コロナ自粛後のダンス部活動の様子をレポート!(千葉敬愛、狛江、深沢、日大明誠)

2020.07.25 HIGH SCHOOL

コロナ後のダンス部活動を考える

 

文:石原久佳(ダンスク編集長)
ダンスク2020年8月号より転載

 

自粛中に見つけた感謝の気持ち

再開したダンス部の取材で、部員たちが口に揃えていたのが、「当たり前に踊れる日々」が突然失われた喪失感だ。ひとり家にいながら、部活で汗をかいていた日々、仲間と交わした笑顔、振り付けで頭を悩ませていたこと、大会直前の緊張感、なんてことを思い出していたのではないだろうか。
そうして、心がたどり着くのが「感謝の気持ち」だ。今まで全力で楽しく踊れていたのは、仲間、先輩後輩、先生、コーチ、家族、まわりの支えがあってこそだった!
6月に入り、いま再び動き出したダンス部。でも決してその気持ちを忘れてはならない。当たり前に踊れている、かけがいのない時間に「感謝」を噛み締めていこう。

 

ピンチがチャンス、そしてチェンジへ

 

コロナにより、ダンス部だけでなく、世界中が変革に迫られている。
変わるならば、もちろん良い方向に変わっていきたい。
そこで、「見直す」「断ち切る」「始める」
今までのやり方あるいは伝統に無理やミスマッチはないか。それらは今の時代に効果的・効率的なのか。依然として練習時間は短いだろうから、その中で、最適なやり方を皆で見直したい。

当然、要らないものは断ち切る。諦める。選択と集中。諦めるとは、本来ネガティヴな意味ではなく「明らかにする」賢さのことを示している。
そして、新しく「始める」べきことは何か? すでにダンス界は、オンラインレッスンやイベントの方向へ積極的に動き出している。不安に苛まれたり、シニカルに構えている間に、やるヤツはすでに動いているのだ。

今できる最大限は何か? 可能性が高い方法は何か? そこで得た能力は絶対にキミたちの将来に生きてくるはずだ。ピンチがチャンス、そしてチェンジ。それらを競い合うのではなく、シェアしていく新世界を迎えたい。

 

オンライン部活の様子

休校中はオンラインでの部活動を行なう学校も多かったようだ。ストレッチやアイソレ、筋トレなどのメニューをZoomなどのアプリを活用してリアルタイムで行ない、基礎力の低下を防いでいたという。単調な基礎練を、家で一人でやるのと、通信だとしても皆でやるのでは違うだろう。部によっては、振り付け練習や合宿やオンラインでのオーディションを行ない、夏の大会への準備を進めていたという。逆に、休校中の活動は部員の自主性に任せていたという部も多数あった。

 

再開したダンス部の様子

全国の高校では6月から徐々に分散登校が始まり、それに伴い部活動も再開された。活動の内容は学校によって異なり、都立高校では分散による半数の人数の上で、学校滞在時間を合計6時間と定め、空いた時間を部活動に。内容は学校によって、ミーティングのみ、基礎練中心の活動と異なる。私立や地方の高校では、比較的部活に当てられる時間に余裕があり、夏の大会へ向けての振り付け練習に勤しむ姿も。活動場所は、屋外もしくは換気を心がけ、動く際には2メートルほどの間隔を開け、会話や接近、着替えの際にはマスク着用を義務付けていた。

 

千葉敬愛高校
運動時は距離を置き、近距離ではマスクをしながらの活動。活動再開のこの日は1年生が60名も見学に訪れていた。ダンスへの興味と情熱は負けない!

 

都立狛江高校
進学校の狛江は6月中はまだミーティングのみの活動。参加できる部員は半数のため、残りの部員はオンラインでの参加。この日は幹部の引き継ぎ発表が行われた。

 

都立深沢高校
元々、活動場所が屋外にもある深沢高校は基礎トレ中心のメニュー。7月から本格練習に入るのだという。仮入部の男子部員も楽しそう!

 

日大明誠高校
3密を避けながらの練習。合間にはインタビューに答えてくれました

 

▼▽各校の活動の様子はコチラの動画にもレポートされています!▽▼

 

 

顧問のつぶやき

「ダンスは教えてもらうもの、という考え方で活動してきた生徒はこのような状況(自宅待機)では上達は望めない。しかし、「ダンスが上手くなるかどうかは自分次第」という考え方の生徒は一歩成長してくるだろう(千葉・公立」
「withコロナ、アフターコロナ。通常と同じ生活には戻ることはない。新しい生活様式に沿って学校生活を送ることになる。大会参加の予定は当面なし。用意されていたダンスイベントは中止。大会イベントやステージが生徒を育てる。これができない辛さ(長野・私立)」
「オンラインで部活動をする際において、著作権問題はどこまで許容されるのか。例えば、チームダンスの振付動画を曲と共にSNS上にアップして部員がそれを見て練習しても良いのか?(東京・私立)」
「生徒のネット環境の問題もあり、オンラインでの活動は実施できませんでした。ただ、SNSを通じて生徒同士は近況報告や練習風景を共有していました(東京・公立)」
「再開できた喜びと、いつまた状況が変わるか分からない不安との両方の気持ちを抱えた様子です。仲間と練習できることや広く良い床で練習できることに、部活の時間が終わってもなかなか帰ろうとしないほど喜んでいますが、目標が定めきれないまま進んでいかなければならない不安やストレスはこれまでになく現われています。このような逆境だからこそ、今までとは違う発想で自分自身を高められるよう、人として成長できる機会となってほしいです(三重・県立)」



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