ジャッジ【GENDAI】が振り返る【ダンススタジアム】決勝大会&KUROKO自主公演

2024.10.05 INTERVIEW

ダンススタジアム(日本高校ダンス部選手権)決勝大会が9月1日に終了して1ヶ月が経とうとしている。

今年は、準決勝と決勝大会に分かれ、準決勝の上位16チーム(ビッグ/スモール)が決勝進出、審査員が変わっての決戦となった。

>>準決勝大会の全チームレポートはこちら

この模様は、フジテレビ系列バラエティ番組『新しいカギ』で放映され、放送日の9月21日までは各メディアでのレポート記事掲載が規制されていた。

という事情で、例年よりもかなり遅くなってしまったが、決勝大会の審査員を務めたGENDAIとともに決勝を振り返っていこう。

まずは決勝大会の結果。準決勝の順位も付記する。

【スモールクラス結果】
優勝:樟蔭高等学校 (大阪)←1位(準決勝順位)
準優勝:桜丘高等学校 (愛知)←2位
3位:山村国際高等学校 (埼玉)↑4位
4位:常磐高等学校 (福岡)↑5位
5位:中京大学附属中京高等学校 (愛知)↓3位
6位:愛知工業大学名電高等学校 (愛知)↑8位
7位:初芝立命館高等学校 (大阪)↓6位
8位:柳川高等学校 (福岡)↓7位

【ビッグクラス結果】
優勝:帝塚山学院高等学校 (大阪)←1位
準優勝:東京都立狛江高等学校 (東京)↑3位
3位:福岡大学附属若葉高等学校 (福岡)↑6位
4位:関西学院高等部 (兵庫)↓2位
5位:三重高等学校 (三重)↓4位
6位:山村国際高等学校 (埼玉)↓5位
7位:光ヶ丘女子高等学校 (愛知)←7位
8位:関西大倉高等学校 (大阪)←8位

優勝チームは、準決勝の得点順通りそのまま1位に。
それ以外も、順位を3つ上げた福岡大若葉以外は、ほぼ準決勝の得点順位通りだったので、改めて決勝大会の存在意義は問われるところではある。

ジャッジが変われば審査は変わる、という声もよく聞くが、ハイレベルな争いをハイレベルなジャッジが審査すれば、評価はほぼ変わらないのだ。

審査員を務めたGENDAIは決勝の戦いをどう見ただろうか?

 

GENDAIの目線——
スキルを持ちながらエンタメを

 

「印象に残っているのは狛江高校でしたね。優勝した帝塚山は圧倒的に勝ちに来ている感じでしたが、狛江にゲームチェンジャーになってほしいな、という気持ちがありました。チャレンジしようとしている感が伝わってきたし、無理に複雑にせずに、シンプルでアイコニックなミュージカル調の構成でまとめている点も印象が良かったですね」

椎名林檎の「人生は夢だらけ」1曲使い、抜群の構成力とチームワークによる作品で、各大会で印象を残した狛江高校のビッグクラス作品がまず挙げられた。

「狛江のシンプルな見せ方には学べる点が多いと思います。ビッグクラスでは、ある意味すごいことが起きすぎていて、結果よく伝わらなかった、というという作品がいくつかありましたね」

シンプルイズベスト、という言葉があるが、その実践は難しい。
高校生のレベルでは、できることをなるべく詰め込もう、メンバーをフェアに見せよう、不安だからどんどん足し算していってしまう、という傾向がある。
見せどころを効果的に見せるための「引き算」が難しいのだ。

「スモールとビッグで作品が似てきているのかなという印象もありました。スモールでは振付師の影響を強く感じさせる作品が勝ちましたね。創作系やジャズ系の作品は、踊っているメンバーたちがどこまで作品の理解をしているのかなというのがいつも気になるところで、そういう意味でも狛江や関西学院の等身大の表現が良かったんです」

創作系やジャズ系に対抗するように、今年活躍が目立ったのが、ブレイキンやオールドスクール勢だ。

「桜丘のブレイキンも良かったですが、もっとフリースタイルでいっても良かったと思います。オールドスクール系は、三重高校みたいに気持ちで来て欲しいな、というところもありますね。ソウルフルな常盤高校も、テーマが見やすいものに落とされていて、印象が良かったです」

