「高校生ライブ MUSIC DAYS」2016 FINALダンス部門優勝は「都立鷺宮高校」
2016.11.04 REPORT
ダンス部門
Vague(東大和高校)
よく体の効いた動きで次々にダンスを畳み掛ける構成。レベルは高いが、ありきたりな印象にならないよう、衣装や盛り上げどころに工夫がほしい。
BUR$T(神奈川県立 相模原青陵高等学校)
ミリタリー衣装に現われるように戦いに挑む女子たちの気合いがみなぎる。人数が少ない分、メンバーそれぞれの個性や華やかさを活かしてインパクトを出した。
Big up
トライバル(民族的)なアプローチで挑んだ本格的ヒップホップトリオ。コミカルな細かい動きで観客を魅了し、ソロでは個々のスキルも見せつけた。ダンス部のダンスとは異なる世界観やテーマが突き抜けている。
Dippper(武蔵丘高校)
【JSDA賞】
コンセプト立てが面白い個性派チーム。ストーリー展開も引き込むが、後半はしっかり群舞で見せてダンス作品として完成度を高めていた。
MD2(町田総合高校)
【日本工学院専門学校賞】
サンダーバードの世界をアクセントにヒップホップをスピード展開。遊びの部分とダンスの部分をメリハリつけて構成した。
BAM(狛江高校)
【準グランプリ】
完成度の高い衣装とメイク、展開を読ませない序盤、映画のような世界観作りで観客を引き込む。エンターテインメントを理解した作品作り。
JUMPER 8th(熊谷女子高校)
大所帯でのシンクロやシンメトリー展開にポイントを置いた展開。後半やや息切れした印象があったが、チームワークの強さが伝わってくる。
覇音 -HERON-(鷺宮高校)
【グランプリ】
【オーディエンス賞】
本大会常連校の素晴らしいパフォーマンス。クイーンなどのメジャー曲が持つイメージを増幅させて、スケールの大きなダンス作品に仕上げている。序盤、盛り上げ、オチなどの展開も秀逸。
ILL SQUAD(上鶴間高校)
【準グランプリ】
【ダンスク賞】
確かなスキルとグルーブ力で今日一番のストリート感を匂わせる。メンバーごとにアレンジを加えた衣装もファッショナブル。チーム力をアップさせれば無敵感が増すはず。
L.A.V
衣装やダンスの展開で前半後半をドラマチックに構成した和の叙情的ジャズダンス。傘の使い方と余韻のある表情が印象に心に残る。
ACE(府中西高校)
CAとパイロットの飛行機旅行というコンセプトでさまざまなダンススタイルを繰り出す。部員たちの創意工夫が伝わってくる。
<<総評>>
予選大会から計4回、レポートをしながら審査員を務めさせていただきました。
ダンスメディアをやっている身ですが、元々はバンドマンから音楽雑誌の編集をやっていたので、イマドキの高校の軽音楽部の状況にもとても興味を持っていました。
ダンスと同じく、いまの軽音楽部はとてもレベルが高いです。特にこのようなコンテストに出るバンドは、オリジナル曲は当たり前、アレンジも歌詞もしっかりとしたものを作ってきます。
女子比率が多いのも、ダンス部と同じく、ステージに立って目立ちたい女の子が増えた証拠ですね。
入賞したバンドの傾向としては…
・音作りが良い
・無駄な音やエゴを出していない
・歌メロディを大事にしたアレンジ
・しっかりとしたリズムキープ
というところが共通しています。要は、きちんと「音楽的である」ことが重要なのですね。
同様のことがダンス部門でも言えると思いました。
「音楽的なダンス」というとピンと来ないかもしれませんが、要はダンスが曲に合っているか、リズムやさまざまな音を感じられているか、曲のメッセージを汲み取って踊っているか、曲を盛り上げる効果としてダンスが存在しているか?ということなのです。
最近のダンスコンテストなどで、「曲を大事に」「音楽を大事に」というのはよく審査員から言われることです。
それは単に、きちんとした音質の音源を使っているかという最低レベルの話から、曲のミックス部分(つなぎ)を丁寧に仕上げているか、無駄に曲数を増やしていないか、曲に対してリスペクトの気持ちを持って大事に扱ってほしいということです。
グランプリを獲ったHERON(鷺宮高校)はその好例と言えるチームでした。
クイーンなどの有名曲でまず観客を乗せて、曲の持つ大きなイメージをアメリカンスポーツのダイナミックさに増幅させ、起承転結を考えた曲構成とストーリーで盛り上げながら、チャーミングなオチもつけていました。
まさに曲とダンスが対等に融合した「音楽的なダンス」と言えると思います。
(参考映像)
こういった異なる部活が同じ場所でパフォーマンスし合うということで、学び合えることも多かったはずです。
ダンス部は軽音楽部から音楽を大事にすることを、軽音楽部はダンス部からパフォーマンスの難しさを。
ダンス部と軽音楽部では多少タイプや個性が違うようですが、同じ高校生で、同じような夢を抱いています。
いつか、軽音楽部の演奏でダンス部がパフォーマンスするステージを見てみたいものです。
参加したチームと関係者の皆さん、お疲れ様でした。
レポート:石原久佳(ダンスク!)