【編集長コラム#5】筋トレのススメ〜「心→技→体」ではなく「体→技→心」

2026.01.23 COLUMN

正しくは「体→技→心」の順で

 

先日、あるダンス部を視察しながら思いついたことをシェアしたいと思います。

よく武道やスポーツの世界では、「心技体」の充実が重要であると言われます。
体力と技術の向上だけでなく、その過程で心を鍛えることが大事であり、正しい心があるからこそ体力技術が充実するという、心身の相互作用のことを指しているんですね。
特に武道の場合は、勝つこと・うまくなることを目的にするのではなく、「人格形成へ道」として目的をとらえています。

ダンスにも同じことが言えるでしょう。

例えば、日々の部活動に取り組む正しい心が勤勉さや規律を作り、厳しいトレーニングで体力が充実し、反復練習により技術が向上していく。
その上で、やりたい動きや振り付け、表現やフィーリングなどが身につき、ついには自分たちが望む結果を得ることができる。

だからまずは「心」を正しくすることから始めるべき。
だから、「心・技・体」の順番で自分を充実させていくのだ、と。

しかし!
…「心・技・体」という順番の言い方はちょっと違くて、正しくは「体→技→心」の順だと思うのです。
「心技体」ではなく「体技心」ということです。


まず「体」からアプローチの理由

その理由を説明しましょう。

たとえ決意を固めたとしても、心を入れ変えるのはそう簡単なことではありません。
例えば、部活でミーティグをして、全員で決めた心構えや目標があったとしても、2、3日も経てば、元通りの通常運転……。何も変わらないないまま、練習が向上することもなく月日は経ってしまい、結局、目標もかなえられなかった……、というのはよくある話でしょう。

要は、気持ちや目標があっても、翌日からできる具体策がないから、そうなってしまうのです。

そこで手っ取り早いのが、有無を言わさず「体」からアプローチすること。
簡単に言えば、練習を「筋トレ」からしっかり始めていく、あるいはその内容を変えていくことです。

私が取材した中では、強いダンス部ほどよく筋トレをしているし、個々の体力レベルも高いです。女子なのに、倒立で自立したり、プランクや四股やランニングも難なく長時間こなしています。

そして、筋トレは「正しい形で」「適切に」行っていることも大事です。部活ならば、随時のメニュー見直しや、初心者に対するチェック機能も部のシステムとして必要でしょう。
例えば、倒立やプランクでも腰が落ちていたりすると、本来の効果は得られないし、最悪ケガにも繋がる場合もあるのです。

そして、自分たちの目的に適うトレーニングであることも重要。実現したい動きを強化するための部位のトレーニングである必要があります。

 

▲伝統のダンス部「市立北九州」の基礎練では、倒立を取り入れている。

 

▲京都文教も、倒立に力を入れたメニュー。

ストレッチも筋トレの1つ

HIPHOPの重さが欲しいならば、低く踏ん張る太ももやお尻の筋肉が必要だし、ヒットの強さが欲しいならば、その動きを反復させて細かい筋肉を養う(呼び覚ます)必要があります。

JAZZの動きにしなやかさが欲しいならばストレッチで柔軟性を、グルーヴが欲しいならばアイソレで体のズラしを大きく作る練習、などなど。

ちなみに、ストレッチやアイソレも筋トレの一つと捉えてください。体が硬いのはその部位(あるいは反対側)の筋肉が弱いから、ズラせない/止められないのは筋肉が育っていないから。

筋力が上がれば、同じ動き・同じ振り付けでも説得力が出ます。シンプルな動きでも充分に見せることができます。結果が出ないのは振り付けのせい、ではなく「体力のせい」と考えることもできるでしょう。
さらに、スタミナがついてくれば、2分半の作品にこめられる出力=パワー感も変わってきます。

そうやって振り付け練習と筋トレを行ったり来たりして、足りない筋力を強化したり、苦手な動きを応用練習として反復したり、その繰り返しによって、ダンサーとしての力も上がり、作品も磨かれていきます。

▲幕張総合の取材では、元体操選手の顧問による筋トレメニューを細かく紹介!

動きの精度と「技」が変わる

そして筋肉がつき、体力が向上していけば、できる技も変わってきます。
「体」の次に「技」が来るわけです。

筋力・体力があってこその技術習得、センスや運動神経だけでは高度な技やキレのある動きはできないのです。

動きの精度が上がり、できる技が増えてくれば、ダンサーとして説得力も増し、作品としての表現の幅が広がっていきます。
奇を衒った振り付けを考えなくても、シンプルなステップやオーソドックスな動きで加点は充分に可能ですし、プロのジャッジは振り付けの奥にあるダンサー本来の力や、そこまでの練習量・ひたむきさ=ダンス愛を見抜いています。
要は、基本の動きをどれだけきちんとできているか。それがあっての応用力、それがあってのオリジナリティであることを忘れないでください。

ダンスの神様こと、故・坂見誠二さんもオリジナリティ=型破りについて言ってました。
「カタがあっての型破り。カタができてなければ、それはただの“型崩れ”」


最後に変わるのが「心」

そうやって次々に技を増やしたり、動きの精度が上がってくると、周りの評価も変わってくるし、望む結果も得られるかもしれない。何より、自分の充実が楽しくてしょうがないでしょう。

そのプロセスと成功体験を経て、やっと「心」が変わってくるのです。
自分の「体」に充実感があって、周囲の目が変わってくると、ますますやる気になってくる。
さらにさらに自分を磨こうと鍛える。まるで朝の歯磨きのように、日課として筋トレをこなす。やがてサボった日には罪悪感すら感じるようになる。

さらに強くなった体で、動きの精度が上がる、新しい「技」に挑戦する気持ちになる。
そして、ついには望む大きな結果を得る。成功というものを手にして、真に充実した「心」を手に入れるのだ。

…ということで、
すべての始まりは「体」から。
「体」から「心」にアプローチできるのだ。

初心者や下級生がまず練習を筋トレからやらされるのは、その競技に対する体作りもあるが、強い心を作る目的もあるのです。

もう一度繰り返しますが、強い学校は筋トレをしっかりやっている。
しかも楽しんで。目的意識を持って。

200以上の競合ダンス部を見てきた私が言うので、ソコは間違いないです。

迷いがある時、心がザワついた時、チームワークが乱れた時こそ、筋トレ!

体から心にアプローチ。強い心を作るには、筋トレから!

現実逃避でも何でもなく、真に現実に対峙する方法なのです!!

 

text:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

 

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