【編集長コラム#5】思い出のダンス部〜 久米田高校編「くめだんすのプライド」
2026.02.22 HIGH SCHOOL
ダンス部取材歴10年のワタシが、過去に取材したダンス部を振り返って行こうというコラムシリーズです。 3回目は、大阪を代表するダンス部「久米田高校」!
テキスト:石原ヒサヨシ(ダンスク!)
>>第1回目:大阪府立登美丘高校の思い出
>>第2回目:同志社香里高校の思い出
久米田のダンス=くめだんす!
パワフルで、情熱的で、負けん気が強くて、ど根性。
そんな関西らしさを代表するダンス部と言って良いだろう。
大阪府立久米田高校。通称「くめだんす」だ。
筆者と久米田高校の関わりは長い。
まだ強豪校と呼ばれる以前、DCCの2014年大会で見たのが最初だったと思う。
関西の学校がDCCに出るのもまだ珍しい時代で、派手な演出とダイナミックな動きが印象的だったが、翌2015年大会ではいきなり優勝!
それからはダンススタジアムでも常時入賞をする強豪校となり、残るは「日本一」の称号のみとなったが、ココからが長かった!
毎年毎年、準優勝〜3位〜入賞と、「シルバーコレクター」と言えてしまうほど、優勝までのあと一歩が長いチームだったのだ。

▲その当時の久米田高校をドキュメントした拙著『ダンス部ノート』(KKベストセラーズ)

▲2015年DCC優勝時のスナップ。
コーチ「EMI」さんインタビュー
そんな「くめだんす」を支え続ける、2人の重要人物がいる。
一人は、顧問の八木先生。2010年に赴任依頼「くめだんす」16年にわたり率い続けている。
ダンス未経験のベテラン教師ながら、持ち前の研究熱心さと情熱、生徒を伸ばす教育哲学で、部の自主性を育ててきた。
先生のダンス部への関わり方は、愛情そのもので、孫ほど歳の離れた生徒たちを、常に優しく厳しく見守ってきた。地域とのつながりや、社会貢献活動なども率先してきた。
もう一人は、コレオグラファーのEMIさんだ。
個人的には、関西のダンスチーム「OUTSET」のリーダーとして馴染みがあるのだが、12年ほど前から、久米田の外部コーチとして振り付けを担当している。
今回インタビューができる機会があったので、コメントを交えて振り返っていこう。
>>EMI Instagram

「最初、先生にお願いされて関わることになりました。振り付けを担当して良い結果を出すというのも大事なんですけど、やっぱり教育の現場なので、その中で生徒がどう成長して、その後の人間性にどう活かされるかという部分を原点にしていますね」
公立高校のダンス部の状況は厳しい。
初心者としてダンス部に入る比率が高く、中高一貫のダンス部がある私学に比べると技術レベルも劣ってしまう。練習環境や指導環境も決して恵まれたものではない。
「それでも、みんなでやっていく、ということを大事にしてますから、初心者にもしっかり目を向けて活動しています。最近では、大会にも全員で出ていますね。勝つためには、メンバーを選び抜いた方が良いのかもしれませんが、そこは教育現場としてのダンスのあり方として、八木先生もこだわっている部分ですね」
久米田のダンススタイルは、明確なテーマ性を打ち出した上で、力強くダイナミックな群舞を最大の武器にしており、鍛え上げられたフィジカルが技術を補い、観客の心を掴んでいく。関西の公立高校らしいガッツを最も感じさせるチームが、久米田高校なのだ。
「関西のダンス部の特徴ですか? 私の意見としては、熱中するものが東京より少ないってことなのかなと思います。そこで、ダンスに出会えたコはそこにグッと集中できる環境や気質がある。スイッチが入ると、目の色変わって、急速的に伸びるコが多いですね」
そして、2022年。久米田の地元・岸和田の名物である「地車(だんじり)」をテーマにした渾身の作品で、念願のダンススタジアム全国優勝を果たす。この作品は5年かけて準備をし地元の支えがあってこその作品であった。
シルバーに泣いた先輩たちの悔しさ、支えてくれた先生やコーチ、家族への感謝、仲間との絆、そして地元が誇る文化に、「くめだんす」に込めたプライドが、見えない力として日本一へと押し上げた。

▲全国制覇の2022年の活動を、年始から追ったドキュメンタリー。
「ありがたい経験でしたが、日本一はもう過去のこととして、今はリセットしている感じです。技術力が高いチームや新しいスタイルのチームが増えていて、なかなか大会で勝つのは難しい時代ですが、そこも引き続き頑張りつつ、自主公演や地域活動も積極的にやっていきたいですね」
高校のダンスが特別なものになりすぎず、普通の高校生の日常の中で、教育活動の一貫として、それでも「勝つ」ことにこだわって、大阪らしいガッツと情熱の結晶としての活動であり作品。そこが「くめだんす」を応援し続けたくなる理由なのだろう。
テキスト:石原ヒサヨシ(ダンスク!)







