【ダンス部大会のこだわり③】ストダン〜ストリートダンスシーンを作ってきた

2026.03.26 HIGH SCHOOL

ダンス部大会の「こだわり」を聞く、インタビューシリーズ第3弾。

今回は「ストダン」について深掘りしていこう!

インタビュー&テキスト:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

>>シリーズ【ダンス部大会のこだわり①】マイナビハイダン
>>シリーズ【ダンス部大会のこだわり②】DCC


ストリーダンスを創ってきたアドヒップ主催

 

俗に「ストダン」と呼ばれるダンス部大会には正確には3つの大会がある。

名前が似ているため、混乱しないためにあえて整理しておくと、
「高校ストリートダンス選手権」は、大阪府藤井寺市で予選から決勝が行われる高校ダンス部・同好会を対象としたコンテストで、今年で13回目。12月〜3月に予選が行なわれ、今年は4/26に決勝大会。
「高校ストリートダンスグランプリ」は、神奈川県横須賀市で行われる大会で、今年で4回目。12月〜3月に予選が行なわれ、今年は3/26に決勝大会。
そして「全日本高校ストリートダンスクライマックス」は、上記2大会からの招待チームに加えて、8月の全国の予選大会を勝ち抜いたチームで、今年は8/22にパシフィコ横浜で開催される。日本最大のダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」と連日で、同じステージ設備で行なわれるのも特徴だ。

東西には分かれているものの、3つすべてがオープン参加の全国大会と位置付けられている。
主催するのは、「JAPAN DANCE DELIGHT」などを開催し、日本のストリートダンスイベントの礎を築いてきた、大阪拠点の“ストリートダンスプロモーションカンパニー”アドヒップ。中高生ダンサー対象のコンテストとしては「DANCE ATACK!!」も主催しており、かつての高校ダンス部はこの大会を目標とすることもあった。

同社主催コンテスト出身のBBOYであり、TANABONことアドヒップ代表の田中大爾さんに「ストダン」のこだわりを聞いてみた。

「高校ダンス部が増え始めた当初は、正直ウチの会社としてはあまり関係がないと思っていたのですが、そのレベルや規模が上がり、大会の実情を知ってやるべきだと考えました。高校生たちに本当のストリートダンスカルチャーを知ってほしい、自由にやれる場所を作りたいと思ったのです」

確かに、「ストダン」系列のストリートダンス大会と、ダンススタジアムなどの大会のムードは異なる。前者がストリートダンスイベントマナーのMCやステージ設営、音楽、映像、ビジュアルにこだわっているのに対して、後者は創作ダンスやチアダンス系の競技会に近いような落ち着いた雰囲気でまとめられている。ストリートカルチャーが好きな生徒や先生にとっては前者の方が刺激的だろうし、そうでない先生や保護者にとっては後者のほうが安心感があるだろう。

 

血の通ったジャッジ

 

「ウチがこだわっている点がまずは審査。ジャッジには、コンテスト出身者であり、信頼のおける各ジャンルのダンサーを選出しています。専門ジャンル、その中でのスタイル、キャリア、そして出場者との関係性なども確認します。審査基準は項目別ではなく、各ジャッジ10点満点で小数点を含めて各チームを得点する。その合計点で順位が決まるという、JAPAN DANCE DELIGHTなどと同様の審査方法です」

ストリートダンスに精通する各ジャンルのプロダンサーが、総合的判断として作品の良し悪しを得点化する。他大会にあるような審査項目の内容やその配点バランスによって、評価がブレることを防いでいるのだろう。さらに審査についてにこだわりは続く。

「リアルタイムに得点集計や発表をせずに、審査を進めながら得点を修正していくことも許容しています。基準が定まらない序盤のチームの採点は難しいところもありますからね。基本は得点順で順位は決まっていきますが、各ジャッジの専門性を意見交換する時間も設けています。例えば、ブレイキンで非常にクリエイティブな技をやっていたチームがいたとしても、専門外のジャッジにはその価値がわからない場合もありますから。そういった経緯を経て順位が決まるのが“血の通ったジャッジ”だと思っていますし、各ジャンルの交流や発展にもつながっていくんじゃないかと考えています」

「基本的に、ダンサー側がジャッジや審査項目に合わせて踊るのではなく、踊りたいものを評価する大会でありたい。勝つことが目的ではなく、あくまで目標にしないとダンスはブレてしまう。結果、いいダンスが世に出なくなってしまうと思うんです。目標は優勝でも、自分たちのスタイルは貫いてほしいんですね」

 

ダンスで真剣に遊べる場所を創る

 

やはり、同社には単なるダンスコンテスト運営だけでなく、ストリートダンスカルチャーを守っていこうという意識が強いのだろうか。

「ストリートダンスカルチャーと言っても、昔のスタイルにこだわっているわけではなく、時代によって日々変わっていくものです。その変化に対応しつつも、ダンスのカルチャーに親しみ、輪を広げ、卒業後もダンスを続ける若者を育てていくのが、我々の1つの目標でもあります」

では同社が感じる「時代の変化とその対応」とは、ダンス部にとっては具体的になんだろうか?

「大手メディアが大会を放映するようになって楽曲の著作権の問題が生じてきています。踊りたい音で踊れない場合が増えてきたので、ウチのコンテストは大手のテレビメディアとは組んでいません。また、大道具を使うダンス部も増えていますが、舞台に設置が必要な大道具の使用は認めていません。危険な部分もありますし、懸念を示す会場もあります。スタイルは進化しても、あくまでダンスコンテストはダンスで勝負してほしいです

各チームの紹介アナウンスなども、審査の公平性を優先させて必要最低限に収め、同じ学校からの複数チームの出場も可能。大人数/少人数でのクラス分けもしていない。

「高校ダンス部ではなく、高校生ダンスチームとして扱っているからです。クラス分けも必要性を感じていません。こだわるべき部分はこだわり、守るべきところは守り、対応すべきところはしていく。他の大会との差別化ではなく、あくまでウチの考えで、高校生ダンサーが自由に踊れる場を作っていきたいですね」

日本のコンテスト/バトルカルチャーを牽引してきたアドヒップの高校ダンス部コンテスト。最後にその「教育的意義」を聞いてみると…。

「そこは全く意識していないです。というか、わかっていないです。そもそも“教育”というのは大人側の言葉であって、子供達には響くものではないと思うんです。しかし彼らは彼らの感覚で学び、成長していく。それはストリートダンスカルチャーの中でもできます。遊びの中で成長していけます。人生の中で“遊び”って大事だと思うんです。適当にではなく、真剣に遊ぶことで人生が豊かになる。それをダンスで自由に表現できる場所をこれからも作っていきたいんですね」

「選手権」と「グランプリ」の決勝大会はもうすぐ。
大会主催者同様の「こだわり」を感じさせる高校生チームの活躍を期待しよう。

 

>>ストダン関連のイベント情報は:https://www.dancedelight.net/event/



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