【大会レポート】ストダンクライマックス決勝から見る「今のストリートダンス」
2025.08.27 HIGH SCHOOL
2025年8月23日
全日本高校ストリートダンスクライマックス2025 FINAL
@Asueアリーナ大阪

ストリートダンスイベントの老舗AD-HIPが主催する「高校ストリートダンス選手権」及び「高校ストリートダンスグランプリ」からの招待チームと、予選を勝ち抜いた合計58チームが雌雄を決する「全日本高校ストリートダンスクライマックス2025 FINAL」が、8月23日に開催された。
全国規模での開催となって今年で2回目。昨年は、パシフィコ横浜での開催だったが
>>昨年のレポート
今年はADHIPの地元である大阪での開催、伝統的コンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」との連日開催でもある。各ダンス部大会の決勝開催地のバランスから見ても、大阪開催は望ましい形だと思える。
本大会の特色としては、
*ビッグクラス(大編成)、スモールクラス(小編成)のクラス分けがない
*ダンス部だけではなく同好会も対象としており、同じ学校から複数チームの出場が可能(学校単位ではなくダンスチームとして見なしている)
*審査基準は「ストリートダンスらしさ」。細かい評価項目を設けずに、判断は各ジャッジに委ねられる

…などが挙げられる。また、昨今の大会のメディア放映による音源規制も、本大会ではそれほど厳しくないようで、そこには主催者の「ダンスカルチャーを守る」という意図があるのだろう。
DJミックスの楽曲を使用するストリート系ダンス部にとってはありがたいところだが、以上の特徴をもってして「ストリートダンスチームに有利な大会か?」と言えば、結果としてはそうとも言えない状況のようだった。
入賞校を中心に出場チームの傾向を振り返っていこう。
強豪揃いの入賞チーム
優勝を勝ち取ったのは、「LO*A」。東京都立狛江高校のチームで、ダンススタジアムではすでにビッグクラスで決勝進出を決めていた。
ジャズとヒップホップの動きを混ぜながら、J-POPの歌詞をほどよく手振りで組み取り、多彩なフォーメーションで展開する狛江持ち前の構成は、本当に完成度が高い。
会場は奥行きが見えにくいステージだったので、群舞の前面の絵作りに長けた「LO*A」に有利に働いたところもあるだろう。

2位は、桜丘のブレイキンチーム「THE TAILORS」。トレンドであり、得意としているジャジィブレイキンの作風で、ハイスキルをスタイリッシュな音取りと、矢継ぎ早の展開で見せる。他大会で規制されてしまった本来の音源を使い、伸び伸びと踊っていたように感じる。

3位は、昨年優勝の武南のブレイキンチーム「”WARA”B-BOYZ」。今年のチームのパフォーマンスは、勢いはあるもののややラフさとスキル不足を感じたのだが、今回は構成のうまさや独創性が目についた。短期間でブラッシュアップしたのだろうか。夏の大会シーズンの間でも急速に作品が良くなっていく様子も、高校生ならではの力だ。

4位は、「Helios」で日大明誠の大所帯チームだ。昨今の日大明誠や目黒日大には、ダンスの概念すら刷新してしまうような斬新な音の取り方や演出がある。高校生が好きな曲で、等身大のファションで、今の時代の、今の若者が踊りたいダンススタイルであることも鮮烈な印象を与えている。このスタイルが本大会で評価されるならば、これが今の時代の「ストリートダンス」なのだろう。

5位は、「TEAMダリ」で、樟蔭高校の小編成チーム。樟蔭は早くから、創作ダンスとストリートのミックススタイルを取っていたが、本作品は大会の出場ラインナップでは創作ダンス系に分類される芸術作品だ。ダンスタでは苦戦した作品が本大会では5位入賞。ストリートであっても、コンテであっても、芸術作品であっても、ストリートダンサーから見て「良いものは良い」、そういうことなのだろう。

刷新されていくストリートダンス
そして、特別賞は以下の3チーム。
・Piloty Butter(京都府立山城高等学校)
・Seele(大阪府立汎愛高等学校)
・Teddy’s Jam(桜丘高等学校)



男子ブレイカーのパワーで押す京都山城、圧倒的なスケールとパッションの汎愛、そしてストリートの魅力たっぷりな桜丘。
旧来の「ストリートダンスらしさ」で考えるならば、それに見合うのは桜丘のTeddy’s Jamぐらいで、多数出場していた地元関西のHIPHOPチーム、いわゆるウェッサイ的なスタイルのチームは平均レベルは高いものの、印象がブツかり合って、抜け出てこれなかった印象だ。
入賞したブレイキン3チームも、ストリートなマターは守りつつも、見せ方や特色=エンターテインメント性にこだわっていた。
…という結果から考えてみると、「ストリートダンスらしさ」は固定化されたものではなく、アップトゥデイトで刷新されているものだ。
各校のスタイル、あるいは「ストリートらしさ」は、振付師のキャリアや好みによって形作られることが多い。だから、ダンス部大会の作品は多種多様、古今東西のスタイルが入り混じるのだ。
もしスタイルを刷新したいならば、世代の若い振付師に作品をお願いするのが手っ取り早いが、やっている本人たち=今の高校生の感性をカタチにしていくことも期待したい。
顧問やコーチがどんどん若返り、ダンス部大会での作風の新陳代謝は急速に激しくなっている。そこで、大会で評価される振り付け=「勝てる感性」は、高校生たちに近づいているとも言えるだろう。
今の高校生たちが、今の感性で、今の音楽で、今のやり方と見せ方で、新しいスタイルをブツけ合って磨かれていく——それこそが真の意味での「ストリートダンスらしさ」と言えるのではないだろうか。
レポート:石原ヒサヨシ(ダンスク!)








