優勝は山村国際高校!DCC vol.9(全国高等学校ダンス部選手権)全チームレポート!
2021.08.21 HIGH SCHOOL
DCC ダンス部大会速報 全チームレポ 登美丘高校 石原編集長
山村国際高等学校(情熱:ルージュ)
高校生離れしたスキルと表現力。大所帯のパワーを余すことなく使い、限界知らずで最後まで盛り上がり続ける。さらに一皮剥けた山国を感じさせた。赤は勝利の色!
表現力45+技術24+独創性19=88点
第一薬科大学付属高等学校(威風:いふう)
大人っぽい振り付けと演出をしっかりこなす。しなやかさ・細やかさなどの表現力まで身についてくると大化けしそうなチームだ。
表現力28+技術13+独創性13=54点
日本大学明誠高等学校(再起:シューティングスター)
スタイル系ヒップホップをベースにエモーショナルな表現に挑む。踊りの緩急と細やかさが観客を魅了した。
表現力41+技術21+独創性20=82点
日本体育大学荏原高等学校(天体:グローバルウォーミング)
地球温暖化をテーマに、自然の美しさやそれが破壊される恐ろしさを、さまざまなダンスで表現する。
表現力39+技術23+独創性14=76点
大阪市立汎愛高等学校(響神:ふうじんらいじん)
体幹を使った大きく速い踊りとスピード感のある展開。まさに風神雷神の力強さと気迫をダンスで表現した。
表現力40+技術22+独創性15=77点
樟蔭高等学校(黒鳥:ブラックスワン)
黒鳥をテーマにした直接的な表現性ではこの日一番ではないだろうか。一人一人のオーラとエネルギーが交錯していく様は圧巻。エンディングの余韻感も高校ダンスでは意欲的なアプローチだ。
表現力41+技術24+独創性17=82点
大阪府立堺西高等学校(輝煌:きこう)
高速ワックを武器に得意の陣形で攻める関西の強豪校。今後はこの得意の形をどう崩していくかが課題だろう。
表現力38+技術24+独創性15=77点
千葉県立松戸六実高等学校(闇輝:めいあん)
壮大な楽曲に、力強いリズムづけをしていくアプローチで激しい感情を表現。後半は祝福感に満ちたダンスで落差をつけた。
表現力34+技術15+独創性13=62点
武南高等学校(灯火:しんねん)
ジャンヌダルクをテーマに主役を立てたストーリー展開。パッション全開の部分とクリアにダンスで見せる部分のバランスをとれば、引き込む力は増していくだろう。
表現力39+技術22+独創性15=76点
宝仙学園高等学校女子部(足跡:ヒストリー)
マイケルジャクソンをテーマに白スーツでスタイリッシュにまとめた。マイケルだけにシルエットやポージングをより綺麗に見せたいところだ。
表現力45+技術22+独創性18=85点
同志社香里高等学校(翔破:しょうは)
まるでダンスで作曲していくような音感表現は健在。常勝校だけに求められるものは多いだろうが、プレッシャーに負けず挑む気迫が素晴らしい。
表現力38+技術23+独創性15=76点
帝塚山学院高等学校(心燃:しんねん)
創作ダンスの王者がまたもや別格のパフォーマンス。しかし、これまでの同校の完成度と表現力を比較してしまうのは強豪校たる厳しさだろう。
表現力45+技術254+独創性17=87点
三重高等学校(二重:ニジュー)
シリフレらしいとことん楽しむ姿勢で、特別賞狙いのようなパフォーマンス。オンラインでも伝わってくるノリの良さはオンリーワン。
表現力39+技術20+独創性20=79点
鎮西高等学校(音楽:へいわ)
ジャパニーズラップに乗せた気迫のヒップホップ。歌詞ハメも音ハメも素晴らしく、この日のストリート勢では随一。
表現力41+技術24+独創性17=82点
大阪府立登美丘高等学校(嘘貌:いつわり)
エンタメから表現へ、お笑いから芸術へ。登美丘の変貌ぶりはダンス部界を新たな方向へ指し示すような予感もする。素晴らしい挑戦。
表現力43+技術25+独創性18=86点
南強工商(台湾)※オンライン参加
ダンス部も国際交流の時代へ。台湾からのオンライン参戦は、オールドスクールダンスを時系列で繋いだ楽しい作品。
表現力29+技術16+独創性13=58点
<結果>
優勝:山村国際高等学校「情熱(ルージュ)」
準優勝:帝塚山学院高等学校「心燃(しんねん)」
3位:大阪府立登美丘高等学校「嘘貌(いつわり)」
〜特別賞〜
●ニチレイフーズ賞:日本大学明誠高等学校 「再起(シューティングスター)」
●Chiyoda賞:鎮西高等学校「音楽(へいわ)」
●TOKYO HEADLINE賞:日本体育大学荏原高等学校「天体(グローバルウォーミング)」
●AWA賞:千葉敬愛高等学校「儚駆(ドリーマー)」
●オーディエンス賞:東京都立福生高等学校「テーマ:彩架(にじ)」
<石原編集長のつぶやき>
漢字2文字、半分は自分達のため半分は観客のため
*コロナの影響やダンスタとの日程被りにより、常連校のいくつかに姿はなく、関西からの出場校が増えました。また初の決勝出場校も多く、予測のつかない展開でした。
*これまでのDCCは半円ステージを見下ろす形、今回はやや大きめの長方形ステージ。加えて照明も素あかり中心で、スキルとパワー、正面への訴えかけに強いチームが有利なようでした。
*審査の傾向としては、創作系・ジャズ系が強く、ストリート勢がかなり不利なようでした。漢字二文字の表現性の得点が高いことで創作系・ジャズ系が強いところもありますが、ダンス部全体として大人数でのストリート/ヒップホップはだんだんと評価されにくい傾向がありますね。
*得点配分の通り、テーマの表現性に重きが置かれているのがこの大会の最大の特徴。勝ちたいならば、そこを上げていく方法を取っていきたいです。パロディなどのわかりやすさで勝負するのも1つ。あるいは、ダンスのイメージをフワッと膨らませる抽象表現や、逆にキリッとフォーカスさせていく想いも良いでしょう。いずれにせよ、この漢字2文字は、半分は自分達のため、半分は観客(審査員)のためにあるものだという意識を忘れないように。何となく最後に取ってつけている言葉では勝てないのだ。
*驚いたのは関西勢の苦戦ぶり。これまで1つの形(カタ)で勝ってきたチームは自らその形に苦しんでいるようでした。形を守るか、進化させるか、破るか。今ちょうどその転換期のような気がします。その点、豹変ぶりが功を奏した登美丘はやはりスゴいチームです。
*「変わる」ことは怖いですが、そこに若者が挑戦する教育的意義はたくさんあると思います。創作系の参入やダンス力の向上により、ダンス部の大会もかなり変わりました。その転換期に、変わることができたチーム、変わろうとしている途中のチーム、あくまでスタイルを守り抜くチーム。いろいろありますが、伝統を守るのも1つだし、「守・破・離」に挑むのも一つ。いずれにせよ、結果に固執せずに目の前の果たすべき行為に身を捧げるのが一番なんですね。
ダンスク編集長:石原ヒサヨシ