“ダンス授業の教え方”を競い合う「全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール」で見えた教育未来像

2017.12.12 REPORT

今から5年前、2012年というと公立中学校でダンスが必修となり、大きな話題になりました。

その時に問題となったのが
「指導者不足」

そう、学校の誰がダンスを教えるの?というハナシです。

おそらく一番近い存在である体育の先生が、急いでダンスレッスンに通い出す、なんてコトもあったらしいですが、それを受けて発足された団体が
JDAC
一般社団法人ダンス教育振興連盟
です。

関連省庁の後援を受けて、ダンス指導者を育てるための研修会や資格などを設けている団体なんだけど、そのダンス指導者の指導技術を競い合う
「全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール」なる大会も開催しているのです!

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しかも今回で3回目。

指導者コンクールと言っても、ゲストダンサーにBeat Buddy BoiSound Cream SteppersGANMIなどの人気チーム、審査員には坂見誠二や栗原めぐみ、だーよしらを揃え、豪華なダンスイベントのような雰囲気で、去る12/3日に国立オリンピック記念青少年総合センターで行なわれました。

本コンクールでどんな風に「指導技術」を競い合うかというと、出場者がまさに仮想のダンス授業を行ない、その優劣を審査していくというもの。

出場者は、主に学校の教員や関連団体で子供の教育に携わっている方たちだ。

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ホワイトボードに授業の内容や目当てを明示し、実際に声を出し、音に合わせてダンスをし、目の前に子供たちがいるかのように、思い思いのダンス授業をプレゼンしていく。

ダンス授業で難しいのが、いかにダンスに興味のない生徒や、抵抗感を持っている生徒や、幼い子供たちを「ノセるか」というところでしょう。

わかりやすい言葉や、元気な声がけや、シンプルな体の動きなどなど、出場者たちはそれぞれの工夫で授業を組み立てている。

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1つとして似ている授業スタイルがない点は、ダンス授業の自由さや可能性を感じさせるし、良い授業ではそれを受けている子供たちの笑顔までを思い浮かばせる。

そういう意味では、ダンスの授業、ダンスの教育の可能性は無限大なのだ。

日本人は比較的、身振り手振り=ボディランゲージが苦手だと言われる。

欧米人などに比べれば文化的・歴史的にそういった素地が少ない国なわけだが、それらはダンスあるいは身体表現系の習得によって磨かれていく可能性は高いと言える。

だからこそ、ダンス授業の意味は大きいだろうし、どんなやり方がふさわしいものなのかも重要なところだ。

さらにいえば、IT化やIoT化が進む現代で、次世代の若者に必要になっていく能力は人間社会に本来備わっていた創造力と協調性だ。

大量の情報を日々受動的に受け、スマホがコミュニケーションの主体となっている現代で、物事を自分なりに考え、それを他人と伝達し合う機会は逆に減っている。

しかし、それをダンス授業の現場やダンス部の現場で考えてみると、そこにはクリエイティブとコミュニケーションばかりだ。

曲のリズムと調子を理解し、振り付けを考え、フォーメーションと構成を練り、演出や衣装のイメージを膨らませる。

それらを、皆で話し合い、自分の意見を伝え、他人を説得し、作品制作を計画的に進めて、調整をしながら理想の完成形に近づけていく。

今の若者一人一人が社会人になるために、未来型の教育に必要なものはダンスが補ってくれる。

そんな風に考えると、この日のコンクールで競い合っていた「ダンスの教え方」は非常に重要なものだと思えてくる。

今後の本コンクールと協会の発展に期待したい。

レポート:石原久佳(ダンスク!)

※こちらは同日に出演していた、竹早高校、宝仙学園、山村国際学園のダンス部のパフォーマンス

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※こちらは豪華なゲストパフォーマンス。GANMI、Sound Cream Steppers、Beat Buddy Boi。

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