実は人についていくことの方が好きなんです〜同志社香里高校ダンス部前キャプテン「川口紗依」
2018.12.15 INTERVIEW
今夏のダンススタジアムで注目が集まった、二連覇をかけた同志社香里高校と話題の登美丘高校の対決。大きなプレッシャーを受けながら「苦闘」というテーマで見事ビッグクラスでの優勝を決めた同志社香里高校。そのキャプテン川口紗依は数々のメディアにも登場し、今年のダンス部界のヒロインと言っても良い存在だ。
インタビュー&文:石原久佳(ダンスク!)
写真:ほりたよしか
(ダンスク!第20号より転載)
これからもダンスはやります!
ダンスをやってない人生は考えられないです
「伝統を守るプレッシャーと、最後に自分たちで大会メンバーを選ぶ苦しさが“苦闘”やったと思います。でも最後は勝ち負けよりも、自分たちがやりたい作品を追求しようって。少しも妥協せずにこだわり抜いて、その時点でできない表現であっても、とにかくそこを追求しようとしていました。作品が仕上がったのは大会の2日前でした」
高3とは思えない落ち着いた口ぶりで語る川口は小さい頃からダンスを経験し、昨年のレギュラーメンバーにも入っている。技術だけでなく、そのリーダーシップも評価され、部員全員の投票でキャプテンに選ばれた。
「実は人についていくことのほうが好きなタイプなんです。後輩の時は先輩についていけば良かった。そんな感じでキャプテンになったからこそ、まわりをよく見ていたんじゃないかと思います。顧問の先生も、部員全員の気持ちを常に考える人やったから、私も自然にそうなりました」
コーチ不在の同志社香里は、中学高校をまたいで先輩が後輩を指導するスタイルだが、その際も指導している内容が間違っていないかを川口はチェックしていたという。振り付けや振り写しも川口が中心になるのだが、部活の様子を追ったドキュメンタリー番組では、涙ながらにダンスの仕上がり不足を訴える姿が共感を呼んだ。
「理想としていたのは曲をしっかり表現すること。フリを踊りこなすだけでなく、表情とか気持ちの面でみんなのイメージを揃えようとしていました。あと、自分たちの代はダンスの個性が強い部員がいたので、全員を無理に同じように揃えるよりはソロや個性を活かした作品作りを目指しました」
「難産だった」という作品作りにかけた期間は2ヶ月。その間ミーティングやOGからの寸評会なども重ね、作品を練り上げた。振り付け制作は実際に体を動かさないと見えない部分もあるが、事前にしっかりと話し合いをすることで練習がダレることなく、方向性もブレにくいのだという。正解がわからないからこそ、時間をかけてもみんなで探して見つける。その「過程」にこそ価値があり、部活動での人間的成長がある。コーチ不在で頑張るダンス部にとって、「結果」も伴う同志社香里の活動は理想的と言えるだろう。
「いまダンス部を頑張っているみなさんには、自分たちが楽しめる練習をし、楽しめるダンスを作ってほしいと思います。同志社香里の後輩に対しては、三連覇のプレッシャーがしんどいと思うけど、そこはあまり意識せずに、自分たちが1つになることと自分たちがやりたい作品作りを目指してほしいですね!」
卒業後は、同校のほとんどの生徒が進学する同志社大学へ進む予定だ。まだ希望学部や将来を決めているわけではないが、大学に通いながらも柔軟に将来像を決めていきたいという。
「もちろんダンスはやります! ダンスをやってない人生は考えられないですし、人前に立つ仕事にも興味があります。ただ、元ダンス部だからこうじゃなきゃという感じはなくて、ダンス部だったからこういう人間に成長したっていう将来にしたいですね」
▲日本一を決めたダンススタジアム・ビッグクラスの模様