同志社香里が6度目の優勝!第13回ダンススタジアム全国大会ビッグクラス速報&全チームレポート!

2020.08.19 HIGH SCHOOL

>>11〜20チームより

21:樟蔭高等学校(大阪)
テーマの着眼点がいつも面白い、創作出身の常連校。アマゾネスをテーマに儀式のような緊張感を作り出す。持続低音の合間を縫うような音取りが非常にスリリングで予測がつかない。衣装と選曲、何よりダンサーの目つき顔つきが素晴らしく、他が追随できないまでの表現レベルに達していると思う。(295点)

 

22:上宮高等学校(大阪)
REAL LOCKINを標榜するチームだけに、ストリートダンスの基礎力と黒っぽさが別格のレベルで、安定した力を見せてくれた。今年は男子メンバーの存在感が際立つ。(261点)

 

23:宝仙学園高等学校女子部(東京)
オンライン活動やグローバルな活動が目立つダンス部。激情的でシアトリカルな冒頭から、終盤では和的な展開に変化し、一気にエンディングまで駆け抜けた。(255点)

24:名古屋経済大学市邨高等学校(愛知)
出場辞退

25:山村国際高等学校(埼玉)
確固たる世界観を持つ同校は今年は意外にもFunkがテーマ。体幹の動きでファンキーさを表現できていたし、衣装や構成にセンスの良さが光る。この路線でも十分に関西勢に対抗できる地力の高さを見せた。(296点)

 

26:神戸市立葺合高等学校(兵庫)
創部2年のダンス部だが、まるで何遍かのショーを見ているような展開と密度の高さがあった。多面的に踊り分けるところ、ユニゾンで押すところなど、観客の目線を操作する作品作りもうまい。(283点)

 

27:光ヶ丘女子高等学校(愛知)
ダンススタジアム選抜大会の優勝校。超高校レベルの技術をベースに、「何を表現するか?」に対して挑戦的な姿勢を見せるその作風は、高校ダンスを新たな次元に引き上げている。競技ではなく、まさに「表現」の世界。(291点)

 

28:横浜創英高等学校(神奈川)
コンスタントに評価の高い作品を作る常連校だが、今年はステージをフルに使った芸術性の高い意欲作。メリハリの効いた動物的な動きと、何者かが憑依したかのような表情にハッとさせられた。(261点)

 

29:大阪府立渋谷高等学校
ウェッサイをテーマに、深さとゆらぎのあるヒップホップがカッコいい。現代の高校生が20年前のクラブのフィーリングをリアルに伝えてくれるのだから、高校ダンスは面白い。(274点)

 

30:東京都立第三商業高等学校
ヒップホップガール達(+男子1名)による刺激的なパフォーマンス。最近の高校ダンスにはフィットしにくい作風ではあったが、チーム一丸のまとまりの良さが目についた。(253点)

 

31:帝塚山学院高等学校
昨年、圧倒的なインパクトで優勝した創作ダンス部。カミュ「ペスト」をテーマに人間の尊厳を描く。鬼気迫る表情と激しい出ハケによる場面展開、女性同士でのリフトを可能にする基礎技術の高さ、スカートの稜線の美しさなど、帝塚山らしさは健在だ。(300点)

 

32:品川女子学院
前回のコンセプト作品とは打って変わって、エキセントリックな作風で衣装・曲・ダンスをバランスよくまとめた。衣装の派手さとオリジナリティ、振り付けやフォーメーションの意外性など、脳裏に残るような「絵作り」のうまさが光る。(295点)

 

33:大阪府立久米田高等学校
前半にはしなやかさ柔らかさも見せながら、大所帯のパワーとスピードが生むド迫力は久米田ならでは。出ハケを使わず、移動も極力抑えて、強い目力と表情で観客を圧するようなパフォーマンスは唯一無二だ。(307点)

 

34:神奈川県立川和高等学校
市ケ尾同様にコンセプトとフォーメーションで見せる作風だが、トボけたような「抜け感」が逆に印象に残る。押せ押せになりがちな高校ダンス作品の中、引きの妙を見せられた気分だ。(298点)

35:沖縄県立浦添高等学校
出場辞退

 

第13回ダンススタジアム

ビッグクラス【結果】
7位:品川女子学院高等学校
同率7位:樟蔭高等学校
6位:山村国際高等学校
5位:神奈川県立川和高等学校
4位:東京都立三田高等学校
3位:帝塚山学院高等学校
準優勝:大阪府立久米田高等学校
優勝:同志社香里高等学校

 

〜特別賞〜
審査員特別賞:品川女子学院高等学校
au 5G賞:山村国際高等学校
エースコックスーパーカップ特別賞:神戸市立葺合高等学校
産経新聞社賞:東京都立三田高等学校
ストリートダンス協会賞:大阪府立柴島高等学校

 

<<総評>>
やはり時期的な影響なのか、例年に比べてダークで抽象的な作風が多かったように思う。加えて、昨年の創作ダンス部の台頭の影響からか、「芸術」や「表現」に向かったダンス部も目についた。今の時期、悶々とした想いや不安があるからこその「抽象表現」なのだろう。

スモールでは、男子ブレイクチームの活躍や、中京地区のヒップホップチームの健闘ぶりが頼もしかった。

ビッグでは、都立三田や駒澤大学高校のような、表現とストリートをミックスさせたようなアプローチに、今後の高校ダンスの新機軸が見えた気がする。

今回、上位に入賞したチームには一定評価や実績のある常連校が多く、練習時間のない中でも地力がモノをいった感がある。同時に、徐々に「ダンス力評価」に回帰(?)するダンススタジアムの審査傾向も感じた。
創作ダンス系は昨年のファーストインパクトを経て、今後は評価が多少厳しくなるかもしれない。

ストリート主体として始まった高校ダンス大会であるダンススタジアムだが、ストリートだけでも、立ち踊りオールドスクール系、ニュージャック/ミドル系、ブレイクなど幅広く、加えてジャズをベースにした表現系やショーダンス系、登美丘高校でブームとなったエンタメ系、そして昨今のコンテンポラリー系(創作ダンス)と、本当に多様化してきた。今回入賞したチームを見るだけで、ほぼジャンルが違うのがわかるだろう。

そこで、やはり難しくなるのが審査だ。

今後は各ジャンルをフェアに評価できるジャッジ、もしくは各ジャンルの専門家をバランスよくラインナップしていくことになるだろうか。

明確な得点勝負ではないダンス大会にとって、大会の審査状況とは完全な答えの出ない永遠の課題だ。さらに「表現」というファクターが大きく加わってくる競技となれば、審査員が受ける「印象」が得点を左右してしまう。

出場者にとっては残酷なようだが、やはり審査は「時の運」が大きい。

結果はあくまで結果、やり切った個々人の過程にこそ本当の価値がある。…と言っても、いま負けて泣き崩れる彼女たちには慰めにはならないことは承知だ。

ダンスは、順位や結果に関係なく、やる側も観る側も心に残るものが大事だったりする。

我々、高校ダンス部を観る側としても、順位に関係なく「表現」を純粋に楽しむような姿勢も大事にしたい。

それだけ、どのチームもそれぞれの「想い」が「表現」にしっかりとつながっていた今年のダンススタジアムだった。

レポート:石原久佳(ダンスク!)

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