奈良県随一の強豪「一条高校」“校内ストリート”から生まれるヒップホップな精神性と独創性

2018.02.14 REPORT

ダンス部大会で見られる伝統と独自性という意味では、奈良一条はその筆頭と言えるだろう。

ストリートダンスの王道とカルチャー感を軸にしながら、明確なテーマ性とコンセプトを持ち、コメディ要素を散らしたスピーディな展開を武器に毎年のようにインパクトのある作品を残す、関西の大会常連校の1つだ。

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▲昨年のダンススタジアムでは工事現場の作業員がテーマ、一昨年はニューヨークのストリートカルチャーをダンスで再現。どちらも高校生らしい自由な発想と意外な展開が印象的な作品だ。


▲こちらはHIGH SCHOOL DANCE COMPETITION 2018 関西大会の優勝作品。浮遊感のあるグルーヴと民族舞踊的な世界観をミックスさせた高度な集団ヒップホップ。

舞踊部として創立されたのが1951年と歴史は古いが、ストリートダンスをメインとする部になったのは2000年以降で、2009年に顧問の荒平先生が就任してから急速に部が変化していったのだという。

当初は学内での認知度は低かったと思います。外部での活動もなかったから、すぐに大会に出すようにして、その成果が出るにつれて部の雰囲気が変わっていきましたね」

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▲練習場所は、講堂とこちらの屋外のセミナーハウス前。練習前はミーティングにて、その日の内容と課題を確認。ストレッチや筋トレもみっちりと行なう。その後はジャンル後に分かれて練習。

 

専任のコーチはおらず、練習も振り付けも生徒が主導。

練習場もこの日は「セミナーハウス前」と呼ばれる屋外で、駐車された車の間を縫うようにステップを踏んでいる様は、まさに“ストリート”なムードだ。

部の引退時期は3年生の6月時、大会メンバーの3年生は8月いっぱいまで活動に参加するが、部の運営は2年生に移るという。

練習の様子を見れば、同じような格好をしていても、指導風景や佇まいで上級生と下級生との違いは伝わってくる。

「本気で勝ちたくなったら顔つきが変わってくるんです。上級生は自主性も責任感も出てくる。いつも、自分が劇的に変わるイメージを持って普段から取り組めば、ダンスで醸し出されるオーラも変わってくると言い聞かせています。若いコらが自分の好きなことに本気でチャレンジしていく姿は、本当にキラキラしているんですね。そこがダンス部の魅力じゃないでしょうか。自分たちが信じるカッコいいヒップホップで全国優勝したいですね!」
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▲1年生は駐車場の車の間のスペースで振りを確認。アスファルトを踏ん張る力は確実に強いステップにつながるはずだ。

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▲大会参加チームは厳しく選抜オーディションを行なう。最近では外部コーチによる振り付けを初めて導入し、それを体感することで自分たちの振り付け制作に活かしていくのだという。


文字通り、ストリートでストリートダンスをやっているからだけではない。

奈良一条の作品を生み出す精神性こそが、ストリートでありヒップホップと言えるのではないだろうか。創作性とクリエイティビティ、自主性とオリジナリティ、協調性とユニティ。

言葉使いが違うだけで、これからの教育現場が目指すものとダンスカルチャーやヒップホップが歩んできたことに何ら相違はないだろう。

だからこそ今、教育現場でダンスがアクティブに盛り上がる時代なのだ。その可能性と多様性は今日も、この奈良一条の練習場のような現場で日々生まれているに違いない。

レポート:石原久佳(ダンスク!)

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▲日が暮れれば、一灯のライトが部員たちの照らすのみ。寒さをダンスで吹き飛ばす。
DATA
●部員数:47名(高1:14名/高2:24名)
●女子:34名/男子4名
●創部:1951年
●活動時間:週6〜7日(平日3時間/土日5時間)
●ジャンル・:ヒップホップ、ロック、ジャズ、他
●主な出場大会: DCC、ダンススタジアム、全日本高等学校チームダンス選手権

 

 



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