【連載1回目】チームを鍛える!!!〜リーダー選びと顧問やコーチとの連携

2022.10.11 HIGH SCHOOL

チームを鍛える!!

〜強いダンス部の組織作り〜

 

良い作品は良いチームから生まれる。逆に言えば、ダンスのステージは誤魔化しが効かない。
良いところも悪いところも、そのチームのすべてが現れるのだ。チームワーク、規律、仲の良さ、ノリの良さ……。
作品を見直す前に、まずは自分たちのチームを見直すことから始めてみよう。
部活動の目的は、大会で成績を残すことや技術向上だけにあるのではない。
その目標を達成する過程で得られる、経験や成長にこそ真の価値があり、未来を生きる大きなチカラとなるのだ。
今回は、ダンス部のチーム作りをじっくりと考えていこう。

文:石原ヒサヨシ(ダンスク!)
ダンスク!No.40から転載

 

#01:リーダーと役割分担

 

部のポテンシャルを引き上げるリーダーと会社組織のような細かい役割分担

 

#愛に溢れた部長の存在感
#ダンスを引っ張るダンスリーダー
#ダンス部ならではの細かい役職

まずチームに欠かせないのが強力なリーダーシップだ。ダンス部の場合は、その役割が2人いることが多い。部長とダンスリーダーだ。その2つの役割を1人が兼任している場合もあるが、負担やバランスを考えた場合、分担したほうがより効率的に思える。

部長は、部をマネジメントする立場だ。筆者も取材の際は、部長を相手にすることが多いが、しっかりした考えと責任感を持った強豪校の部長の対応にはいつも感心する。
部長に必要なのは、常に周囲を見渡す目線と実行力を持っていることだ。何か問題がある場合は、すぐにその原因をつきとめて、改善策を実行し、チームのモチベーションをキープしていく。
落ち込んでいる部員がいるならば、練習終わりに声をかける。部全体の士気が下がったり、目標を見失った頃合いにミーティングを持ちかける。賢さ、優しさ、冷静さ、寛容さ…。つまり「愛情」に溢れた人間性が部長には必要なのだ。
ほとんどのダンス部の場合、部長は部員や先輩による他薦で選ばれることが多い。必ずしも、ダンス技術が優れた者が選ばれるわけではなく、かえってダンス面で他に一歩譲っているほうが、部全体のバランスがとれていたりするものだ。

そして、部長との両輪でダンス部をまわしていくのがダンスリーダー。部によって、振り付け担当とかキャプテンなどと呼ばれる場合もある。ダンスリーダーはその名の通り、ダンス面での責任者であり、練習面や作品作りでのリーダーとなる。要所で相談や検討が重要な役割なので、複数人で受け持つ場合も多い。
ダンスリーダーはもちろん、技術面と経験で他よりも1つ抜けている必要がある。基礎の指導やそのお手本となること、作品作りを牽引する知識や経験を持っていること、そしてダンスへの熱い情熱で皆のテンションを上げていくことも時に必要だ。
ダンス部は、それまでのストリート系のダンスシーンとは違い、体育会系な取り組み方が大きな特徴である。だからこそ、ダンス部ならではの大所帯のユニゾン表現などが可能になっているのだが、真面目すぎるが故に時にダンス本来の「楽しむ」姿勢を見失ってしまう場合がある。そんな時に、ダンスの厳しさと同時に「楽しさ」を体現できるダンスリーダーがいると、部のムードが一気に温まったりするものだ。

そして、部長やリーダーをサポートするのが副部長や副ダンスリーダー。大所帯のチームはマネージャーがいる場合も増えてきた。ダンス部の場合は、多くの音源や衣装を管理したり、練習中の撮影やスケジュール管理、SNSでの発信など、ダンス以外にこなすべき仕事が多い。それぞれ、音源係、衣装係、広報、会計、渉外など、まるで会社さながらの役割分担をしている部も多く、それは社会に出るための格好の予行練習になるだろう。実際、イベントで照明や音響を担当していた部員が卒業後に専門学校に進んだり、衣装担当が服飾系の会社に就職したり、SNSの担当者がPR関係の仕事についたりと、元ダンス部員たちがどんどん社会での実績を残し始めている。一昔前なら「体育会系部活の男子は就職に有利」なんて時代もあったが、これからはダンス部員がそうなるかもしれない。それだけ、ダンス部を通じて得られる、センスや専門性、そしてコミュニケーション能力は大きいのだ。


