【二松學舍の自主公演】本格ダンスにスタイリッシュな演出、らしさにこだわる2時間ステージ
2023.03.30 HIGH SCHOOL
二松學舍大学附属高等学校ダンス部
9期生卒業公演
2023年3月21日(祝)日経ホール
ダンススタジアム東日本バトル大会で8連覇と、無類の強さを誇る二松學舍大学附属高校。
コンテストでも常に全国トップクラスをキープ、力強いポッピンをベースに、スタイリッシュなヒップホップを交え、独自のカッコ良さを確立させている。
その自主公演は、卒業公演という形で、東京都心の瀟洒な会場「日経ホール」で開催された。
公演は2部構成で、徹底的に持ち前のストリートダンスを見せていく志向だ。
1曲目から、ゴリゴリのHIPHOPナンバーでスタート。
アーティストに作ってもらったという二松學舍のオリジナルソングに乗せて、グルーヴィなダンスを見せていく。
ストリートダンスのカッコ良さにこだわる二松だけに、やはり一人一人の動きがデカい!
重くて、パワフル、そしてスタイリッシュでクール。
ナンバーの直前には、海外アーティストのMVが挟まり、続くナンバーの世界観をアナウンスする演出。それ以外の映像やグラフィックもシンプルでカッコいい。CMをパロディにしたコミカルな映像もセンスの良さを感じさせる。
『スラムダンク』や『ジョーカー』をパロディにしたナンバーで、会場を沸かせる!
合間には『ダンスク!』でプロデュースした映像も流された。1年生のエース候補「KOYUKI」のBABY-Gプロモーション映像だ。
学生によるトークや演技などは排除し、ある意味素人っぽさは見せないところが、二松學舍らしいスマートさなのだろう。
続くナンバーでは、得意のポップだけでなく、ワックに混ぜたハウス、ブレイク、リリカルなジャズまで見せ、普段どれだけ練習しているのかと思うほどのジャンルの幅を見せる。
ストリートダンスのジャンルを、並列に横に並べて分けるのではなく、直列に体系的に繋がっているという意識がなせる技、と言えるのではないだろうか。
後半には、大会ナンバーが畳み掛けられる。
二松學舍には、伝統的にButterfly effectとチーム二松、そしてBuddyというチームがメンバーを変えて存続しているが、そのどれもが二松學舍らしい、ポップとヒップホップの融合スタイルと、スタイリッシュなムードを持っている。
特に、この数日前の「高校ストリートダンスグランプリ」優勝したButterfly effectは、先のKOYUKIをはじめとする個の存在感も光っており、今夏に台風の目になりそうな予感だ。
やはり思うのだが、大会で目立つ学校の自主公演はクオリティが高い!
二松學舍のダンスの本格さ、ダンスを楽しむ遊び心、バトルでの気持ちの強さ、コンテストでのチーム力、それらを受け継ぐ伝統。
そして自主公演で発揮される、構成や映像などの演出力、ファッション、音楽、カルチャー感、などなど。それらをHIPHOPというキーワードで日々吸収する。
そのすべてが2分半のコンテスト作品やバトルの瞬間に凝縮されているのであり、2時間の公演にも押し広がっているというわけだ。
それこそがスタイルを持つこと。
スタイルを楽しみ、遊び、受け継ぐ、ということなのだろう。
また来年も見たくなる、素晴らしい自主公演だ。
レポート&写真:石原ヒサヨシ(ダンスク!)