優勝は都立狛江高校!2017年「日本ダンス大会」出場全チームレポ&総評
2017.06.12 REPORT
夏休みのダンス部大会シーズンに先駆けて行われる全国大会といえば「日本ダンス大会」。
今年で5回目を数え、出場チームも増加傾向。
過去には、登美丘高校、鎮西高校、北九州市立高校、京都明徳高校などの全国区での強豪校が優勝・入賞を果たしていることからも、全国大会としても認知が高い。
とはいえ、出場校は関東の学校が中心となるため、レベルアップした関東勢がいかに西日本の強豪校に挑んでいくという対決構造が、本大会の見所ともいえるだろう。
では、出場校のパフォーマンスを写真付きで見ていこう(昨年の全チームレポートはコチラ)
コメントはやや辛口にしているところもありますが、直感と愛情で書きましたので、いちアドバイスとして今後の参考にしてもらえればと思います。
レポート:石原久佳(ダンスク!)
写真:渡邊 眞朗
1)実践学園高等学校(東京)
50’sのロックンロール風のショーケース。衣装がカワイイ。途中ミリタリー的なフォーメーションをはさんで、後半は強めのヒップホップで締める。衣装からは想像できないダンスの多彩さが魅力。
2)宝仙学園高等学校(東京)
不穏なムードのスタートから、ストーリー性を感じさせる展開。主役を立てたエモーショナルな展開もインパクトを残す。
3)北星学園女子中学高等学校(北海道)
アラビアン調のビビッドな色の衣装に、女性らしさを加えたヒップホップスタイル。同じテンポで動きをつける時間が多いので、音の取り方の緩急を考えたいところ。
4)沖縄県立糸満高等学校
沖縄からはるばる、全員りゅうちぇるというネタものアプローチ。楽しさは充分に伝わったが、ネタをダンスに落とし込む見せ方も欲しかった。
5)大阪府立北摂つばさ高等学校
赤金のド派手衣装に、正統派のヒップホップスタイル。緩急やバウンス感のシンクロ率が高く、練習量とチーム力を感じさせる。
6)宮城学院高等学校
衣装の色合いも良く、4つ打ちに乗せたフォーメーションやステップが目まぐるしい展開。表情での演出をもっと突き詰めていけば、伝わる力はより増すだろう。また、後半にパワーを出し切るスタミナと集中力も欲しい。
7)千葉県立四街道高等学校
あえて動きを抑えた序盤の作り方。傘の開閉を使ったカノンの構成も独創的。1曲使いならではの緊張感の中での展開作りがうまい。
8)大阪産業大学付属高等学校
大阪のベースボールシャツの気合の入ったヒップホップ娘。高いシンクロ率で迫力を出し、旗ふりのパフォーマンスでは印象的なアクセントをつける。こちらも1曲使いのテンション感で引きつける好例。
9)栄徳高等学校(愛知)
衣装も雰囲気も華やかな大所帯チーム。展開の多さや、女装男子のキャラでダンス力をカバーする。
10)日本大学明誠高等学校(山梨)
相応のダンス技術を必要とするアイソレやメリハリの効いた見せ方。コックをテーマにした作品性とのバランスも良く、高校生らしさが好印象。各ステップや動きに、よりグルーヴ感が出てくれば、さらに高いレベルにいけるはず。
11)さいたま市立大宮西高等学校
伝統のエリートヒップホップ集団。持ち前のカルチャー感・ストリート感・フィジカルの強さに加え、少人数でギュッとまとまったチーム力が高く、今年のさらなる活躍が期待できる。
12)駒澤大学高等学校(東京)
ジャズホップホップをベースに、神秘的なムードとセンスの良さで見せる。過去数年の同校のチームでは一番良い出来では?
【岩井智子賞】
13)千葉県立松戸高等学校
日本の祭りをテーマに、高校生らしいさわやかなパフォーマンス。展開もフォーメーションも衣装替えすばらしい。ただし、低い音質が迫力を損なっており、もったいないところだ。
14)品川女子学院(東京)
毎回楽しいコンセプトで見せてくれるダンス伝統校。なんと今年は「ツッパリ」男女によるストーリー展開。その時代のダンスを取り入れる等、もっとコンセプトをダンス自体の動きに活かす大胆さがあっても良いだろう。
15)東京都立鷺宮高等学校
ドスの効いたビート感と気迫、プロ顔負けのクオリティ高い衣装が、もはや校風とも言える同校。男子部員の個性が光るのも特徴だ。緩急、キレ、可動域、表情など、まだまだ伸ばせるポイントはあると感じた。
16)トキワ松学園高等学校(東京)
衝撃の戦国武将スタイル。学生らしい創意工夫が見られるが、やや詰め込みすぎて、踊りが先走ってしまっているので、観客目線での振り付けの交通整理が必要だろう。
17)京都文教高等学校
冒頭に幕に隠れている意図はわからなかったが、スイングジャズに乗せた目まぐるしい展開がレベル高い。移動の部分まで含めて根本的なノリ方を徹底的にスイングさせていくと、このタイプの1曲使いはもっと映えてくるはずだ。
18)東京都立狛江高等学校
毎回、衣装の完成度が高い同校だが、今年も秀逸なネコ姿。フォーメーションの緩急やシンクロ率が非常に高く、すべてのバランスの良さが秀でている。高校ダンス部がお手本にしたい方向性のひとつだ。
【優勝】
【蝶理特別賞】
19)京都明徳高等学校
過去優勝校だけあり、キレとパワーが段違い。ヒップホップをベースに、ハウスやロック、ストンプ、アクロバット等のエッセンスをサラリと取り込んでいるところがニクい。ここにきて、関西ダンス部のレベルの高さを実感する。
【永利真弓賞】
20)精華女子高等学校(福岡)
センスの良い衣装とヘアメイクが、頭一つアカ抜けている印象。リリカルな表現に相応の技術を持ち合わせた上に、気持ちの強さと表現力の高さを感じさせる。女性の優しさや美しさを表現しているチーム。