▲クラブネーム(あだ名)や、レベル別のグレード分け、各自の担当を会社組織にたとえた「光ヶ丘女子」の運営体制。

 

顧問やコーチとの連携

 

顧問の情熱と教育哲学で形作られるダンス部。
技術指導や振り付けにもこだわりが

#ダンス部顧問のダンス経験
#外部コーチのあり方
#顧問・コーチ・部員の信頼関係

部活である以上、ダンス部には顧問が必要だ。ただ、ダンス部の場合は他競技と比べてダンス経験のある顧問がまだまだ少ない。全国大会の常連校を見ると、顧問のダンス経験率は約半数ほどだろうか、必ずしも顧問が技術指導や作品指導などを受け持つ必要がないのがダンス部の特徴と言えるのだ(しかし、未経験ながら強豪校に育てた顧問の先生は非常に研究熱心である)。
また近年では、教員の顧問負担を減らすために、外部指導員の導入が積極的に進められており、専門性の高いダンス部には特に求められているところだろう。という状況から、管理監督を受け持つ顧問と、技術指導を受け持つ外部指導員(コーチ)、そのバランスが取りやすい部活がダンス部の特徴だと言える。

筆者はこれまで100以上のダンス部を取材してきているが、強豪校のダンス部の顧問の先生には、ダンス経験の有無に関わらず、強いポリシーや教育哲学がある。ダンス部はまだ歴史の浅い部活である上に、一口にダンスと言ってもその種類は実に多様であり、流行やスタイルは時代とともに変遷していく。他の競技のように指導要綱などが確立されているわけではないので、強豪校のダンス部はそれぞれが「ウチのやり方」にこだわっているように感じられる。いわば、1つとして似ているチームがない——それがダンス部の面白さであり、筆者が何校も取材を続けている理由でもある。

顧問が技術指導もする場合と、外部コーチがいる場合で、ダンス部のバランスは大きく分かれる。前者の場合は、顧問のダンスへのこだわりや経験が色濃くそのチームに影響し、部員からの強い信頼を受けて、わりとキャラクターのはっきりしたチームに育つ場合が多い。オールドスクール系ダンスのチームにはその形が多いだろう。逆に言えば、チームのキャラクターを変えにくい面や、顧問の異動などによってチームが一気に変容してしまう場合もある。

後者の場合は、部はコーチ・部員・顧問という三角形のバランスとなる。部員としては、練習面ではコー、運営面では顧問とのコミュニケーションをとっていくわけだが、このコミュニケーションが足りないと、部員が技術指導をしてくれるコーチの言うことは聞くが、顧問の言うことはなかなか聞かない、なんてよろしくない状況が生まれることもある。コーチはあくまで、顧問の監督のもと教育の一環としてのダンス指導であることを理解していること。その意味で、その部の卒業生がコーチになっていくことは1つの理想形でもある。元ダンス部員の平均スキルが上がっている昨今では、その状況はどんどん増えていくだろう。

それ以外に、顧問にダンス経験があるが、練習や作品作りはほとんど部員に任せるというスタイルもある。顧問は最低限の軌道修正や作品の最終チェックなどに納め、生徒の主体性を促す。大会の成績にこだわるのではなく、自分たちでやるからこそ意味があるという強い信念を感じさせる形だ。

強いダンス部には必ず、部員と顧問の絶対的な信頼関係があり、それが伝統として受け継がれている。一見、厳しい指導に見える部活でも、そこに部員が愛を感じているかどうかが重要だ。プロスポーツチームの選手が「監督を男にしたい」なんてことを言うが、顧問のために大会出場やイベント開催を成功させたい思える関係は、一つの理想形だと言える。厳しさを愛情と受け止められる信頼関係こそ、部活動で築いていきたいものだ!

 


▲さわやかで活発的な部長さんが印象的な「初芝立命館」。顧問の先生も元ダンス部員の若手で、部員との距離が近いのが特徴。

 

>>第2回目へつづく



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