本番で緊張せずに「ゾーン」に入る!ダンス部「セルフ」コーチングマニュアル#3

2023.09.26 HIGH SCHOOL

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第5ステップ
本番への挑み方

 

本番までのコンディションの作り方、当日の不安や緊張への対処法などを、マインドフルネスの手法を取り入れてクリアしていこう。

文=石原ヒサヨシ

 

01:コンディション作り

本番へ向けての心身の管理は大事だ。体調管理に大事な3大要素は、食事・運動・睡眠。運動は部活で充分にしているとして、食事はインスタントやコンビニ食ではなく、質の高いものをバランスよく摂りたい。
本番の前日に炭水化物を抑え、本番直前に摂取することで反発の力を利用する「カーボローディング」もぜひ試してほしい方法の1つだ。睡眠の質にはスマホ視聴が大いに関係し
ている。
睡眠直前までスマホを見ていることは、ブルーライトの悪影響もあるが、膨大な情報を脳にインプットしている状態なわけで、脳内がやや混乱したまま睡眠に入ることになる。これでは質の高い睡眠が取れない。就寝の2~3時間前にはスマホをなるべく見ずに穏やかに過ごすことで、深い睡眠につながり、疲れも取れ、早起き時間を有効に使えるようになるだろう。

強い体を作るには菜食がオススメだ。現代人には野菜の栄養素が不足しがち。まずは食事というインプットでライバルと差をつけるべし!

 

 

02:不安と緊張の正体

本番の会場内に入れば、当然緊張は高まるだろう。強い学校の姿を見れば、いろんな不安やネガティブな想像も増してくる。
不安や緊張の原因にはいろいろあるが、1つは準備不足。しっかりと練習をやり切れば、どんな状況だろうと腹を括れる。
そして、もうひとつは、「自分以外のことを考えすぎること」
自分以外のこと、周りのことやライバルのことなどをああでもないこうでもない、と当日に考えることははっきり言って無駄なのだ。
まずは自分を信じること、仲間を信じること。その上でやってきたことをそのままブツければいい。不安や緊張の正体がわかれば、怖いものはいない。戦うべき相手は自分の心だけだ。

大きな会場ではやはり気後れしてしまうもの。ただ、いろんなことに気を取られすぎると、集中に注げるエネルギーは削がれていく。他校の演舞を見ていても、大事なのは「不動心」だ!

 

 

03:呼吸と脱力(マインドフルネス)

緊張状態になると呼吸が浅くなる。そして筋肉が硬直し、動きも硬くなる。同じ振り付けなのに、やたらと息が上がったり、うまく踊れなくなるのは、突き詰めれば呼吸に原因があるのだ。
だからこそ本番前の深呼吸が有効なのだが、深い呼吸には実は、強い呼吸筋が必要で、それは普段から鍛えておかなければならない。試しに息を止めてみよう。
1分以上もつならば呼吸が強い証拠。全くもたないという人は呼吸筋が弱いのかもしれない。
詳しくはここでは触れないが、腹式呼吸、胸式呼吸、完全呼吸など、ヨガの呼吸法などが参考になるはずだ。
また深い呼吸には瞑想効果があり、精神の安定にもつながる(マインドフルネス)。
筆者も朝晩の瞑想を日課にして効果を実感しているが、呼吸や瞑想は、いい意味での脱力にも繋がる。パフォーマンスでは、鍛え上げたカラダをどう脱力するかが重要。一流のダンサーは皆、体幹に力を入れることで、四肢の力を抜いているのだ。

 

『ダンスク!』で実施した高校ダンス部向けのヨガWS。参加者は呼吸によるリラックス効果に驚いていた!>>レポート記事

 

 

04:本番でのゾーン状態

スポーツ界で言われる超集中のゾーン状態。ダンスで言うならば、ステージで踊りながらも自分がまるで踊っていないような感覚、メンバーの位置を感じることができたり、自分たちをステージの外から客観視できているような状態だろう。
「よく覚えていないけど、とにかく楽しかった!」など、渾身のパフォーマンスを終えたダンサーからこういった感想をよく聞く。
これは思考よりも感覚が優位になっている、いわば「無心」の状態。
あらゆる欲やエゴが消えて、練習してきたことを素直にカラダが楽しんでいる状態と言える。
なかなか意図して入れる状態ではないと思うが、ここまで述べている、「準備」「自負」「集中」「瞑想」などの要素が揃って初めて「降りてくる」状態と言えるだろう。

全国大会出場をかけた品川エトワール女子の動画より。予選での演舞後には「楽しかった。でも記憶がない」というコメントはまさにゾーン状態と言える。

 

 

第6ステップ
「結果」と「その先」

 