ダンス部大会のみならず、ダンスコンテストの審査員を務め、自身も世界大会へ出場するなど、数多くのコンテストを経験してきたGENDAIにとっては、今のダンス部大会はどう映るのだろう。

「かつてストリートのチームがメインだったダンス部の大会が、創作系のダンス部が勝つようになって、1コ強いフォーマットができてしまった感じがありますね。衣装がドレスっぽくて、壮大な音楽で、芸術性が高くて、大人数でスキルもフィジカルも素晴らしくて……、という。でもそればかりでは、シーンとしてはあまり面白くなってこないと思うんです」

世界を舞台に、独創的なパフォーマンスを繰り広げているGENDAIだからこその提言である。

「もっとオリジナリティが欲しい。振付師の影響が見えた状況で100点を取れたとしても、なんか100点が小さく見える感じがあるんです。印象として“カッコいい!”まではいかないんですよね。もっと高校生には、手作り感があるものを望みたい気持ちがあります」

では、シーンを面白くするダンスチームとはどんなものだろう?

「これからはスキルを持ったチームが、エンタメを掛け合わせて来たら面白いなと思います。かつてのバブリーダンスみたいな感じとか、エンタメとして楽しめて、世界へ広がっていくような作品ですね。フリースタイル要素とバッチリ揃えていく要素がバランス良く揃っているチームがあれば、今のコレオ系チームにも対抗できるんじゃないですかね」

GENDAI自身は現在「モーションディレクター」として、ダンスに限らず全ての動きをディレクションするアーティストとして活躍するが、心はやはりストリートダンサーなのだ。

「振り付け主体になってくると、ストリートの良さって若干喧嘩するじゃないですか。そこをもっと“今日しかできない!”というパッションのパフォーマンスが本番でできれば、ストリートがコレオ系を越えることができるんじゃないですかね。今年は、音源の規定変更への対応も大変みたいですが、しがらみは強みに変えなくてはいけないと思います。皆さん、がんばってください!」


 

KUROKO自主公演
現代のライブエンターテインメントとは?

 

 

そんなGENDAI率いるKUROKOが、初の舞台公演『HOME』を8月に行なった。
テレビ番組『THE DANCE DAY』で初代チャンピオンを勝ち取ったKUROKOによる、ハイクオリティなダンスを軸に、ストーリーあり、演技あり、音楽あり、コメディあり、メッセージありのエンターテインメントが展開された。

「とにかく楽しい。飽きさせないものにしたかったんです。舞台の概念を広く捉えて、客席から会場から全部使って、舞台であって、大道芸であって、サーカスであって、ダンスであるみたいなものを目指しました。ライブエンターテインメントはなんだろう?という実験の一歩目ですね」

ダンスチームによる、ダンスはあるが、ダンス公演ではない新感覚の舞台。

「ダンス公演としては考えていなかったです。ダンスが好きな人はもちろん、いかに一般の人にダンスに興味を持ってもらうきっかけになればと思って作りました。今回の舞台は、黒子が演者にいるのがコンセプトであり設定です。コンセプトはあってもテーマは重要視していない。テーマはあくまで僕たち演者が感じていることであり、決めつけてはいないんです」

KUROKOが切り開く、新しいダンスエンターテイメントの可能性。
GENDAIのまるで小宇宙のような、無限のクリエイティブマインドには、高校ダンス部にとっても刺激的なヒントがあるだろう。

 

インタビュー&文:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

【GENDAIプロフィール】
CGの世界観をアナログで魅せるパフォーマンスチーム「KUROKO」のリーダー。アニメーションダンスを武器に、「VIBE」「WOD」「アマチュアナイト」などの世界的コンテストで大活躍を果たす。KUROKOとしては大型テレビ番組『THE DANCE DAY』で初代チャンピオンに輝く。GENDAIはダンサーの枠を超えた「モーションディレクター」として、各メディアやイベント、振付師として活躍中。

【GENDAIオフィシャルSNS】
Instagram:@gendai_tokyo
Twitter:@gendai0207
YouTube:https://www.youtube.com/user/talqbox

 


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GENDAIが高校ダンス部を対象に、作品作りの講演を行ないます。
大会に向けて、自主的に作品作りをしているダンス部、ぜひヒントにしてください!

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