マンガで楽しむ超ダンス部入門#1-2「ダンス部でダンスを始めた理由」「ダンス部の練習環境」

2020.06.25 HIGH SCHOOL

マンガで楽しむ超ダンス部入門#1

ダンス部でダンスを始めた理由

入部希望者には経験者もいれば未経験者もいて、入部の同期も人それぞれ。
高校から始める未経験者でも、頑張り次第でレギュラーになれるのがダンス部の魅力だ!

文&マンガ原案=石原久佳(本誌編集長)
マンガ:コバタキミコ
(ダンスク2020年6月号より転載)

【動機は不純? 新入生のダンス生活がスタート!】

経験者と未経験者

まずは、なぜダンスを始めたか? なぜダンス部に入ったか?――という「動機」から。筆者が取材に訪れて、個別インタビューの際には必ず質問をしていることだが、ここで「経験者」と「未経験者」に分かれる。その比率は大体、経験者6〜8割、未経験者2〜4割というところで、年々経験者の数が上がっているようだ。
経験者のほとんどは、幼少期から習い事として始めている、いわゆるキッズダンサー。2012年に公立中学校でダンスが義務教育化されたが、この時期の前後に習い事としてのストリートダンスが定着した。例えば、現在高校2年生の経験者は、2012年に9歳前後でダンスを始めたことになる。高校生にしてキャリア10年のダンサー。立派な経験者であり、指導力も振り付け能力もあるだろう。
一昔前ならば、経験者はダンス部に入らず、そのまま自分の通うスタジオでダンスを続けるケースが多かったが、ダンス部の盛り上がりとともに経験者の入部が増えてきたというわけだ。ほとんどの部では、経験者がダンスリーダーや振り付け師を務めることが多く、逆に部長などの幹部は未経験者に任されることもあるようだ。

バレエやチアの経験者

また、ストリート系以外にも、バレエやチアの出身者が意外に多いのがダンス部の特徴だ。ストリート系はバレエ技術や創作ダンス的な表現力の習得に苦労し、ジャズダンスをメインにやってきた部員はヒップホップのリズム取りや体の使い方に戸惑うというが、最近ではキッズ時代にオールジャンルを習得している部員も見られ、まさに「ダンスエリート」世代が現在のダンス部員なのだと言える。

求められる能力

未経験者の動機としては「前から憧れていた」「文化祭で先輩たちの踊りを見て」「中学の時とは違うことがやりたかった」などの理由が多いようだ。それまの運動経験の有無によって、練習への対応や習熟度に差が出る場合もあるが、未経験者でも頑張り次第でレギュラー入りできるのが、ダンス部の魅力のひとつだろう。
ダンスに必要とされる基礎体力とは、体の軸を作る体幹とバランス能力、スピード感や止めを作る筋力、可動範囲を広げる柔軟性、作品の最後まで全力で踊り切る持久力。加えて、振り付けを覚える模写能力や空間把握能力、リズム感やテンポ感などのセンスも必要だ。どの競技でもフィジカルとセンスのバランスは肝要になるが、ダンスの場合は芸術性・音楽性・表現力などのセンスが特に重要となる。


▲部活には保護者の協力が欠かせない。千葉敬愛高校では入部時に保護者を交えての説明会が行なわれる。

 

マンガで楽しむ超ダンス部入門#2

ダンス部の練習環境

練習日数・練習場所・指導環境、部によってそれらの状況が違うのがダンス部の特徴だ。全体的には、先輩や先生のおかげでどんどん環境は良くなっているぞ。

【ダンス部にある義務と権利(ギブ&テイク)】

練習日数

回数は週3〜6回まで学校によりまちまち。私立は学校の規則により週3という体制も多く、さらに1回につき1.5〜2時間ほどという練習時間の場合も。公立は土日も含め、最大週6回みっちりと練習日が取れるが、同時に顧問の負担も増えていくところが課題。たとえ同じ大会のステージで、同じ学年だとしても、各校で練習のボリュームには差があるわけだ。
練習日が少ない部はその中で効率性と集中力が身につく。筆者が見た中では、進学校はこのへんの時間の使い方がうまく、学力とダンス力はある程度シンクロしていくことがわかる。

練習場所

後発の部活であるため、特に公立高校ではダンス部は練習場所には恵まれていない。恵まれている部類では多目的ホールや体育館を分割しての使用だが、強豪校だとしても、教室や廊下、屋外での練習も多い。部員が増えるほどに練習場所には苦労するようで、その都度鏡や音響機材の調達なども悩みの種となる。本番を想定しての練習では、外部の広い体育館などを借りるケースもある。
ダンス部の活動が盛んな私立では、専用のホールなど恵まれた環境が増えてきた。ダンス部の活躍が学校のメリットやPRにつながっている恩恵とも言えるだろう

指導状況

指導は基本的に、先輩から後輩へ、経験者から未経験者に向けて行なわれるが、ダンスの場合は顧問が経験者という状況が少ないために、外部指導者の起用がキーポイントとなる。外部指導者は、顧問と意思疎通の上まず部活動としてのダンス活動の意義を理解し、さまざまなレベルの部員に対して、自主性を与えながら技術向上させていけるかが肝要だろう。
コーチが指導に訪れる頻度は週1〜週3程度のようで、公立高校では指導料の規定があるため簡単に増やすことができない。外部コーチによる的確な指導と戦略的な振り付け、コーチ不在の練習日に部員たちがいかに自主的に取り組めるかが、強いダンス部を生むポイントだ。指導者不在、あるいは自主性にこだわり指導者をつけない学校もある。何度も日本一に輝いている同志社香里はその代表格であり、その表現力と集中力は群を抜いている。

合宿

年々、合宿を行なうダンス部も増えてきて、ダンスの練習施設を備える合宿所などは1年前から予約が埋まってるそうだ。合宿の良さは、1日中ダンス漬けで体力強化や踊り込みに時間を費やせる点や、数日間の共同生活を通じてチームワークを強化できる点。「ダンス部の一番の思い出は?」と聞くと「合宿の思い出」をあげる卒業生は意外に多い。ダンス部の青春は合宿にあり⁈


▲寒空での外練習はこたえるが、ダンス部ならではの思い出になるだろう(奈良一条高校)。

>>#3&4へつづく



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