高校時代はチャンスのステージだ。
日々新しい行動、日々挑戦を続け、それをしっかり振り返り「次」につなげる、「未来」につなげるのだ。

 

05:結果と向き合う(PDCA)

ビジネス用語にPDCAというのがあり、それぞれPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルのことを指す。
さて、皆さんのチームはCとAができているでしょうか。やったきりにはなってないでしょうか?
新しい練習方法でも作品制作でも、まずは思いついたことを「やってみる」ことが大事(PとD)
そこで評価(見直し)や改善の余地を持って、トライ&エラーを繰り返すことが、最終的に良い結果につながる
たとえそれが最後の大会の作品だろうが、「次」に伝えることはできるだろう。自分たちが挑戦したこと、失敗した原因、課題にすべきことを、先輩が責任として後輩に伝えていくことが、その学校の「伝統」となる。
伝統と想いがつながって大きくなる。愛と感謝を実感する。それが高校ダンス部の魅力の1つではないだろうか。

強豪校は本番のギリギリまで振り付けの手直しをするという。その緊張感が作品に良い影響を及ぼすこともあるのだ。

 

06:まずやってみる!

「やらぬ後悔よりもやった後悔」という言葉もあるが、高校時代の時間は思ったよりも少ない。高校生だからこそ挑戦できること、仲間と一緒だから湧いてくるやる気・勇気はたくさんある。あとで「あー、高校時代にアレやっておけば良かったぁ」という後悔は、意外に引きずってしまうものだ(筆者もそう)。
やり切ったからこそ、やり残しなく、次のステージに進める。たとえやって失敗したとしても、その経験は本で読んだものではなく、自分のものだ。
次はこうしようという知恵も得る。それを人に伝えることもできる。
そして、失敗した過去の事実は変えられないとしても、「捉え方」は後でいくらでも変えられる。アレがあったから今コレがある。
遠回りしたことが自分にとっては意味があった。ピンチはチャンスの始まりだった。
……そんなふうに思えるよう、日々挑戦し続けよう。日々差し出されるカードを受け取っていこう!

 

 

07:部活こそ将来の予行練習

先述の通り、高校時代にはある程度の人格は形成されてしまう。今できないことは大人になってもできない、と思っても良い。
だから何事も先延ばしにせず、今こそ「なりたい自分」に挑戦していきたい。
今なら失敗しても許される、やり直しがきく。挫けても仲間が支えてくれる。先述の通り、高校時代の部活動は将来への格好の予行練習だ。
人間関係、創造力、実行力、成功と失敗、部活動でいろんなことを試すことができる。
自分を解放して、挑戦して、無意識を書き換え、自分らしさを発見する、「セルフコーチング」に挑戦していこう!

 

 

ダンスク編集長が解決!

「DSKコーチング」募集中!

 

コーチングとは、質問や対話によって、自発的な解決思考や行動を導き出すコミュニケーション手法です!

 

それでもセルフコーチングができないダンス部、運営に困っている顧問の先生、部活や学業、進路に悩む高校生へ…… ダンスク編集長・石原ヒサヨシがコーチングをします!

 

コーチング手法
コーチング技術、NLP(神経言語プログラム)、マインドフルネス、心理学、哲学などを用いつつ、これまで強豪ダンス部を取材してきた経験値により、クライアント(対象者)に合ったコーチングを行ないます。
場合によっては、技術指導のダンサーも派遣します。

対象
ダンス部員、幹部、顧問、コーチなどが対象クライアントです。
まだ創部間もないダンス部や、うまく成果が出ないダンス部、マネジメントに悩む顧問の先生やコーチ、また将来ダンス方面への進路を考えている高校生の相談にも乗ります。

応募方法
相談のうえ直接訪問あるいはオンラインで指導します。
コーチングは『ダンスク!』にとっての知見やコネクションを広げるために行ないますので、費用はかかりません。
メール:info@d-s-k.jp
問い合わせフォーム

 

石原ヒサヨシ:プロフィール
東京都出身、音楽雑誌やダンス雑誌『ダンス・スタイル/キッズ』の編集長を歴任し、『ダンス部ノート』などの著書を出版、審査員/コメンテーターとしてテレビ/ラジオ出演。
2014年から、ダンス部専門メディア『ダンスク!』をスタートし、これまで300以上のダンス部を取材訪問。アーティスト・ダンサー・高校生へのインタビューは1,000人を超える。
最近ではヨガ講師資格を取得し、コーチング、NLP、マインドフルネス瞑想、哲学、心理学、スピリチュアルにも精通する。ダンサーや若者のメンタル/ライフコーチングを得意分野とする。

 

 

 



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