振付師の思考法【TOMOKO】都立狛江高校ダンス部2022 年作品をセルフ解説

2022.09.15 DANCE

叡明高校 feat. MAAに続いて2回目の振付師の思考法。

東京の強豪校・都立狛江高校のTOMOKOさんに今年の作品響音(シング)を解説してもらいました。
抜群のテーマ性や構成力、バランスの良さはどこから生まれてくるのでしょうか?!


>>TOMOKO:HP
>>TOMOKO:Instagram
>>狛江高校:YouTubeチャンネル

 

●解説する作品
東京都立狛江高校学校2022年ビッグクラス作品
響音(シング)
・ダンススタジアム2022年ビッグクラス【7位】
・DCC2022年【2位】

●参考動画

【DCC2022】東京都立狛江高等学校『響音(シング)』
(引用元:YOUTH TIME JAPAN project

 

テーマは音の出るダンス

 

●制作のいきさつ
毎年作品を作らなくてはいけないので、常にいい案が出たらメモをするようにしています。
いつ書いたメモかは覚えてないのですが、今年はその中から「実際に音を鳴らす」ということをピックアップし、制作することにしました。
鳴らした音を会場に響かせることを課題にし、作品名は響く音と書いて響音(シング)です。

スケジュール的には、12月から作り始めて約2週間で、通しで踊れるように作品を作り上げました。
そこからは、私がやりたいことを生徒が汲み取り、生徒からも沢山意見を出してもらいました。沢山話し合いながら毎日のように修正し、最終的な作品の形が仕上がりました。

使用楽曲はテーマに合わせて、ボイスパーカッションのみの楽曲にしたく、メインの曲はPENTATONIXの中から選ばせてもらいました。

●使用楽曲リスト
01.BENNY GOODMAN / SING,SING,SING
02.PENTATONIX / SING

パートごとの解説

 


0:00〜0:17
●オープニング
最初の4カウントはコンパクトに始めて、5カウント目から隠していた旗を出すことによって、一気に派手な印象になるようにしました。
1曲目は自ら音を奏でてることを意識して、トロン隊・ドラム隊・マーチ隊・旗隊と名付けそれぞれのパートで踊ってます。

 


0:18〜0:39
●技展開
技を畳みかけるように入れました。3回転ターン、転回、旗の大技、バク転、馬跳び。
技が目立つように周りのみんなの高さやフォーメーションは工夫しました。

元々身体能力が高いメンバーが揃っていたので、活かすしかないと思って入れました!
旗はマーチングバンドの動画を見てもらい、見よう見まねで練習してもらいました(旗の振付も彼女たちが制作しました)

 

0:40〜0:55
●ダンス展開
2曲目の始まりは雰囲気が変わるように、密集隊形のユニゾンから始めてます。
密集隊形は後ろの子が隠れてしまう分、それを活かしてジャンプなど高さのある振り付けを入れました。

 

0:56〜1:13
●フォーメーション展開
観てる方の視点を変えることを意識し、あえてセンターをずらして上手側から始めてます。
そこからは常に移動して、フォーメーションを目まぐるしく変えるようにしました。
サビ前で少し落ち着かせたいところなので、ダンスはストップや抜きを意識して踊ってます。

 

1:14〜1:38
●コミカル展開
1サビは観てる方に笑顔になってもらいたく、キャッチーな振り付けでマイクを持って歌ってるようなパフォーマンスをしてます。

 

1:39〜1:51
●ダンス展開#2
場面転換を意識して曲の高音と低音を大幅にカットし、ラジオボイス風に編集してもらいました(音楽に詳しい生徒の親御さんにご協力いただきました…!)。
さらに少人数で踊ることによって全体の雰囲気は落とすけど、オーディションで選ばれたメンバーで、しっかりダンスを魅せるポイントになってます。

 


1:52〜2:01
●技展開#2
ラストに向けて盛り上がるように、印象に残るリフトなどの大技を入れました。
全て1人では出来ない技なので、みんなの意見を沢山取り入れて完成した場所です。

 


2:02〜2:19
●スピード展開
盛り上がるようにフォーメーションは後ろから前へ、密集隊系から広がることを意識しました。
またテーマであるボディーパーカッションを取り入れた振り付けになってます。

 


2:20〜ラスト
●エンディング
最後は無音で、みんなのボディーパーカッションの音だけで勝負しました。(映像では伝わりにくいですが…)
また作品の雰囲気を崩さないように、最後の挨拶までこだわりました。

 

●全体のポイント
飽きることなく楽しんで見てもらえるように、フォーメーション展開にはこだわりました。移動ばかりしてるので、みんなは今までで1番疲れる作品と言ってます(笑)。
また楽しい雰囲気の中で、カッコ良さや凄さを入れるポイントは沢山試行錯誤しました。

生徒たちが意見を出してくれて、自分たちで難しい技にどんどん取り組んでいく姿勢がとても素晴らしかったです。本当みんなには感謝しかありません。
誰一人妥協せず、意見を言い合える関係性になれたことが、今回の成功の秘訣だと思います!

 

 

TOMOKO「作品作りの思考法」まとめ

 

私が作品作りにおいて大切にしてるのは、観てる方の視点を変えることです。
視点がずっと真ん中にならないように、立ち位置を偏らせたり、少人数で踊るところを端っこにしたりしてます。
またステージの奥行きや高さを使って、空間全体をコントロールすることも意識してます。

高校ダンス部の大会作品は起承転結をしっかり作り、テーマと音楽、振付、衣装、メイク、全てにおいてのバランスがとても大事だと思ってます。
是非みなさんも、一つ一つこだわりを持って、みんなから愛される作品になるように育てて下さい!

 

 



  • 新しい学校のリーダーズのインタビュー掲載!