめました。ダンスが仕事になるという概念もなかったので、普通に好きだった習い事をやめて働こう、という感じです。でも働いて半年で、直感的に“違和感”を感じてその会社を辞め、あてもなく夜行バスで東京へ向かったんです」

家出同然で上京して2週間、とあるダンスバトルへ出場する。ベスト8には残るが、またまたそこでダンスをやめてしまう。

「そのバトルは私にとって答え合わせというか、自分がダンスを続けるかどうかを試す機会だったんです。家出娘がベスト8になって、よくやったなぁって。それ以上に燃え上がるエネルギーがなかったんです」

その後Maasaは東京で働き出し、倹約的に生活を始める。次は決まっていなかったが、やりたいことができた時、それに全投資するための資金作りだ。そして次なる直感が訪れる。

「なぜか昔見ていたアメリカのドラマのシーンを思い出して、あそこに行きたい!って閃いたんです。東京の生活に違和感を感じ始めてたし、もっと広い世界に行きたいって、ロスに向いました。でも当てもない、英語もしゃべれない。とりあえず現地の語学学校に通い始めて……」

その学校の同級生からダンスレッスンに誘われ、嫌々ながらも参加したところ、ロスの生活にある自然なダンスのあり方に新しいエネルギーを見出す。その後、振付師のアシスタント経験によって再び自身のダンスを磨き上げ、「自分には負けたくない」という気持ちの強さを発揮して次々にオーディションを勝ち抜く。常に戦略的に考え、着実にキャリアを積み、前述のようなトップアーティストとの共演までたどり着いた。

「まずは自分を知ること。強いところも、弱いところも、まず現実を見る。そして、向かいたいところを定める。そうすれば、スタート地点とゴール地点までが見えるじゃないですか。そして、そこに向かうために必要なことをやるだけ。シンプルなことですよ!」

>>Maasa Ishihara インスタグラム


NORI

 

ダンスは自分らしさを
解放するためにある

自称「妖怪ダンス集団」NORI率いるN’ismは、一度見たら忘れない「衝撃」だ。世界大会World of Danceや番組『THE DANCE DAY』での優勝の陰には、唯一無二のNORIだけの世界観がある。

「どうしたらあんな作品になるんですか?って聞かれるんですけど、私にもわからないんです(笑)。私には、障害のある姉と一緒に過ごしてきた人生があって、今は18歳の娘がいて……、なんかいろんな違和感を感じながら生きてきた。それを言葉で表すことは難しいし、ナンセンスだと思うんです」

だから、ダンスで表現してきた。「伝えたい、わかってほしい」ではなく、ありのままの自分の心象風景を表現すること。

「今は、バズらないとダメ、ハッピーじゃないとダメ、わかりやすくなくてはダメ。誰かに何かをわかってもらおうと思って作品を作るのは私には意味がない。みんなが美しいとか、キレイと思うものが昔からなぜか好きじゃないんです。バラよりツクシのほうがキレイじゃんって思う感性を私は隠してこなかった。ダンス作品によくある壮大なテーマも苦手です(笑)。もっと身近なものに対する、素直な感性がテーマであっていいと思う」

昨年の『THE DANCE DAY』で優勝した作品のインスピレーションは、一枚の布であったという。それが生き物のように見えたところから、徐々に作品の世界を膨らませていった。N’ismのダンスを例えて言うなら、アヴァンギャルドとスタンダード、未知の動きと安定感がスピーディに交錯しながら、まるで魚群のような動きで作品世界がアメーバ状に拡散されていく。

「顔で踊る感じが好きじゃないんです。だから被り物が多い(笑)。全員の踊りだけで作り上げている世界観がいい。誰か一人だけをフィーチャーするのではなく、全員が同じ技やアクロバットをできるまでやる。だから吐くまで練習する(笑)」

NORIが大好きな昭和のアニメ『妖怪人間ベム』は、社会に疎まれながらも、人を助け、人間になろうともがく妖怪たちの葛藤を描いている。社会に対する違和感、怒り、やるせなさ、そしてアンチテーゼがNORIの大きなインスピレーションなのだ。

みんなに合わせることにみんなが疲れている社会。それが今のダンスにも出てるんです。振り付けを合わせているだけではロボットみたいで面白くない。ダンスは自分らしさを解放するためにあるんだから」

>>NORI インスタグラム


JURIANA

 

私が大事にしている
「解放、大丈夫、感謝」

プロダンサーになる。ダンスで生きる。ダンスでしか生きれない。そんな人生は、おそらく幼少の頃から始まっている。

「私は小学校の時にいじめにあっていて、ダンスをやっている時だけが楽しかったんです。楽しい!気持ちいい!すごい! そんな気持ちだけでダンスを続けてきました」

ダンスシーンのみならず各方面で活躍を広げるJURIANA。大阪出身で、子供の頃から本格派ダンサーに惹かれ、ソウル~ジャズ~ワックを武器にしてコンテストやバトルで頭角を現わし、ひとたび踊り出すと、可愛らしい風貌から怪しげに豹変し、独特の空気感を生み出す。

「子供の頃から、朝起きると自分のキャラクターが違うことに気づいていたんです。多重人格じゃないんですけど(笑)、その気分でその日に着たい服も変わるし、性格も変わっている。だから、その日に踊るダンスも違う。好きな曲とか服も1つに決めることができないんですよね。そういう多面性が、いろんな仕事やる時に役立っているのかなと思います。キャラクターに入り込んでいくことって楽しいですよね!」

自身の表現としてのダンス活動に限らず、プロデューサーの黄帝心仙人と共に、さまざまなユニットや活動、PR仕事などをこなす日々だ。

「たとえ自分の想像していないような仕事だとしても、その現場で絶対に学べることがある。自分の可能性を発見することにもなるし、いろんな仕事をしている方から、見て学ぶことができる」

彼女が子供のころから大事にしていることが3つ。「解放」「大丈夫」「感謝」。

「私は舞台で踊るときに、自分を解放してあげます。スポットライトを浴びた瞬間、私は自分を解放するスイッチが入るんです。舞台に立つ時は“大丈夫、大丈夫”と絶対に自分を信じてあげます。そして今まで生きていること、周りに支えてもらっていること、ダンスできていることに感謝。それしかないです!」

あくまで謙虚に、勤勉に、そして献身的に、ダンスに仕事に捧げる彼女の毎日。WSで伝えたいことは?

「まずは体の使い方、アイソレの大切さを伝えたいです。柔軟感覚でアイソレを適当にやってしまうのはもったいない。何事も基礎は大事だし、ハマったらすごく面白いんですよ! その中で、自分の見せ方を発見してほしい。自分をよく見せる動きや角度、シルエットを研究して“自分”を発見して欲しいです」

>>JURIANAインスタグラム


 

ダンス部向けWS募集!!

ワークショップのエントリーは『ダンスク!』のInstagramをフォローして、ダンス部顧問の許可をとった上で「ダンス部WSエントリー」とDMください。
その際①学校名②代表者名③連絡先電話番号④WS希望インストラクター名(KAORIalive/NORI/Maasa Ishihara/JURIANA)を明記してください。
インストラクターと協議のうえ実施校を決定、日程と場所を調整したのちに実施となります。

Instagram:@dansuku_magazine

※Instagramアカウントのない方は、info@d-s-k.jpもしくはコチラまで、上記①〜④を記入してメールしてください。



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