バブリープレッシャーを乗り越え「登美丘高校」が歓喜の二連覇!2018年DCC出場36チームレポート
2018.08.15 REPORT
夏のダンス部全国大会の初陣となるDCC〜全国高等学校ダンス部選手権。
6回目となる今回は、舞浜アンフィシアターに会場を移し、全国から36チームの決勝進出校が雌雄を決した。
昨今のダンス部ブームもあって、動画予選の参加校数は過去最高とのことで、全体のパフォーマンスレベルも上がり、それに加えてシードの強豪校による混戦が予想される大会になった。
DCC勝負のポイントは大きく2つ。
舞浜アンフィシアター特有の半円形のステージを如何にうまく使うか。
通常のステージならば正面だけだが、ここでは180度以上の視界を意識したパフォーマンスにアレンジする必要がある。
また、審査席や観客席やステージをやや見下ろす形になるため、後列の動きまで固めたユニゾンや3D的なフォーメーション展開も有効だろう。
そして、DCC独特の審査基準、「テーマ・表現力」だ。
・漢字二文字のテーマをいかにダンスで表現するかを競います。
(例:情熱【パッション】)
・審査基準は 【テーマ・表現力】10点 【ダンススキル】6点 【その他(構成、衣装、チームワーク、パッションなど)】4点となります。
※複数の審査員にて審査いたします。
DCCではダンスの|「自由な発想とオリジナル性」を大切にしています。
生徒達が自ら考えたテーマをどう表現するのか。 ここに自由な発想を持ち、オリジナル性を追求することが生徒達の心身成長に繋がると考えます。
そのため、表現力を最も重視した審査基準としています。
最大10点のこのポイントを如何を稼げるかがポイント。
見どころとしては、昨年優勝の登美丘高校が連覇を果たせるか。
昨年のバブリーダンスが全国区で披露されたのは、実はこの大会なのだ。
ブームのきっかけとなった大会で、ダンス部としては前代未聞のプレッシャーを浴びる中、果たしてどんなアプローチを? そこに絡む強豪校のパフォーマンスの出来は?
テリー伊藤、古坂大魔王、Da-iCEら審査員やゲストもavex主催の大会らしく豪華で(筆者も毎年参加しています)、ダンス部大会の中でももっともエンタメ色の強い大会の模様を昨年のレポートに続いて全チームレポートでお送りしよう!
レポート:石原久佳(ダンスク!)
撮影:金子亜矢子
Aブロック
千葉県立幕張総合高等学校
テーマ:銀河(トラップ)
緊張のトップバッター。円形ステージをフルに使った板付から、群の伸縮を巧みに使い、多面的に構成した。テーマは宇宙の無重力感、輝く無数の星を表現した。
東京都立大森高等学校
踊人(ダンスマン)
選曲衣装共にバラエティ感で見せる。登場人物も多く、ストーリー性も凝っている。日常にダンスを届けるダンスマンが活躍するという高校生らしい作品。
大阪府立鶴見商業高等学校
罠堕(トラップ)
テーマと当て字が面白い。少人数ながら力強いヒップホップを繰り出すが、中盤やや単調になってしまった感がある。
安中総合学園高等学校
手花(しゅわ)
まさにテーマ通り手話的なメッセージとストレートな情感をぶつける作品。同校得意の邦楽1曲使いで、共感性の高いアプローチだ。起承転結のはっきりした展開の良さも秀逸。
大阪市立汎愛高等学校
孔雀(ピーフォール)
音取りの良さに安定した実力がうかがえる。衣装(衣装替え)とテーマのマッチングもよく、トライバルな高揚感と多面的な展開で美しさと強さを表現した。
昭和学院高等学校(千葉)
誘闇(タスケテ)
綺麗なユニゾンが印象深い情熱的なパフォーマンス。しなやかな動きで闇から逃れようともがくテーマを表現。
静岡県立浜松東高等学校
高揚(バイブス)
ストイックなビートの選曲で王道のヒップホップ勝負。「高揚と書いてバイブス」がうまい!
大阪府立豊中高等学校
兄弟(マリオ)
コンセプト、スキル、ユニゾン、構成すべてのバランスが良い。作品作りもキャッチーでエンタメ性が高く、今後に期待が持てる。
山村国際高等学校(埼玉)
女鏡(マリリンモンロー)
配役とストーリーをわかりやすく構成した、同校ならではのゴージャスなコンセプト作品。ダンスの地力があるからこそ成せるアプローチだ。
Bブロック
愛知県立昭和高等学校
故郷(ふるさと)
ダンスには珍しいサーフギター曲で、ミュージカル調の構成にさわやかな笑顔。アプローチは面白いが、ダンスとアクティングのバランスが難しく、構成もややアクセント不足か。
東野高等学校(埼玉)
吸魄(ヴァンパイア)
鍛え抜かれたフィジカルをフルに使った爆発力のあるユニゾン、気合いみなぎる表情、後半へかけてのスピーディーな畳み掛けや展開の多彩さなど、十分に入賞に値するパフォーマンスだ。
北海道札幌月寒高等学校
鼓舞(インスパイアー)
北海道からの常連校。自分たちや観客を鼓舞することを表現。細かい展開の仕方が工夫されている。
京都文教高等学校
和洋(ジャパニーズロック)
元気印のロックダンスチーム。テーマと衣装のバランス感が伝わりにくいが、ユニゾンやフォーメーションに相当の練習量を感じさせる。
樹徳高等学校(群馬)
鐡旅(しゅっぱつしんこう)
衣装とテーマと選曲のバランスが良い。ストーリー展開も楽しく、高校生らしい遊び心のある作品。この路線でまた今後の作品が見てみたい。
大阪府立柴島高等学校
韻踄(インパクト)
ストリート感たっぷりのヒップホップ感とユニゾンの強さ。まさしく韻を踏むようなリズミカルな音取りの良さがシンプルな構成を引き立たせる。
品川女子学院(東京)
魅緑(カメレオン)
これまでは女子らしいコンセプト作品に定評のあるダンス部だったが、今年はアーティスティックな路線でストレートに勝負。久々に復調した感が。
大阪府立久米田高等学校
女帝(マドンナ)
半円ステージへの隊列や構成のハマりかたが素晴らしい。息もつかせぬ展開、圧倒的なユニゾンの力、そして写真の通り、印象的な「絵作り」が抜群にうまい。
【準優勝】
同志社香里高等学校(大阪)
苦闘(くとう)
昨年DCC3位、ダンスタ優勝の強豪校。パンキングを武器にスキのない作品作り。個人的には、入賞しなかったのは不思議でならないぐらいの出来。