「大阪府立堺西高校」厳しさと楽しさ、両極のバランスが生む全国トップ校レポ&コーチインタビュー!
2017.12.13 REPORT
大阪府立堺西高等学校ダンス部コーチ
KOTONE
勝つためだけでなく、ダンスを好きな気持ちを大事にしてほしい
——まずはダンス部との関わりを教えてください。
私はここのOGではなくて、通っていたダンスの専門学校からの派遣という形で6年前からやらせてもらっています。練習に来るのは月2回ほどですね。
——月2回でこの成績はスゴイですね。
本当はもっと来たいんですけど、いろいろと事情があって。だから、来れない時は動画をもらってアドバイスを返してますね。私はあまり仕事と思ってないから、レッスンもよく延長します(笑)。部活動の2年半がみんなの中でめっちゃ濃いと思うので、自分もやれるだけのことをやって、満足して「堺西に入ってよかった」って思って引退してほしい。自分もそんな仕事ができるのは幸せなことやと思うんで、なるべく時間はかけたいですね。
——指導でポイントにしている部分は?
やっぱり基礎ですね。特に今年は人数も減ったんで、そこを重点的にやっています。初心者の方が色がついていない分だけ、基礎は教えやすいかもしれません。あと学校ありきの部活なので、礼儀や常識は厳しく教えます。私も体育会系の人間なので、部活を通じて人として成長してほしいと思うんです。
——今年のダンススタジアムは、同志社・登美丘に次ぐ3位。毎年全国で入賞していますし、作品の芸術性もとても高いです。
でも最近は「勝たないといけない」という気持ちが自分の中では引っかかっているんです。勝つために踊る、勝つ踊りに寄せるんじゃなくて、ダンスが好きで始めたんだから、やっぱりそこを大事にしてほしい。結果がついてこなくても、過程が良ければいいんじゃないかって、そんなことを最近は部員とすごく話しますね。
——指導に来れない時はどんな練習をさせていますか?
みんなは普段、フリを揃える練習をすごくしてますね。それは私が言ったとかじゃなくて、自然に伝統として続いているんだと思います。でも、揃っているのは自分の中では当たり前であって、揃っているだけの学校ってあまり魅力を感じないんです。もっと個性や迫力がほしいし、一番の理想は音楽とマッチしていることです。久米田さんとか、同志社香里さんとか、上宮さんとか、私が好きなチームはみんな音楽との一体感があるんですよ。
——振り付けはどうのように?
まずは最高学年の部員からやりたいイメージを聞いて、私が曲を探して作るところから始めます。女子ばかりなので、やはり女性らしさは大事にしていますね。構成もかなりこだわります。私の場合は、フリを増やすよりも同じフリで見せていきたいという意識があって、高低差をつけたり、左右対称にしたり。ありがちな構成から、それをちょっと崩した形など、大会終わるごとに毎回変えていますね。部員に考えさせているパートもあります。やっぱり踊らされてる感を出してほしくないし、ジャズ系のジャンルって作品頼りな部分もあるじゃないですか。だから作品の良さを超えるパワーや魅力を出したいんですよね。
——卒業後の生徒とは付き合いはありますか?
ダンスをやめてしまう生徒も多いんですけど、やってる子には絶対声かけて一緒に踊ります! 今はダンス部員だから一緒に踊れないじゃないですか。だから、卒業したら「何か一緒にやろう!」って、友達みたいになってますよ!
インタビュー&文:石原久佳(ダンスク!)
※『ダンスク!』第14号記事より転載