【WS募集】就任1年目で日本一に導いた【MAA】が明かす「ダンス部ヒップホップに足りないモノ」

2023.12.22 DANCE

叡明高校のコーチとして就任1年目で、ハイダン3年連続の全国優勝(2021年〜2022年)、ダンススタジアム全国3位(2021年)、チームダンス選手権全国2位(2021年)と、華々しい成績の原動力となった、プロダンサーMAA。
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元々ストリートシーン出身でカルチャーやファッション、コンテストでの闘い方を知り尽くしながら、エンタメ要素を作品に乗せることで、HIPHOPの可能性を切り拓いた
3年間のコーチ経験を経て、叡明高校のコーチを勇退したMAAに、ダンス部の特徴とHIPHOPのあり方について聞いた。

インタビュー:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

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レベルの高い作品を生む伝統と連携

 

*大阪勢/ジャズ系ダンス部の「違い」

この3年で驚いているのは、ダンス部大会の予選参加校が増えたなということです。各大会の予選の回数もどんどん増えてますよね。だから、強豪校と初出場校のレベルの差も大きくなってる気がします。

ダンス部の大会を見るようになって特に感じるのは、関西のジャズ系や創作ダンス系のレベルの高さです。レベルの高い作品を毎年作り続け得る伝統とシステムが他と違うんだろうな、と思います。それをこれから作るためには、部員・顧問・コーチと強い連携を持って、ある程度の長い年月が必要ですね。特に、今年のダンススタジアム帝塚山学院にはヤラれたなぁと思いました。すべてにおいて上回られた感がありましたが、逆にHIPHOPでもああいう世界観や表現ができるぞ、って刺激にもなりましたね。


▲今年のダンススタジアムで圧倒的作品で優勝を飾った帝塚山学院。

 

揃えることがすべてではない

 

*ダンス部的なHIPHOPとストリートなHIPHOP

ダンス部は部活動ということで、しっかり打ち込んでいく姿勢は良いですよね。自分の振り付けを一生懸命やってくれるのも嬉しいし、高校生との意見のキャッチボールも面白かったです。

ただ反面、スポーツっぽくなってしまうというか、HIPHOPが本来持っていた魅力を出せるチームは多くはないと思いましたね。その辺を「わかっているダンサー」っていうのは、立って少しノってるだけとか、移動するだけで雰囲気が違う。普段からHIPHOP聴いて、24時間ダンサーなんだろうなって思うんです。ダンス部に入ってくる女子高生にそれをいきなり望むのは難しいだろうけど、ストリート系の大会のジャッジはそういうところを見てますからね。

部活のチームダンス=揃えなくちゃいけないという概念が強いみたいだけど、それが全てではないと思います。ユニゾンよりもグルーヴやノリを重視するとか、作品のテーマによってそうじゃない場合もある。揃える意識が強すぎて、個々のエネルギーやノリを潰している場合もある。作品の仕上げ段階では、どこにこだわるかを見極めないといけないですよね。

 

ストリートらしさにこだわる部分

 

*叡明で打ち出したHIPHOP×エンタメ、ファッション性

やっぱりエンタメ的な演出をしないとダンス部大会では勝てないだろうなって思っていたので、最初からそういう作品作りを意識していました。でも、バランス感には気をつけていましたよね。今年の歌舞伎の作品にしても、衣装を全部着物で行こうか…いやでも、それだとやりすぎだろう…とか。

ストリートらしさを残す部分や、こだわりたい部分、ダンス部は衣装も学校によってピンキリですよね。例えば、衣装揃えてスニーカーだけ揃ってないとか……お金かければいいってもんじゃないけど、どこまで勝つ意識を持っているか?というのが、そういうところで見えてきちゃうんです。

▲本格的なHIPHOPダンスをベースに、エンタメ感をブレンドし、かつカルチャー感を失わない叡明高校の作品群。衣装のカッコよさも見ものだ。1つの作品を毎年バージョンアップしていくのも作品作りの特徴だ。

 

楽しみながら鍛えること

 

*効果的なココロとカラダの鍛え方

やっぱり最低限の筋力体力がないと、ダンスは厳しいですね。叡明では、その辺の個々の能力をオープンに公開して競わせていました。レギュラーになりたいなら、「最低ココはクリアしないと」ってわかりやすくするためにも必要ですね。

効果的な鍛え方としては「楽しみながらやること」。嫌だと思いながらトレーニングしても脳が活性化しない。ウチのスクールのキッズたちには「アスレチックで遊んでこい!」って言います。全身使って、楽しみながら体を動かすことで自然に鍛えられている。

叡明の時は、例えば絶対やらなきゃいけない基礎練メニュー8つを、2ヶ月で回していくとか、なるべく変化と刺激を与えて、面白がってやれるようにしていました。あとは「負けたくない!」って強い気持ちでやるのも効果的だと思います。

体も大事ですけど、やっぱり心の強さも大事。最初はヘタでも、気持ちの強い子は絶対に伸びる。集中力も違うし、努力を続けるし、絶対に諦めないから。元々気持ちが強いコもいるし、負けてスイッチが入って強くなるコもいる。逆に、そこそこうまくても気持ちの弱いコは、器用貧乏みたいに伸び悩んでしまうんですよね。中には、褒めて伸びるコと、叱っても負けないコがいるから、それぞれの特性を見極めながらコーチとしては指導していました。

▲叡明高校の練習の秘密を負った動画。MAAの指導の様子も見られる。

 

部活に入ったら「ダンサーモード」

 

*フリーで踊れると「隙間が埋まる」

ストリートダンスを向上させる以上は、フリーで踊れることは絶対ですね。振り付けって枠や正解が決まっているけど、フリーは何でもいい。何でもいい、とは言え…っていう不安があるのはわかります。何でもいいとは言え、変なタコ踊りをやって認められるわけではないからね(笑)。
要は、自分が他人に評価されるフリーをできるのかどうかっていう不安なわけですよね。高校生にもなって一人で踊って恥ずかしい思いしたくないって、過剰に考えすぎているところもある。でも、それこそ、部活のみんなで盛り上げたり、指導者がリードしてあげればいい。高校生は評価されて自信を持てば、どんどん向上していけるから。

フリーで踊るのが楽しい!って感覚になれば、振り付けもユニゾンも絶対にうまくなる。なぜなら「隙間が埋まるから」です。さっき言った通り、立っているだけで、移動するだけでカッコいい雰囲気になる。HIPHOPはそういう佇まいというか「匂い」が大事なんですよ。

まずは部活に入った瞬間にそういう「ダンサーモード」になってほしいです。それが日常生活やファッションや聴く音楽にも自然に浸透していけば、より本物度が増してくるというか。無理やりじゃなくて、好きとか興味でそうなってほしいですね。カッコいいと思うコーチや先輩にいろいろ話を聞くとか、YouTubeで見てみるとか、今はいろいろ方法はあると思います!

今度のワークショップではその辺を伝えられればと思いますね。部活の指導でやっていたルーティンとか、フリーのセッションとか、ウチのキッズと一緒に踊りましょう!

 

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